先ほどニュースで「あかつき」の金星軌道投入が成功と報道されとりました。
2日ほど前に、軌道に乗るための噴射が行われたって報道があったので知っている方も多いと思う。
これで、日本が月を除いた惑星に人工衛星を周回軌道に乗せた初めての例になったのだが。。
ここに至るまでには壮絶な「あかつき」の旅があったんだよね。
2010年、「彼」は金星に向かってH2-A 17号機にて打ち上げられました。
約半年の期間を経て、ようやく金星軌道付近に到着。
減速噴射をしていよいよ金星軌道に乗ろうとした時の事だった。
500N(ニュートン)のメインエンジンを吹かし、減速していたんだよね。
金星の裏側を抜け、金星軌道に乗るはずだった。
だが、裏側を抜けた時には、減速できず、あさっての方向に去っていく「あかつき」
運用チームは何が起きたのがわからず。。。この時は、ただ過ぎていく金星とあかつきを見守るしかなかった。
後日、運用チームは原因を突き止めるべく、噴射テストを実行した。
「あかつき」は命令通り噴射を開始したが、観測によって予定の1割以下の推力であることが判明。
どうやらメインエンジンに致命的な故障が発生したらしい。
悩むチーム。
さらに後日、製造元との検証によって、半年の飛行の間、推進剤と燃焼剤を隔てている逆止弁が原因で推進剤と燃焼剤の配合がおかしくなり、エンジンノズルが溶け落ちた(無くなった)との解析結果がでた。
運用チームはメインエンジンの使用を断念。
普通ならココであきらめるところだ。 しかし、あきらめないのが日本の宇宙開発。
(予算もないし)
金星付近での太陽公転軌道に乗っている「あかつき」。 数年すると金星との再接近のチャンスが来る。
そこで軌道変更すれば小さい労力で金星軌道に乗れるカモ?と考える。
計算結果では再接近は6年後。 でもそれじゃ衛星の寿命が尽きる。
半年の飛行+2年間の観測のつもりで設計していた衛星なのだ。
姿勢制御用のスラスターを噴射しつづければ、軌道変更が可能かもしれない。
そんなバクチしかなかった。
姿勢制御用のスラスターを連続して噴射するなんて想定もしていなかったのだ。
しかし、テストしてみると、スラスターはなんとか持ちこたえた!
これで金星への再投入に光が見えてきた。
課題はこれだけじゃない、実に再投入まで4年も待たないといけない。2年半の寿命設計の衛星を延命する必要があるのだ。
金星の軌道付近では太陽も近く、太陽による劣化もある。
電池だって持たない。
そこでチームは考えた。
地球との通信に使うハイゲインアンテナを日傘にして衛星へのダメージを小さくしよう。
電池は、一番長持ちする充電率にコントロールすることで延命する。
できれば電池付近の温度を0度位にしたい。
しかし、ハイゲインアンテナを太陽に向けるということは地球との交信にローゲインアンテナしか使えない。つまり通信速度がすごく遅く、衛星のコントロールにタイムラグが大きくなるってことだった。
衛星を軽くするためにメインエンジンの燃料も投棄。
やれることはすべてやった。 あとは数回のスラスター連続噴射による軌道変更。
ただ待つしかない。 金星が近づいてくるまで。
開発チームのあせりや不安がどうだったのだろう? 今は報われているのだろうか?
じっと「あかつき」を信じ、再投入を夢見る日々。 自分じゃ耐えられないだろうなぁ。
そんなチームに感謝を送りたい。
*************
JAXAでは「あかつき」は男の子キャラに位置づけられているんだよねw
で、例の萌え衛星図鑑ではこうなってる。

観測機器ではカメラが主力なので、カメラを持ったキャラ設定だわ。
*******
無事に金星探査を完了してもらいたいね。 半年後のデータが楽しみである。
ブログ一覧 |
宇宙物 | 日記
Posted at
2015/12/09 21:06:02