今日はヘンタイと言うには、ちょっと違うが、面白いエンジンを紹介しよう。
可変圧縮エンジンなのだ。
えー? そんなのキワモノじゃないのー?と思うだろうが、何故可変なのか理由がある。
しかも、ディーゼルエンジンなのよ。 ますます、変な方向w
コレに至るには歴史的な背景があって、先の変なエンジンシリーズを読んでいただいてる方々は、ご存知だろうが、昔はエンジンが国の行く末を決定していた。
戦車、航空機、潜水艦、などなど。
だが、戦争に敗れ、国を守ってきたエンジン達は鉄くずに。
替わって、戦後荒廃した国を立て直すべく、市民の足となるべくのエンジン。
そう、それが今日紹介するローマン エンジンなのだ。 (前置き長いね)
可変圧縮にした理由は戦後、燃料の量、質に悩んだ結果、
小排気量のディーゼルで、燃料の質を問わない為に可変圧縮なのだ。
ローマンエンジン 1952年
わずか18ccのディーゼルエンジンで、自転車用に開発された。
クランクからの出力を減速してゴムローラー(直径80mm位)で出力。リアタイヤを直接回す。
搭載部分のアップ
エンジン断面
構造図
可変圧縮の幅は、10~64まで変化する。 通常のディーゼルだと大体15~20程度だから可変する幅が大きいね。
で、可変方法なんだが、ハンドルまで伸びているワイヤーをグイっとする大胆な方法。
だからって、ヘッドをワイヤーで直接支えるようなヤボはしない。
(圧力的に手で支えるのは無理だし)
ヘッドの横からでっかいネジで燃焼室を支えていて、そのネジが回転するとヒコヒコと燃焼室が前後する(横置きだからね)
ディーゼルのクセに燃料供給系もちょっと変。
吸入空気の通路に、燃料計量のジェットがあり、ニードルを出し入れして燃料の量を決める。
空気制限がないキャブみたいなもんだ。
これで、わずか18ccの排気量(25ccのバージョンもある)で1.5馬力 リッター馬力に換算すると83馬力。(数字が25ccだとすると60馬力)
ディーゼルエンジンとしては立派な数字だ。
しかも8000回転まで回る! 高速ディーゼルも真っ青だw
ちなみに最大トルクは0.15なんで自転車の車輪と組み合わせると十分。
これでエンジン重量が5kgだったというから、現代のアシストサイクルより軽い。
ドイツで活躍していたローマンエンジンだが、敗戦国である日本でも同じような経済状態。
そこで、愛三工業がライセンス生産を日本でも開始して1954年に発売されていた。
(ホンダもA型エンジンとかやり始めた時代だわね。)
それにしても、なんだかんだと世界を(今も)リードするエンジンってのはドイツ製なのかねぇ?
日本も大量生産の技術だけじゃ、そのうち食って行けなくなるわなぁ。
頑張れ! 日本のエンジニア。
おまけ:
ローマンエンジンの動画があったので紹介しておきますわ。
デバイスが何もないので、始動性に難があるのはわかるんだが、大胆な暖気方法だ。
(タイガー戦車はエンジンの下で焚き火をして冬場の暖気をしたらしいが。。)
https://www.youtube.com/watch?v=vVnOM_JZt9A
案外、走ると速いんすねー。
ディーゼルなんでクランクが重いのかと思いきや、デコンプ(燃焼室中央のバルブね)がついているので、そんなでもないんすねぇ。。
https://www.youtube.com/watch?v=aKQIctIRf0M
Posted at 2015/09/23 22:23:04 | |
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