
素人インプレ〜マツダアクセラ
車名・型式・価格帯
マツダ アクセラ・BM2・ 171〜298万円
ミッション・駆動方式
6MT 2WD
エンジン型式・馬力・トルク
SH-VPTR 175ps/4500rpm 42.8kg/2000rpm
ファミリアの流れを受け継ぐマツダの世界戦略基幹車種、アクセラ。正直、これがコケたら
会社が傾くレベルの車種です。
故にその
気合いの入り方も相当なもので、上位とも言えるアテンザやCX-5にも搭載され評判の高い
クリーンディーゼルエンジンに
2000cc/1500ccのガソリンエンジン、それらは6ATに加え
全グレードでの6MTのチョイスも出来、さらにトヨタから技術給与された
ハイブリッドもラインナップする、まさに全方位一斉射撃的なグレード構成。
アテンザの出来が素晴らしく良かったので、期待せざるを得ないアクセラ、行きつけのディーラーに
ディーゼルモデルの6MTという超絶レアな試乗車が入ってきたので、乗ってきました。
スタイリング
正直、並べないと一瞬、
アクセラかアテンザか解りません。ただ2台並ぶと、なるほど、アクセラの方が凝縮感があって、ちょっと攻撃的。
ただ個人的には
もうちょっと差別化があって欲しかったな、と。あんまり
好きじゃないんですよね、ファミリーフェイス。
まぁかといってアクセラが格好悪いかと言われると、その逆。
メチャクチャ格好イイ。
シグネチャーウィンググリルはグッと力強く、このXD:クリーンディーゼルモデルはそこに
赤ラインが入ってスポーティさが出てます。
つっても
イメージカラーのソウルレッドだと全然目立ちませんけど、この赤ライン。他の黒とか青だとクッキリ主張しているんですが、イメージカラーで目立たないというのはどうかと思います。
サイドラインからリアにかけてのデザインもスポーティ。リアビューなんてまさに
スポーツハッチのそれです。
次期ロードスターよりも先にアルファロメオに
OEMすればイイんじゃね、アクセラ。と本気で思います。
インテリア
マツダの内装は〜と言われたのは、今は昔。まぁ300万円のクルマといえば300万円のクルマ相当の内装ではありますが、そのレイアウトがまたなんとも
そこらのいわゆるスポーティなセダンやワゴンとはひと味違う演出。
センターは
タコメーターがドーーン。他は小さく、デジタル表示。
「クルマは、タコメーターだけ見て運転してりゃいいんだよ」という開発者一同の声が聞こえるようです。(※タコなのはXDのみで、他のグレードはここはスピードメータです)
しかしそこに刻まれるのは5000rpmからのレッドゾーン、そう、ディーゼルエンジンなんですよね。フツーこの手のデザインだと、レッドは7000rpmからだったりで、これは不思議な光景。
ダッシュボードも
厚みのあるソフトパッドで、質感は十分。ドアも複数の素材がキッチリ配置されていてイイ感じ。シートも全く違和感なく座れ、なおかつサポートもピシッっとしていて、完璧に近い。
注文を付けるとしたら、各種スイッチ類の
手応え。自慢のマツダコネクトという集中管理システムのロータリーコマンドやボリューム、あとステアリングのスイッチなどのクリック感が
イマイチ安っぽい。もっとカチンカチン!とクルマの乗り味と同様、硬派なものが似合うと思う。
そしてこれはオプションでもいいから、
スイッチ素材が金属のものが欲しい。やっぱプラスチックはプラスチックなんだよなぁ。2万円とは、高くてもイイから、金属素材ロータリーコマンドとか用意して欲しい。こういう部分は今後のマイナーチェンジなどでいろいろ試行錯誤を期待。
エンジン・ミッション
これは、本当に、
素晴らしすぎる!
