チャイルドシート。
「チャイルドシート使ってるのに」―乳幼児の事故死が絶えない“衝撃の理由”
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20100722/1032449/
日経トレンディだけにCM色が強いのでちょっと抜粋で。
先日、衝撃的な数字が発表された。警察庁と日本自動車連盟が行った使用状況調査によると、チャイルドシートの使用率は
いまだに56.8%にとどまっているという。さらに、乳幼児の交通事故死率は義務化前から減少していたが、ここ数年は横ばい傾向にある。なかでも、チャイルドシートを使用しているにもかかわらず、依然として死亡するケースが後を絶たない。
2000年にチャイルドシートの使用が義務化された後、2005年まで死亡率は減少していたが、それ以降横ばいで推移。チャイルドシート着用者の死亡率もほぼ横ばい傾向にある。
国立保健医療学院 生涯保健部 行動科学室室長の藤原武男氏によると、「チャイルドシート着用が義務化された前後で、乳幼児の死亡率は有意に減少していない」という。つまり、乳幼児の交通事故による死亡を防ぐために法律で義務化したにもかかわらず、期待された成果が得られていないのが実情だ。
その原因として、藤原室長は
「チャイルドシートを使用していないか、あるいは正しく装着していないことが挙げられる」と話す。
図2の警視庁と日本自動車連盟の調査結果をみると、1999年に15.1%だった着用率は2001年に44.3%、2002年に52.4%と大幅上昇したものの、10年間ほぼ横ばいで推移。2010年も6割を切っている。
さらに、「乗車時に必ずチャイルドシートを使用する人はわずか39.7%。6割は使用しないことがある」と答えている。使用しない理由は「赤ちゃんが激しく泣くから」(1位)、「赤ちゃんが嫌がるから」(2位)、「同乗者がいて赤ちゃんを抱いてくれるから」(3位)など。この結果から「赤ちゃんがかわいそう、同乗者が抱けば問題ないと考えている親がかなり多いことも浮き彫りになった」(藤原室長)。
チャイルドシートは本来、後部席に設置しないといけない。しかし、正しく装着できていない人は意外と多いという。統計すると助手席に設置していた人はチャイルドシート使用者の25.5%にものぼる。一方、安全な後部席に設置していた人は全体の半数にも満たない。さらに、車両へのチャイルドシートの取り付け方が間違っている割合は全体の63.5%、座らせ方が間違っている割合も4割にのぼる。
「つまり、赤ちゃんを正しく安全にチャイルドシートに乗せている人は全体のたった2割。
助手席に設置するなんて、北米では自殺行為に近い」と、藤原室長はチャイルドシートに対する日本人の認識の甘さを訴える。警察庁によると、
チャイルドシートを使用していない人の死亡重傷率は、使用している人の約2.7倍。正しく使用していない場合の死亡重傷率は、正しく使用した場合の約7.1倍という結果も報告されている。
この手の話をするに、思いこみや意見のすり替え、一部の酷い実例を持ち出す「詭弁の法則」より、まずデータで語るという方法は間違ってはいないと思いますが、
このリンク先の文章は「あくまでデータの羅列だけでは説得力がない」という典型的な例かな、と。
まず根本的に43.2%のチャイルドシートを使用してないという
”チャイルドミサイル発射台”には今更何も言う気はありません。仮に言ったとて、
そもそも日本語すら理解してもらえないでしょうから。
個人的にはチャイルドシートを装着していなかった場合の社外への子供の投げ出し死亡事例については、
チャイルドシートを使用しなかった親に幼児虐待、もしくは殺人罪を適応する、という風に法律を変えてもらいたい。
こういう解りやすい罰則でもないと、
その43.2%のサルには事の重大さが理解できないでしょうし。
まぁそれはそれとして、今回話題にしようと思うのはチャイルドシートの間違った使用方法をしている人。
このリンク先にはそもそも
なんで助手席へのチャイルドシートの装着がダメか、が書かれていない。
意味を理解しないから間違った行動をする、という最初の行動原理に対しての対処を行っていないのは非常に不適切に思う。さらには「それは間違っている」という事だけは解っている人も、なんでダメなのかが解っていないから間違った使用方法をしている人に改めさせる説得力も生み出せない。
せっかくのデータが、もったいない。
ではまず、クルマにおいて一番耐衝撃性に優れた設計がなされているのはどこか?
