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ゴキちゃんのブログ一覧

2009年09月10日 イイね!

点火時期の考察 =後編=

点火時期の考察 =後編=









点火制御の基礎を確認したところで、次はゴキちゃんお得意の実践テストです。
(こんな事ばっかりしてるからエンジンを不調にしちゃうんですよね~Orz大反省)

<実践テスト>
・N/AエンジンではMBT付近で点火Mapを作って行く訳ですが、T/C付きエンジン
 では興味深いポイントがあります。
・テスト車輌は不調になる前のゴキちゃん号(RB26DET、ハイカム+TO4Rカットバ
 ック) です。そして、今回の課題は「ターボの立ち上がりを早めること」です。
 テストパターンは3rdギヤで低回転からの全開加速、点火時期をやや遅めにした
 パターンAと通常の点火時期のパターンBでの比較です。
 ログデータは重ね合わせが難しいので、今回はエクセルで整理して比較しまし
 た。

<比較結果>
・2つのグラフ使って比較してみました。
 グラフのの横軸は共に時間軸で、3000rpm時点をスタートとして揃えています。
 各項目の末尾にAの付く方は(Bに対して)点火時期を最大5度遅角させたデータ
 のものです。Aのデータは青色、Bは赤色で表しています。
・先ずは上側のグラフについて、
 ブースト圧を見ますと、点火時期を遅くしたAの方がブーストの立ち上がりが若干
 早くなっています。数値上では4000rpm以上からフルブーストの5000rpmまでで
 0.1~0.2Kg/cm2程度高めのブーストを示しており、フルブーストになる回転数も
 Aは4900rpm、Bは5000rpmと100rpm程度下がっています。
 空燃比は殆ど変化していませんが、燃料消費率は1~2%増えています。
 (燃料消費率はグラフには未掲載)
・次に下側のグラフについて、
 点火時期を遅くしたAの方がブーストの立ち上がりが早くなっていましたが、エン
 ジン回転数の上昇度合いは殆ど同じでした。(±100rpm以下の誤差範囲)
・話を整理しますと、
 ①ターボ立ち上がり付近の点火時期をやや遅くする
  →②ブーストの掛かりは若干早くなった
    →③加速性能は殆ど変わらない

<考察>
・ターボの立ち上がり領域において点火時期を遅くすると、燃焼タイミングが遅く
 なるため、シリンダー内での熱エネルギー回収分が減り、その分、排気(排出)
 エネルギーは大きくなる。
 そのためターボの仕事量は増加するが、点火時期を遅らせた事によりエンジン
 本体のトルクは減少し、結果的に両者が相殺されて加速力は変わらなかった。

<まとめ>
・今回の結果は珍しくゴキちゃんの狙い通りの結果となりましたが、点火時期が
 適正範囲を大きく外れた場合(例えば点火時期を10°以上遅くした場合等)は
 加速性能は低下すると思います。
・今回のAとBで、フィーリング的にはAの方がややドッカンターボ的で速く感じまし
 たがタイムは有意差なし。エンジンの効率面や燃費ではBに軍配、ノッキングの
 余裕度ではAに軍配。
 どちらを選ぶかはチューナーの好みと言う事になると思います。
・余談ですが、以前にツインターボのサージングについて述べた中で、対策のひ
 とつとして点火時期を早める事を提案しましたが、実はこの事についても立証し
 たかったのです。
 つまり、サージング領域での点火時期を早める事によってタービンの過剰仕事
 を減らしながらも、エンジン本体でトルクを稼ぐ考え方です。

※こんな事を考えたり、書いたりしてると、気が紛れるんですよねぇ・・・
  あっ、また思い出してしまった・・・トホホ(★_★;)
Posted at 2009/09/10 22:22:04 | コメント(1) | トラックバック(0) | 点火時期 | クルマ
2009年09月10日 イイね!

点火時期の考察 =前編=

点火時期の考察 =前編=









今回は点火時期について少しお話をさせて戴きます。

<点火時期について>
・そもそも点火時期とは何でしょうか?
 具体的には「ECUが点火プラグに点火信号を送るタイミングを指し、1番シリンダ
 の上死点をゼロとして、ここから何度進んだ位置で点火するかを クランク角 で
 示したもの。」と言う事になります。
・図にて一例を紹介します。
 この例では点火時期がBTDC25°(Befor Top Dead Center)で点火プラグに
 点火されています。点火後に火種が発生し、これが成長して完全に「着火」する
 までに少し時間(着火遅れ)を要し、更に完全燃焼するまでに「燃焼期間」と呼ば
 れる時間を要します。
 つまり、シリンダ-内の燃焼は点火後すぐに起こるものではなく、完全に燃え拡
 がって燃焼圧力を発揮するまでには僅かな時間が必要と言うことです。
 そして、このプロセスで重要な事は、燃焼によって得られる圧力を如何に有効に
 エンジンントルクに変換するか
と言う事です

・例えば、自転車を速く走らせようと考えてみて下さい。
 ペダルが真下の位置にある時に思いっきり下に踏みつける人は居ませんよね!
 また、ペダルが真上にある時に思いっきり下に踏みつけてもダメですよね!
 大抵の方はペダルが真上から少し下がり始めた位置で強く踏めば速く進む事を
 経験的に知っていると思います。
・実はエンジンも全く同じなのです。専門的には「シリンダ内の燃焼圧力を効率良く
 回転トルクに変換する為には 「上死点後の約20°辺り」 に燃焼圧力最大点を
 持ってくる事が良い。」とされています。
 つまり、こうなるように点火時期をコントロールする訳です。
・もう少し専門的な話になりますが、、
 「着火遅れ」 は点火システムの仕様によって決まり、エンジン回転数や負荷に
 関らずほぼ一定の時間となります。つまり、エンジン回転数が変化しても常に同じ
 クランク角で着火させるためには回転数に応じて点火時期を進めなければなり
 ません。(これはガバナー進角と呼ばれます。)
 「燃焼期間」はエンジン回転数にほぼ比例して短くなっていくため、回転上昇に
 より点火時期を進める必要は殆ど有りませんが、エンジン負荷が小さくスロットル
 開度が小さいほど燃焼時間が長くなりますので軽負荷域ほど点火時期を進める
 必要が有ります。(これはバキューム進角と呼ばれます。)


<最適な点火時期とは?>
・上で述べました様に、最適な点火時期とはエンジン発生トルクが最大となる点火
 時期であり、MBT(Minimum advance for the Best Torque)と呼ばれます。
 但し、MBT付近ではノッキングが発生し易くなり、特にMBTより進角側ではノッキ
 ングが急増しますので、実際にはMBTより遅めの僅かにノッキングが発生する
 点火時期がエンジン出力重視の最適点火時期と言えます。しかし、全運転領域で
 ノッキングが発生している状態はピストンや燃焼室に常にストレスが加わることと
 なり耐久性が著しく低下しますので、使用頻度の高い領域ではノッキングが起き
 ない程度の点火時期に設定しておく事が点火時期設定の基本となります。
Posted at 2009/09/10 22:10:34 | コメント(3) | トラックバック(0) | 点火時期 | クルマ

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