ATでも十分に相性は良く、その美味しさが味わえるスゴいエンジンだと思う。
が、MTだと
その一歩も二歩も先を楽しめる。
まずフィーリング。ガッシリとしたトルク感。スッと乗って、何の違和感も無くそのトルクを味わえるというのは、このディーゼルエンジンが
どれだけ素直な特性なのかがド素人の自分でも解る。谷間とか、そういうのが全くなく、全域でスムーズかつパワフル。とにかく心地いい。4000ccガソリンエンジンをMTで乗ると、きっとこんな感じなんだろうな。
MTのフィーリングもまた非常にいい。メカニカル感はFRのNCロードスターと比べると劣るけど、その分
なめらかな感触が非常にイイ。
ギア比も適切で近すぎるとか離れすぎてるとかが無く、1〜6速まで何の違和感も無く乗れる。2000rpm手前でポンポンシフトアップしていく
トルクに乗せる心地よさは、別格。なんぼATやクラッチレスMTが進化したとて、やっぱり自分でクラッチ操作をする楽しみの前には、
遠く遠く及ばない。クラッチ操作は今や完全に趣味の領域。
だが、それがいい。
もちろんひとたび踏み込めば、まぁあっという間に法定速度なんか上回れます。なんの予備動作も無く、スッと。かといってパワーが過剰ではなく、自然に下から上まで使い切れる直感的な素性の良さが本当に素晴らしい。
なんてぇか、
運転が上手くなったような錯覚すら覚えます。
足回り
CX-5やアテンザでちょっと感じた
ノーズの重さを全く感じない。いや、正しくはノーズの重さというより、
フロントの堅さ、か。
サスはめっちゃマイルド。ゴルフとかフィットとかと比べても、全然マイルド。段差とか乗っても、重いディーゼルエンジンを載せているとはまったく思わない収まり。床下に重いものが集まってる
EVのリーフみたい。スゲーな、これ。
かといってステアリングを切り込んだ時にダルいかと言うと、そんな事も無い。ただやっぱエンジンのトルクがハンパない分、コーナリング途中でアクセルを開けるとフロントのトルクステアを感じる。そりゃ40kgfとかの鬼トルクなんだからこうなるのは当たり前でそこは
楽しみの領域、だろうなぁ。あえて
トラクションコントロールとかのデバイスの介入を過剰にしてないところからも、それは魅力として、というメッセージを感じる。
もちろん、フツーに乗ってる時には素直極まりなく、いやなキックバックもトルクステアもありません。
ブレーキは初期制動が柔らかめで、奥で効くタイプかな。この辺りは試乗では無理だけど、そこはブレーキには定評のあるマツダ、抜かりは無いと思います。
あとそういえばアクセルのオルガンペダル。オルガンペダルって違和感のある場合が時々あるんだけど、このアクセラのオルガンペダルは
非常に自然に踏める。シートとの位置関係がすごくいいんだろうねぇ。
総評
ウチはニッチなポジションを極める、というマツダの姿勢は正しいと思う。ハッキリ言って、
トヨタにはなれないんだから。これは世界のどのメーカーもそう。
あれだけの規模であれだけの生産力、開発力、技術力をまんべんなく維持出来るのは、トヨタしかいない。
LFAの生産現場の映像を見た事があれば解る。あのノウハウはLFA単体で終わる事は無い。いずれレクサス、そしてトヨタに降りてくる。
その超優等生があえて平均点を取りに来るのだから、そりゃたまったものじゃないだろう。
ならばどうするか。
特化するしかない。昔の日産やホンダは、そうだった。
そして今のスバルもトヨタグループ内の戦略として特化してきている。
これが
”劣る部分を個性と言って誤魔化す”というレベルの低いものであれば、すぐに立ち消える。実際、日本で欧州車なりの販売台数が伸びなかったのは、結局の所、
”特化”の正体がこれだったからだ。だが今は違う。品質の点で日本は追いつかれた。いやさ、
グローバルという名の下、日本メーカーが劣化した、と考えた方が正しい。
となると、やるべき事は
”取り戻す”しかない。
日本は1989年、一度クルマにおいて世界一になったと思う。あの年に前後して発売されたクルマは
当時最高であり、最先端だった。
悪く言えば
やりたい放題だったと思う。だけど世界でクルマを売るってのは、そのやりたい放題をしなければ、という事でもある。トヨタは圧倒的な平均点で、スバルはボクサーエンジンで、ではマツダはというと、
純粋に、走りを追い求めるというスタンスに走った。
大正解だと思う。
走りを求めるユーザーは
もうポジション的にはニッチ市場ではある。だが、
間違いなくそこに存在する。アクセラの
MT販売比率が日本の平均の1%未満と比較して10倍以上である事がすべてを物語っているだろう。
マツダには、
この路線を徹底的に突っ走って、なおかつ日本国内生産というクオリティの高さを武器に、戦ってほしいと思う。勝機は、十分すぎるほど、あると思う。
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Posted at
2014/02/14 22:23:57