データとして出されている中では衝突安全基準もあり、最も多く人が乗るスペース、
運転席と助手席が一番耐衝撃性に優れていると言えるでしょう。(ただし実際自動車の構造上、一番安全なのは「クラッシャブルゾーンが多くあり、かつクラッシャブルゾーン以外の自動車構成物(エンジン・ドライブシャフト等)が少ない場所」なのだけど、それに該当するセダンorワゴンの後部座席のデータ等がないのでちょっとそこは保留。)
さらにワゴンRやムーブのような軽トールワゴン辺りだと
後部のクラッシャブルゾーンがほぼ無く、運転席や助手席に比べ後部座席が
単純な事故衝突時の変形に対し強いかと言われると、疑問が残る部分がある。
が、それでも何故助手席へのチャイルドシート装着がダメかというと、
まず一つはエアバッグ。
ちょっと前までは助手席エアバッグキャンセラーが装着されていたクルマもあったのだけど(プジョー307とかもエアバッグキャンセラーがあった)最近のクルマは
サイドエアバッグやシートベルトプリテンショナー等との連係動作が一般化している為、エアバッグキャンセラーが無い。(ヒューズを抜いたり社外品のキャンセラをかませたりというのも見るが、上記の通り最近の安全装備はすべてが連動しており、
素人がカンタンに手を出す部分ではないと思う。)
もちろんエアバッグは一般的な人間の体格に合わせて展開するように設計されているので、チャイルドシートがあった場合それを押し出すカタチになり、事故の際は
安全装備であるはずのそれが危険増加装置になってしまう。
まずこれが一つ。そしてもう一つの助手席への装着の危険性。
例えば人間、
前からモノが飛んできたとする。
さて、どうする。
範馬勇次郎のように
真っ正面から正拳で対抗するとか、藤木源之助のように
刀の腹で受けるとか、フリーザさんのように
「今のはちょっと痛かったよ」とヨユーで返すか・・・まぁそういう人達は別として、
フツーは「避ける」でしょう。
さて、勘のいい人はもう解ったでしょう。
人間、事故を避けようとする場合、「運転席」を回避するんです。
そうなると次はどこが
被事故対象となるか。
言うまでもない、助手席です。
助手席へのチャイルドシート取付は禁止はされていないけど、
多くの事故の際、確率的に最もダメージが少ない場所へ取り付けられるべきであるチャイルドシートを助手席に着けるのは間違っている、と言われる理由にはこういうものもあるのです。
クルマを
全くの静止物として考えると、また違うのですが、クルマを使うのは
あくまでドライバー。
そしてドライバーは
常に最も危険の確率が低い方を選び続ける義務があります。(こう書くと子供のように一部の例外を声高に叫ぶ人がいますが、どれだけ頭が悪いのかと思います。)
もちろんすべては自己責任、すべては確率論です。
だけど少なくとも自分は
切れかかったロープの吊り橋よりも、キッチリ作られた鉄筋構造の橋を渡りたいと思いますし、友人にもそう勧めます。
まぁそういう話したとて、チャイルドシートを使わない・助手席に取り付ける人のほとんどは
「子供が泣くから可哀想」とか「運転に集中できない」とかの実際の安全性云々以前の理由ですけど。
ならさ、
「子供が死ぬ確率が増す」のは容認するんだ、と思いますね。
チャイルドシートに座る事を理解できない0~1歳児を連れて運転する時間なんてどれほどでしょうか?人生においてどれだけの時間ですか?
それくらい、泣かせておきなさい、そして聞き流しなさい。
それで得るものはあれど、失うものはありませんよ。
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Posted at 2010/09/18 09:50:29 | |
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