i-DM~マツダの世界を変える一歩。
先日試乗し、
素人インプレッションにも掲載したデミオSKYACTIV。
全体として素晴らしい出来で、トータルバランスにおいて
世界一ィィィ!と言っていいコンパクトカーに仕上がっていました。
さて、そこに新機能として追加されていたのが
「i-DM」“インテリジェンス-ドライブマスター”というもので、これが
ドライバーの運転診断をしてくれるというもの。
大抵この手のインジケータはエコ運転とかいうのの表示ですが、そこは走りオタ御用達のズムズムマツダ。そこにもう一つ、
「スムーズな運転」という表現を追加したそうです。なるほど、スムーズな運転こそもっとも良い運転なのは間違いない、面白い着眼点!
と、まぁ自分が知っていたのはディーラーさんに聞いたここまでで、
「ほほぅならば受けて立とう!我が運転にて!」とGガンダムテイストな意気込みでデミオの運転席へ。
「高燃費運転だとグリーン、スムーズな運転だとここがブルーに点灯します。アクセルとブレーキはこの両端が点灯します」と教えられ、試乗路に。
ふむ、走ってみると基本グリーンのランプ
付きっぱなしだな。エコランとかそういうの全く気にせずにフツーに流れに乗って走っているだけだから、
高燃費領域、相当に広いな。そして時々パッとブルーに変わる。ほうほう、なるほど、これがそうか。
が、ペースを上げてもなかなかもう一つのアクセル&ブレーキのホワイトのインジケータが
点灯しない。うむぅ、踏み方が甘いのかとちょいとペースを上げてブレーキを残しつつスッと切り込んでみるが、それでも点灯しない。インジケータはブルーのみ。
そう凝視しているわけにももちろんいかないし、試乗中にはこのインジケータの意味がイマイチ理解出来なかった。で、インプレ書いた後にやっぱ気になって調べてみると、なるほど、この
i-DM自体の面白さが解った。
まずそもそもこのi-DMは
一般ドライバーとマツダテストドライバーのアクセル・ブレーキワークに相当な差があった、という事が始まりらしい。そうだよな、考えてみれば自動車の開発をしている側の、しかもテストする人間の運転レベルってそりゃ相当なもの。AT限定免許がはこびる今の一般ドライバーとの
運転技術の差は広がる一方だろう。
その差を
電子制御で徹底的に潰したクルマが3代目プリウス、だろう。実際プリウスに乗って聞こえたもんな、
「ヘタクソはガタガタ言わずに俺に合わせろ、な?」という開発者の声を。
ではそこでマツダはどうしたかというと、これがi-DM。
テストドライバーの運転をベースにした“スムーズな運転”を測定するという試み。
これいうなれば
ヘタクソにヘタクソと突きつける事になる、メーカーがユーザーの運転を評価するという、とても大きな挑戦だ。
そう、今までものこの手のインジケータは付いていたが、
それはどれもヘタクソに「ワタシはエコしてるわ、ワタシ地球に優しい」というオナニー的な満足感を感じさせる為だけの、道路の流れも読まずにチンタラ走る他者の迷惑上等な
キチガイさん向け“エゴドライブ推奨ランプ”だった。そこにそれらとは全く別の評価を下すこのテストドライバーベースの運転レベルのインジケータというのは、本当に面白い試みだと思う。
んでその開発者のインタビューなどがいくつものサイトで散見されるが、その中でも最も解りやすい一部を抜粋。
「マツダとしては、“燃費だけじゃない、走りの楽しさを知ってほしい!”という考えが、このi-DMに表れています。具体的には前後の加速度は4輪の車軸センサーを微分して導きだします。左右のGは車速とハンドル舵角からの計算です。ガソリン流量や加速度の最大値は関係なく、そこに至るまでのスムーズさが大切という評価です。急激な操作がないということが運転の巧さになり、それが最終的に安全につながると考えています」
全く同意だ。もちろん
スムーズな運転というのは他車との相対関係を適切に持つなどさまざまな運転技術的な要因が必須となる。それはイコールで従来のエコ・エゴ運転とは同居しない事を意味し、なおかつそれがエコカーであるがデミオSKYACTIVというクルマにピタリと合っている、というのがこの機能に
さらに深い意味を持たせている部分と言えるだろう。
これらを含め、デミオSKYACTIVは
本当のエコカーであると思う。
道路の流れを乱さないスムーズな運転を信条とし、なおかつ燃費も良く、当然滑らかな運転は各種消耗品の寿命も延ばす。このトータルでの省資源性能はi-DMを含めて、もっともっとアピールすべきだと思う。
さて、んで例のアクセル・ブレーキのホワイトインジケータだが、このサイトの動画でやっと意味が解った。
これ「上手く運転したら点灯する」んじゃなくて「ヘタクソだったら点灯する」んか!
解るかそんなもん!まぁとりあえず点灯しなかったって事はそこそこスムーズな運転出来てるって意味だな…しかし
どんだけ雑な運転したらあのインジケータ点灯するんだよ…
あと素人インプレッションにも書いたけど、これ
ライン出力出来るようにして、カーナビのディスプレイとかに
もっと大きく表示出来るようにすればいいと思う。(もちろ画面注視は危険なんでダメだが)もっと視認性を高く、もっと内容を精細に、かつ運転者以外の人間にそれを認識出来るようにする事は、間違いなく運転技術の向上に大きな役割を果たすと思う。
そりゃそうだ
インパネ中央のディスプレイにデカデカと「ヘタクソ!」って表示されるのはインパクトあるだろう。
あまつさえ彼女の前でそんなの表示された日には、
男として終わったも同然。スターリング・モスの名言
「男には下手だと認めたくないものが二つある、一つは運転、もう一つはセックスだ」の通りだ。北方謙三なら
「そんな男は死ね」と簡潔に答えてくれる事だろう。
この運転が下手な男は死ねという事の意味が理解出来ない男は、それこそ生きている価値がない。
あとこういう機能があるならさ、ユーザー登録してデータ送って
全国のランキングとか出来るようにしても面白いかも。スムーズな運転具合の競争、まさにマツダらしいとはこの事じゃないか。こういう評価のモノサシがメーカーから提供された事ってのは過去に無く、独自の世界を築く材料として面白いと思う。
そして今後このi-DMが広がっていくとして、車種によってはその
スムーズさの評価をシビアにしていっても良いと思う。
RX-8やロードスターのオーナーがコンパクトカーやミニバン購入層と同じ基準では甘すぎる。スポーツカーに乗る者は当然、その他のドライバーより運転が上手くて当たり前なのだから、あのユルユルなスムーズさ判定で“良”と評価されても
面白くないだろう。
これをきっかけに、
「上手な運転こそがすべてに勝る」という事を示してゆけば、世界的に見てもトップレベルの脚のクルマをいくつも作っているマツダには、大きなプラスの流れになるんじゃないだろうか。
i-DM、面白い。
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Posted at 2011/08/11 17:54:06 | |
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