
今度は4代目になる(爆)、D3君の代車です。プリウス、ウィッシュは問題外で、レガシィはなかなか良かったもののレンタカー仕様の廉価版で装備が貧弱でしたので、「もっと高い車持ってきて下さい」みたいなオヤジ的発想でクラウンを頼みました。
やってきたのはロイヤルの3L版。これならあまり手抜きはないだろう、と思いつつ、スタートボタンを押すと、ハンドルがせり下がってきます。昔乗っていたアリストにもある機構でしたが、流石クラウン、レンタカーでもこの手の装備は付いていて豪華ですね。ただ、ハンドルにやや角度が付いている(寝ている)ので、個人的には垂直に近い方が好みですが、ハンドルのスポークも細めなので、好印象です。
フル電動シートなので、そこそこのドライビングポジションは取れましたが、微妙にしっくり来ません。シートの身体に当たる部分がややピンポイントで、こうした部分はBMWの方が上手ですね。長時間乗っていると、適度にへたってジャストフィットするかもしれませんが。しかし、ヘッドレストの作りは最低で、形状もフィットせず、変な感じに硬いです。まるで「ヘッドレストには頭を付けないように」と言わんばかりの出来です。それに比べると、リアシートはしっかり身体を支えてクッションも最適。やはりこれは後ろに座る車なのでしょう。
エンジンをかけたらびっくりしたのが、アイドリングの静かさ。ディーゼルのD3君と比べたらいけませんが(笑)、まるでハイブリッドのように静かです「間違ってエンジンを二度かけしてしまった」というのがうなずける程静かで、流石高級車。
ところが、普段と同じように発進しようとアクセルを踏んだ途端、猛ダッシュ!BMWの感覚で踏むと、かなりの加速です。いつもの感じで発進しようと思うと、かなり緩やかにアクセルを踏まなければならず、ちょっと面倒です。高級車なんだから、もっとしずしずと発進して欲しいです。信号待ちから、国産車が結構なダッシュをするのは、クラウンに限らずそうしたスロットル特性になっているのかもしれません。ちなみに、「エコモード」にしたところ、アクセルのレスポンスはBMW並に自然になったので、ずっとこれで走っています(笑)。
乗り心地はクラウンだけあって当たりは柔らかく、市街地走行ではこれで丁度良いくらいです。高速道路ではもう少しひきしまっていた方がいいですが、ぎりぎり許容範囲かと。ハンドルも軽いですが、単に軽いだけではなく、FRならではの素直な感覚です。個人的にはもう少し重くても良いですが、プリウスやウィッシュとは大違い。こうでなくてはいけません。
と、一応褒めましたが、実はこの車、私のドライビングポジションでは左肘がセンターアームレストに干渉します!右コーナーでは問題ありませんが、左コーナーでは気を使わないと肘が当たるので不快です。BMWドライバートレーニングでは一発合格のポジションなので、これでは「きちんとした乗り方をしていない人が開発した」事になってしまいます。寝そべって適当に乗る分には何の問題もないのでしょうが、こんな車はカプチーノ(軽自動車のスポーツカーなのである意味仕方ないです)以外には無かったのでかなり気になります。ハンドル位置を色々調節しましたが、そうするとポジションが不自然になるので、結局諦めました。ちょっとハンドル切るくらいならOKなので、街中や高速道路では問題無いですけれど、ちょっと残念。
もう一つ問題なのがブレーキフィーリング。ストロークがあり過ぎて、本格的な制動力を出すにはかなり踏み込まないといけません。おまけに制動力そのものも頼りないので、「おおーい、まだブレーキ効かないぞ!」という感じで踏み足さないといけません。これでは、小柄な人や女性はいざという時にパニック時のフルブレーキが踏めないと思います。交差点で止まる前のスピード調節でも、体感的にはストロークの半分以上踏み込んでいる感触です。それでいて、ストロークに比例したブレーキ効力でもなく、更に始末が悪いのは雨の日や寒い時の一発目が物凄く効く事!ブレーキダストや鳴きしか考慮してないのでは、と思える程の出来の悪さです。
エンジンは3Lですので充分以上の加速で何の不満もありませんが、フィーリング的にはまたまた不思議。アクセルを踏み込んでも回転はほとんど上がらないまま車速だけが上がっていくので、まるでCVT感覚。トルコンATのはずですが…。マニュアルモードにすると普通に回転に比例するので、ATのセッティングのようですが、何故普通のATモードでこうなるか不思議です。スポーツモードにしても、使用回転数が上がるだけで、印象はかわりません。回してもトルクの盛り上がりなどは無く、音も普通のV6で直4と変わりないく特に綺麗な音でもないので、特に回す楽しみはありませんが、これで自由自在の加速なので拘らない方には全然問題ないのでしょう。車の性格上、エンジン音を聞かせる必要もありませんから。
そう言えば、タコメーターがスピードメーターの左端に半円形で付いており、なぜかフルスケールで8000回転と全く必要のない(笑)スケールなのでメーターがかなり小さく、回転数の厳密な把握は難しいです。これからも「エンジン回転なんか気にせずに走って下さい」というメーカーの意思表示なのでしょうし、実際必要ありません(笑)。
しかし、「まあ、こういう車なんだろう」と思って乗っている分には快適で何の文句もありません。ブレーキは意識して踏み込む必要がありますが。多分、この車の特性自体が今までのクラウンユーザーに馴染む性格なんだと思います。「クラウンを買う人はこういう車を望んでいる」といった、マーケティングの産物なのかもしれません。別にコーナリングを楽しむ方はアスリートの方を選択されるでしょうから、これで正解なのかもしれません。
驚いたのが、レンタカーなのにBluetoothが標準装備になっていて、携帯電話の登録が瞬時(電話帳転送も含めて3分くらい)で済んだ事!135iではマニュアル首っ引きで3時間かかっても出来ず、ALPINA D3 Biturboのカーナビでも10分以上かかったのに比べれば、感動的です。
しかしそこはレンタカー、良く見るとウッドパネルはもろにプラスチックで安物だし、メーター回りの部分も実はナイロン?のフェイク革で質感が低いし、「この会社って、レンタカー仕様はとことん手を抜いているんだなぁ」と痛感する部分です。カーナビ画面も今時あり得ないEGAですし。3Lエンジンのグレードでもかなりの手抜きかと…2.5Lのが来なくて良かったです。
自分では購入しようとは思わない車ですが、「116iとこの車とどちらかあげる」と言われたら、少し悩んでクラウンを取るでしょう。ふだん使いとしては「やせ我慢の駆け抜ける喜び」よりは「そこそこの走りの質感だが圧倒的な安楽さ」を取ると思います。320iだったら…悩むなぁ。アスリートだったらもっと評価が好転しそうです。135iと比べるとどうでしょうか>旧オーナーの方…って、ピンポイントですね(笑)。
もともとクラウンは国内向け専用の車種ですので、この立ち位置でも好きな人には問題ない車だと思いますが、ブレーキはなんとかして欲しいですね。とりあえず、2週間は充分我慢出来そうですが、こんなに速くて快適なのに運転が楽しくない車は初めてです(笑)。
それにしても、BMWは言うに及ばず、今まで乗ってきた車(特にHONDA)は結構良いシートの車に乗っていた事を痛感しました。私の場合は長時間、長距離連続でのるので、やはりシートの出来は死活問題ですね。残念ながらトヨタの車は、ぱっと見は良いものの、乗り込んで行くとどんどんアラが見えてくる印象です。これは誰かに運転してもらってリアシートで快適に過ごす車ですね。
Posted at 2010/05/21 13:57:12 | |
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