
先日のニコルでの試乗の時に
この方に1年振りのD3君のチェックをしてもらおうと思って、完調にするために姑息にもエアクリーナーエレメントの掃除をしてみました。
作業はいつもの通り、純正のクリーナー液で掃除をしてから中性洗剤で(爆)二度洗って乾燥した後、オイルを振りかけて完了です。
虫さん達にもおさらばして完調に戻る予定だったのですが、暗闇で取り外し作業をしたせいか、なんとフィルターを取り巻くプラスチック部分の角がもげてしまいました。
吸気上は問題なさそうで、実際に装着して走ると吹け上がりも軽くなって調子は良くなっているのですが、何となく気分が良くないので(爆)、「そう言えば、いつもの
行きつけのお店にBMCの在庫が一つあったはず」と思い出して行ってきました。
早速新品を取り出してみると、周囲のプラスチック部分の張りが全然違って丈夫です。フィルター部分も心なしか綺麗な感じ。
装着してみてエンジンをかけると、いきなり静かになっています。まめに掃除して調子が戻っていたと思ったBMCエアクリーナーエレメントですが、さすがに10万Km使っていると微妙に性能が劣化しているようです。毎回掃除をする度にエンジンの吹け上がりは良くなっているのでフィルター性能は復活しているようですが、やはり新品にはかないませんでした(笑)。
最近エンジンオイルもATFも同時交換していたので、結果としてエンジンの調子は
丁度1年前に試乗していただいた時より良くなってしまったようです。やはりこまめなメンテナンスは大切ですね。
ところで、どうしてこのようなネタを書こうと思ったかというと、ディーゼルエンジンにとって吸気環境はかなり重要だと考えているからです。
ALPINA D3 Biturboはカタログの純正値でも最大トルクは450Nm、ブースト圧はなんと3.0barで、これは(実はレギュレーションで上限が3.0barに規制されていますが)AUDIのルマン用レーシングマシンのR18TDIと一緒です。先日試乗したALPINA D5Turboも最大トルクは600Nmですから、これに近いブースト圧がかかっているとみてよいでしょう。
という事は、自然吸気エンジンだとALPINA D3 Biturboならば排気量は5L〜6L、D5Turboだと6L〜7L相当の吸気量になる訳です。
自然吸気エンジンですと吸気には当然加圧されていませんから吸気抵抗はそれ程問題にならないかもしれませんが、ディーゼルエンジンは過給され圧縮された吸気に燃料を噴射して爆発する過程では必ずリーンバーンです。という事は、基本的に吸気は吸えるだけ吸って抵抗が無い方が燃焼上でも有利になり、排ガスコントロールも好結果になると言えます。
そう考えると、ALPINA D3 Biturboの場合にはベースエンジンの123dと比べて吸気系には特に改良は施されていないようなので、BMCやK&Nのエアクリーナーエレメントに換装する事で吸気効率が格段に上がって好フィーリング、低燃費となるのでしょう。
これに対して、ALPINA D5Turboはカタログにも書かれているように専用の吸気系のダクトを開発して、ベースエンジンの
N57D30エンジンより30%吸気抵抗を低減しているようです。
つたないグラフ(再掲)で恐縮ですが、日本仕様のX5 xDrive35dと比べると低速トルクの立ち上がりが早いですから、いかにも吸気抵抗が少なそうなのがうかがえます。よく見ると、1000回転でのトルクはX5 35dの方が上回っているので、VGターボのレシオを低速よりにしている訳ではなさそうです。むしろ、低速はやや細めの制御なのかな、とさえ思えます。
しかも、高速側でのトルクの落ち込みも少ないのですから、たいしたものです。さすがに5200回転以降のトルクはガタ落ちですが、これはVGシングルターボの特性を考えると「それでもここまで回るのか!」という感じです。BMW標準のN57D30はそもそも4500回転までしかデータがないですし。
話を4気筒ディーゼルに移すと、123dとALPINA D3 Biturboの低速側のトルクの立ち上がりに差はなく、途中からD3Biturboの方がトルクが増えるのはECUのセッティングの差に思えます。シングルターボの「D3(青線)」は低速での立ち上がりがずっと遅く、高速側でのトルクの落ち込みも多めです。
しかし、ALPINA D3 BiturboはALPINAの中では廉価版な事もあって(爆)、吸気系には特別なチューンはしていないようです。インタークーラーもBMW標準の320dと一緒のもので、135iや335iのものより一回り小柄でした。
ところがBMW標準車でも320dや520dのM Performance PowerKitではインタークーラーも大型のものに交換されるので、トルクカーブが変わって、標準だと傾きが鈍るポイントも変わらずに一気にトルクピークまで立ち上がります。これはインタークーラー交換で充填効率が上がったためでしょう。トルクカーブ自体は同じですので、ECUのマップ違いで他に変更はないようですね。
そう考えると、インタークーラーは大型のものに交換し、BMCエアクリーナーエレメントで吸気抵抗を下げた上に
ちりとりまで装着している我が家のD3君が気持ち良い吹け上がりとパワー、低燃費を獲得しているのは当然かもしれません(手前味噌)。
しかし、新型の「25d」に搭載されているN47D20エンジンは、いままで低速側の小径タービンには無かったバリアブルジオメトリーも装備されているので、123dやALPINA D3 Biturboに見られるような低速側での段付きがなく、一気に450Nmのトルクピークまで立ち上がっています。PoweKitのインタークーラーに交換すれば更にパワフルになって燃費も良くなりそうで、本国のユーザーさんが羨ましいですね。
これらをいろいろ考慮すると、ディーゼルエンジンで純正のエアクリーナーエレメントのままなのは、非常にもったいない気がします。すでに320dでBMCのエアクリーナーエレメントに交換なさった方も効果は体感されているようですので、1万円の出費は痛くないと思います。
ALPINA D5も、BMCかK&Nのエアクリーナーエレメントに交換すれば、さらに極上のエンジンになる気がしますが…すでに標準装備だったりして(爆)。