高性能化するために1気筒当たり5バルブや楕円ピストンで8バルブなんてエンジンもありましたが、真円のピストンで6バルブのエンジンもあるのですね。しかもV型16気筒なのでなんと96バルブ!!凄いディーゼルエンジンです。

もちろん乗用車用では無さそうなのは薄々お気付きかと思いますが(爆)、何とディーゼル機関車用のエンジンでした。不勉強でしたがDD54というディーゼル機関車に搭載されていたのですね。
当時としては珍しく、ドイツのMTU(旧マイバッハ)のエンジンを三菱がライセンス生産していました。このサイズの車両で1原動機で1800馬力という要求馬力をクリアできる条件から採用されたようですが、紆余曲折があったようです。
車内を見ると片バンク8気筒がズラッと並んでいるのが凄いですね下側に見えるのが吸気管で、写真中央上に見えるのがターボチャージャーで左端上に見えるのはインタークーラーです。
ピストンは二重構造になっていますが、さすがにゴツいですね。
この後開発された国産エンジンのDE10がV型12気筒でOHVで気筒当たり4バルブだったのに比べるとかなりのハイメカな気がします。
変速機は4段式で車体中央からややずれた箇所から前後にドライブシャフトが出ていますが、この駆動系は国産でした。どうやらこの部分が高出力のエンジンに対してネックだったようで、図の3番や4番のシャフトに問題が出たようです。
1968年に起きた事故ではドライブシャフトが破断した上に車体を押し上げて(「棒高跳び」と当時表現されましたが)機関車は横転した上に客車も脱線するという大事故になりました。これで死者が無いのはある意味奇跡だったかもしれません。その後も同じ日に二つの違う貨物列車で同様のシャフト破断事故が起きたりして、結局DD54は車両年数の18年を待たずに12年で全車両廃車になってしまいました。多分国鉄のディーゼル機関車では黒歴史でしょうし、国会でも問題視されたようです。今だったら大炎上でしょうか。
エンジン本体や変速機には大きなトラブルは無かったようですが、トルクコンバーターの容量が1660馬力だったようで、そもそも容量的に無理があったのかもしれないですね。でもこのエンジンは音量が大きくてシフト時のショックも大きかったようで運行路線の近隣住民や乗客には不評だったようです。
本家の西ドイツではこのエンジンの搭載機関車は215型、216型、218型などあって700両以上生産され、一部はまだ現役のようです。最大の違いは変速機で、フォイト製を使用していましたが、こちらはエンジンに見合ったものなのでしょうね。
どんな良いエンジンでも足回りがきちんとしていなければ、という好例(反面教師?)ですね。
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ディーゼル一般 | 日記
Posted at
2025/02/11 00:22:10