スバルWRXのG20スピーカーを市販ネットワークなどでブラッシュアップ♪
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
ショップ作業 |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
12時間以内 |
1
WRX S4(前期型)のダッシュボードです。
スバルらしいスパルタンな造形に、ブラック&シルバーの2トーンにレッドの挿し色がスポーツマインドをくすぐります♪
センターに見えるナビはパナソニックのビルトインタイプです。
スピーカーはDIATONEのG20なので、オーディオ好きだと、ついサウンドナビを連想してしまいますが、市場全体を見渡すと、操作性や機能性が充実した総合点の高い製品の方が高シェアをとっている感じです。
さて今回は、プロショップならではの「純正システムのパフォーマンスアップ」の事例紹介です。
前段でも触れましたが、スバル車にはDIATONEブランドのスピーカーとナビがオプション設定されており、今回のWRXについているG20スピーカーがそれに当たります。
このスピーカーは、スピーカー本体こそ市販品とほぼ同一ですが、バッフル部、ネットワーク部はコストダウンされている印象で、比べてしまうとちょっと残念です。
特に、市販品G20の大きな特徴である帯域別ネットワーク(Hi側/Low側×2=左右合計4つ)は、その効果が絶大ですので、ネット等で情報を得たお客様の中には、なんとか市販品レベルをキャッチアップしたいとお考えになる方も少なくないようです。
ということで、今回はサウンドアッププログラムのアレンジ版です。
純正品のG20スピーカーのバッフルをカスタム品に置き換え、ドア防振で足場を固めます。そして市販品のG20用の4つの筐体で構成されるネットワークを調達し、スピーカーケーブルの引き直しも行いつつ、左右のツイーター・ウーファーそれぞれに介在させる作業を行います。
以前、同様の事例をご紹介して以降、純正G20装着車オーナー様からのご用命を着実に集めている裏メニュー!
施工の様子をどうぞ御覧ください。
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今回は、いきなり主役のウーファーから登場していただきましょう。
G20の市販品をご存知の方はお分かりになられると思いますが、ユニットそのものは、ほぼ市販品と変わらない外観をしています。
ただ、市販品のネットワーク筐体内に含まれるローパスフィルター(コイル)がコストダウンされ、バッフルの下部にちょこんとくっついた状態になっています。
今回は市販品用のネットワークに置き換えますので、まずはこのバッフルをカスタム品に作り変えます。
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こちらがバッフルの比較写真です。
説明不要ですが、ローパスフィルターのない左側がカスタム品です。
フィルターの有無以外の変更点にお気づきになられるでしょうか・・・?
スピーカー背面の音抜けがよくなるように、バッフル内面の形状を工夫してあるのです。
写真のバッフルの手前側がスピーカーが取り付けられる面で、奥に行くに連れてテーパー状に広げてあります。
こうしておくと、ずっと同じ直径の無加工状態に比べて、スピーカーのコーンが前後に動いたときの空気の移動の抵抗が減るので、音のもたつきが起きにくくなるわけです。
しかしながら、純正品のバッフルの厚みでこれをやろうとすると、テーパー化で削り取った分、薄くなってしまいますね。
そうならないように、削り取る分を見込んで、バッフルの厚みをあらかじめ厚くしてあるのです。
両バッフルとも同じレイアウトになっている取付用のネジ穴を基準に見比べていただくと、カスタム品のほうはネジ穴に被るギリギリのところまで厚くなっているのがお分かりになられると思います。
そういうことです♪
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カスタムバッフルと並ぶ、今回の目玉のネットワークです。
市販品のG20の添付品を取り寄せました。
既述ですが、このネットワークは左右に2つづつ、合計4つで1台分です。
写真をよく見ていただくと判読出来ると思いますが、上がウーファー用、下がツイーター用で、中にはコイルとコンデンサーが入った二次フィルタが組んであります。
純正G20スピーカーシステムにおいては、このネットワーク内に収められているコイル・コンデンサーのうち、ツイーター側に(低域をカットする)コンデンサーのみ、ウーファー側に(高域をカットする)コイルのみを取り付ける方法を採ることで帯域をわけていますが、上述のネットワークに比べると、ここから上(下)はカットするよという周波数から、実際に出なくなる周波数までの坂道がよりなだらかなので、ツイーターとウーファーの音の境界が甘くなり、比較的もやっとした感じがします。
(市販品のネットワークの構造と効果については、一番最後のコマに詳しい解説をつけておりますので、興味のある方は御覧ください。)
なお、スピーカーケーブルの引き換えを行う関係で、写真のケーブルは短くカットしてしまっていますが、本来はだいぶ長いです。頑張ればヘッドからユニットまでなんとかいける長さはあると思います。
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目玉のスピーカー・ネットワークのご説明から始めてしまいましたが、取り付けが一通り終わった状態がコチラです。
インナー/アウターパネルをキレイに清掃後、オーディオテクニカのAT7550R/AT7560Rを使って防振しています。
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次にツイーター作業をご覧に入れます。
