■公演情報
PAUL McCARTNEY「OUT THERE JAPAN TOUR 2014」
2014年5月17日(土)、18日(日) 国立競技場
2014年5月24日(土) ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場)
開場 15:30 / 開演 17:30(予定)
※雨天決行、荒天時中止となる場合がございます。
その“まさか”が、こんなに早く実現するなんて、一体どういうことなのだろうか。昨年の来日が実現するまでは、熱心に交渉を重ねて11 年もかかったというのに……。あの「SEE YOU NEXT TIME!」は、あの時のポールの率直な心情だったのだと思う。もとより再来日の可能性など気配も無かったし、招聘した側も、すべての関係者も、名残惜しい想いはみな同じ。おそらくはポールもそうだったのだろう。最終日のアンコールで、「フクシマで被災した人々に捧げます」と言って「YESTERDAY」を歌い始めた時、ポールには内緒で主催者が5 万人に配っていた赤いサイリウムが一斉に灯されたのを見たポールは、一瞬泣き出しそうになるのを必死でこらえたという。
ポールの最新アルバム「NEW」が出て、世界最初の公演地だったという幸運も重なって、アルバムからの新曲を含めて最後の「GOLDEN SLUMBER」から「CARRY THAT WEIGHT」「THE END」を3曲として数えると全39曲、およそ2時間45分。その間、一滴の水も飲まず、全曲でギターかベース、キーボードなどの楽器を弾いて、ポールの声は日を追って伸びと色艶を増し、これが71歳を迎えた人とはとても思えない、実に充実したステージだった。
バンドの完成度も全盛期のウイングスに決して引けを取らないものだったし、何と言っても嬉しいのは新曲が入った分だけ減ったとは言っても、オープニングの「EIGHT DAYS A WEEK」から「PAPERBACK WRITER」「THE LONG AND WINDING ROAD」「AND I LOVE HER」など、1964年のビートルズ登場時から、66年の武道館で演奏された楽曲3曲を含めて、23曲にも及ぶビートルズ・ナンバーが聞けたこと。日本初披露の「Ob-La-Di, Ob-La-Da」の大合唱では、大声で歌いながら涙が溢れて仕方が無かった。
その思いは、ウイングスからポールを知ったファンにも言えることで、「BAND ON THE RUN」から「LIVE AND LET DIE / 007 死ぬのは奴らだ」にかけての派手な盛り上がりでステージはピークを迎え、その後に歌われた「HEY JUDE」では、「ラーララ、ラララーラー」と歌う男性ファンたちの頬にも、世代を超えて涙、また涙。