行きつけのディーラーさんから「EVとディーゼル比較試乗キャンペーン」のお知らせが来たので行ってみました。いくつか試乗プログラムがあったのですが、今回は新型5シリーズに乗らせていただきました。
最初の試乗車はEVのi5 M60 xDriveです。乗り込むとシートは大柄で革シートの当たりも良くてリラックスして座れます。高級車に乗っている感じです。
大型の運転席メーターとセンターメーター一体型のモニターは少し進化して、カーナビでは曲がり角などでカメラ画面が映し出されるAR表示になったようですが、やっとメルセデスベンツに追い付いたか、という印象です。スピードメーターとパワーメーターは使えないので、このAR画面をヘッドアップディスプレーに表示して欲しいですね。
発進するとEVなので当然無音です。開けた場所で全開にするとかなりの加速です。601ps/795Nmのパワーで0-100Km/h加速も3.8秒なので数値的にはアルピナB3やM3並ですが、踏んだ瞬間にモーターならではの瞬時の加速に入るので体感的にはもっと速いですね。予告せずにフル加速すると同乗者がムチウチになりそうです。
ステアリング左側にあるパドルを引くとブースト機能が働いて更に加速が強くなりますが、それと同時にスピーカーから轟音?も響いてくるのでそれは余計だな、と素直に思いました。ワインディングでのスポーツ走行では良いかもしれないですが、街乗りでは不要ですね。
シフトのスイッチを手前側に引くとドライブモードが通常のものか回生ブレーキでワンペダルドライブが可能なBモードかの切り替えになりますが、Bモードにすると回生ブレーキの効きが強くてアクセルを離すと通常のフットブレーキよりも大きな減速Gが出て止まってしまうため、ややアクセルコントロールに気を遣います。もう少し回生ブレーキの効きが弱目の方が良さそうですが、パドルでの調節は出来ないそうです。アクセルペダルの戻し加減でもう少し回生の幅があるといいですね。
カタログでの一充電走行距離はWLTCモードで455kmだそうで試乗を終えたところでの表示は360Kmほどだったので現実的には400Km未満の航続距離でしょうから、個人的にはちょっと短めですね。遠出するには絶対1回は充電しなければならないので不便に感じてしまいますし、出先で駐める場所にも不自由しそうです。
次に乗らせていただいたのはディーゼルの523d xDriveです。こちらは以前よりは微妙にパワーアップされていて197ps/400Nmですが、i5 M60より500Kg軽いものの加速の感じは半分以下といった感じで新ミドリーヌ号と比べて50Kgほど軽いものの明らかに遅いです。4気筒なので意外とエンジンの振動も感じ、5シリーズから予想される滑らかさはそれほど感じませんでした。でも、車体が500Kg軽い分の軽快感はありました。これで6気筒の540dなら文句なしですが無いものねだりですね。
もちろんディーゼルなので満タンにすればEVよりも2倍前後は長く走れそうですが、何故か燃料タンクは3シリーズと大差ない60Lに減ってしまっているので、3L直6のアルピナD3Sと比較しても遅い上に満タンの航続距離も短いし良いとこ無しです。車体が大きくなっているのにトランク容量も燃料タンクも先代より小さくなっているのはEVと共用設計の弊害ですね。
これがガソリンの523iでしたらパワーは190ps/310Nmに落ちるので、更に遅い上に燃費も悪くなり、ガソリンの軽快感はあるかもしれませんが単なる廉価版にしか思えません。もちろん5シリーズならではの高級感やゆったりした居住性はあるのでしょうが、全長5m超えで幅も1900mmでは普段乗りは出来ない感じです。
ただ、どちらのモデルも標準で後輪操舵機能が装備されていて最小回転半径は5.3〜5.4mなので、曲がり角などではイメージしたより小回りが効きました。
i5 M60ほど超絶に速くなくても良くて航続距離も欲しい、というとEVの下位モデルのi5 eDrive40が0-100Km/h加速も6.0秒で航続距離もカタログ値で580Kmに伸びるのでやや現実的かもしれませんが、それでも遠出にはちょっと不十分な感じです。
個人的にはM60とeDrive40の中間くらいの加速で航続距離が600Km超えだと選択範囲に入ってきそうですが無いものねだりですね。乗ってみればEVの動力性能と快適性の優位点は明らかなのですが、これだけ大きなセダンなら悠々と遠出したいので航続距離には不満がありますね。
そういう意味では先日メルセデスベンツのEQS45+がマイナーチェンジされ、バッテリー容量の増大で航続距離が759Kmに伸びたり、外観もクロームルーバーラジエーターグリルとボンネットマスコットを付与しているのはちょっと魅力的ですね。内装でも今まではオプションでも選択出来なかったハイパースクリーンが標準装備のようです。その分価格も上昇しているのでしょうが。でもこれなら実際的な航続距離は600Kmを超えるでしょうから自分の使い方としては十分合格点です。
EVとしては滑らかな加速で十分以上の動力性能でも航続距離が足らず、内燃機関だとパフォーマンス不足な上にスタイリングもイマイチだと、あえて5シリーズを選ぶ理由があまりない気がします。EVならテスラやEQSで良いでしょうし内燃機関ならメルセデスのEクラスやアウディのA5で良さそうな気がしてしまうのは私だけでしょうか。
同一モデルで様々なパワーユニットの選択肢があるのは悪い事では無いですし、上手く趣味に合えば十分魅力的なのかもしれませんが、内燃機関とEV共用シャーシはどっち付かずになっている印象ですね。バッテリー搭載のスペースを稼ぐために腰高になるのを全長を伸ばしてバランスは取ったもののトランクも燃料タンクも小さくなっているので、内燃機関モデルが割りを食っている感じですね。SUVモデルだとこうした弊害は出ていないように思えますが、セダンだと難しそうですね。
Posted at 2024/11/19 06:06:50 | |
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