ウーファー同様、ツイーターも、ユニットそのものは市販品とおなじものが使われています。
写真の黒いブラケットのカップの中に、そのユニットが収められています。
手前に見えるのは、ハイパスフィルターとして装着されているコンデンサーです。
今回は市販品用ネットワークを使いますので、この赤黒配線を抜いて、回路から切り離してしまいます。
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ダッシュ両脇の標準の位置に設置した状態です。
純正部品の状態では、ツイーターの振動板はメッシュグリルで覆われていますが、障壁を減らす意味で取り外しています。
このあと、ダッシュボードと同デザインのグリルをかぶせることになりますので、防護面での心配はありません。
ご覧いただくとお分かりのように、このブラケットはツイーターに角度をつけて設置できるようになっているんです。
こういうの意外とないんですよね。スグレものです。
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工法はフロントと同じですが、このタイプのスピーカーをご覧になったことがない方がいらっしゃるかもなので、リヤドアのカットをひとつ足しておきます。
このスピーカー、コーンのセンターキャップのところに、プリンカップのような振動板がついています。
一見、ウーファーとツイーターが同居しているコアキシャルのように見えなくもありませんが、信号はフルレンジ1本で、コーンが大小2つある「ダブルコーン」と呼ばれる方式のスピーカーです。
細かい振動を必要とする高音域の再生時、(大きな)シングルコーンだけだと、細かく動こうとする中心部(コイル部)の動きに周辺部が追随しきれず、コーンに歪みが生じる現象がおきますが、中心部に微振動が得意な小さい振動板を付け、高音域の再生を受け持たせることで、前述の歪みを感じにくいように聴感上のバランスを取るという発想の技術です。
あくまでも、大小2つのコーンが同じコイルの軌道上に乗っかっており、個別に駆動されているわけではないので、ツイーターのような高域再生はできませんが、個別制御の2wayをすりあわせて合成した音ではない、フルレンジならではのシームレスなナチュラル感のある音が持ち味です。
ちなみに、このユニットも一応G20ということになっていますが、市販はされていないようです。
当エントリーの最後に、市販品のネットワークの構造と効果について説明を加えさせていただきます。(画像は、当店HPにてご確認くださいませ。)
一般的なネットワークは、片側1chあたり、ネットワークのハコは一つで、デッキから入った1chの線が、ツイーター用とウーファー用の二股に分かれて出力される格好をしていますが、市販のG20用ネットワークはハコが高域用と低域用に分かれています。(写真の4つで左右2ch分です)
各メーカーとも、相応の対策は施していると思いますが、1箇所で高域と低域に分岐させると、相対的に強い低域側の信号が、弱い高域側の信号に影響するという基本的な考え方を突き詰めて、こういった帯域別ユニットの形式にたどり着いたものと思われます。
気になる聴感上の違い。ですが、これはどなたでもわかるであろうくらいの違いがあります。
一言で言えば、モヤモヤがとれたスッキリした感じというのでしょうか。
その理由は、2つのユニットから出ている音が重なって聞こえる帯域を、より狭くすることが出来るからです。
ツイーターとウーファーの写真をご覧いただくと、専用品は、ツイーター側に(低域をカットする)コンデンサーのみ、ウーファー側に(高域をカットする)コイルのみを取り付ける方法を採っています。
これに対して、市販品のネットワークのハコの中を見てみると、部品の大きさが違うものの、それぞれにコンデンサーとコイルが入った「二次フィルタ」が組まれています。
2way構成で鳴らす場合、ツイーターの低域側とウーファーの高域側をそれぞれカットして、それぞれに担当の帯域を再生させるわけですが、実際には、刃物で切り取ったように特定の周波数から下(あるいは上)の音が出なくなるわけではなく、完全に音がでなくなる周波数を迎えるまで、坂道を下る(上がる)ように、ナナメになっています。
2つのユニットを連携させる際、ツイーターの下り坂と、ウーファーの上り坂を重ねて、うまくつながって聞こえるようにセッティングするわけですが、一般的には、重なって再生する帯域が広いと、焦点が甘い感じになり、狭いとシャープになる傾向があります。合唱より独唱のほうが聞かせるぜ。というイメージです。
そしていよいよ(やっと)話を元に戻しますが、ツイーターとスピーカーユニットそのものは一緒なのに、「専用品」に比べて、市販品付属のネットワークの方法の方がスッキリ聞こえるのは、ツイーター・ウーファーがクロスする坂道の角度をより急にでき、それぞれのユニットが独唱できる帯域を広く取れるからなのです。
スバル向けの専用品を企画するにあたり、コストを中心とした諸々の条件をすりあわせて決定された仕様だと思うので、これはこれで尊重しなければなりませんが、ネットワークを差し替えて坂を急にすることで、より軽やかな音を引き出せたもの事実です。
ウーファーユニットそのものは市販品とブラケットの仕様が若干違うだけで、機能的には同じですので、違いはココだけなんですよね。ちょっと惜しい気もしますが、逆に言うと、市販品との差異が明確なので、キャッチアップを目指したい方には都合が良いですね。
ご興味がおありの方はトライされてはどうでしょうか?
当エントリで紹介したG20用ネットワークをご用意できますので、サウンドアッププログラム(のユニット交換ぬき)で施工対応させていただきます。
ご質問・ご用命のご連絡はお気軽にどうぞ♪
電話もお気軽に♪03-5913-8450です!
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