NBエアコンを我がNAに!後編コンデンサ配管取付
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どうしても自分のロドスタにエアコンをつけたくて始めたインストール作業です。
前編では主に車内側の作業を記してきました。
後編は主にエンジンルーム側の作業になります。
ここでも安定に使えることを意識して進めます。
冒頭の写真は、めでたくガスチャージ作業中のスナップです。
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自分のロドスタはパワーいるステアリングです。(重ステ
2025年現在でも、パワステレス用のテンショナー機構付きプーリーAssyが純正で買えます。
しかし年々価格改定のたびに値上がりし、現在は30k目前です。中古や新古品が時々オークションやフリマサイトで出てきますが、それでも手が出ません(^_^;)
内容的に大したものではないし、折角自前の設備があるのだから作ることにしました。
そんな訳で、どうやろうか考えて思いつきました。
画像はベルトのアライメントを確認中のものです。
荷縛り用のバンドが本来の4PKのベルト巾に近く、また捻れづらさも良い◎、そして周長を調整出来る点も良い◎
これを使わない手はないでしょう!
大まかなコンセプトは下記の通りです。
・パワステ用のブラケットを使う
・4PKプーリーとテンショナ機構は汎用品を使う
※
他の方は、純正品が出るうちはそちらを買ってください。
今後入手できなくなった時の代替手段として載せています。
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ふむふむ
ブラケット端面から 約12mm らしい。
※
現在このエンジンは、NB用オイルポンプ、NA8用のクランクプーリー、タイミングプレート無しで組んでいます。
もしNA6用のクランクプーリーを使っている場合は、オルタネーター側がVベルトになるので、端面からの距離が短くなる可能性があります。
参考にされる方は注意して下さい。
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さすが困った時のAliExpress!
テンショナー構造用の4PKプーリーがありました。
ベアリングの耐久性が??ですが、他に問題らしき部分は見当たりません。
強いて言うなら、ストアの写真では3価メッキだったけど、届いたのは昔ながらの6価でした。
自分は全く気にしませんけどw
先のベルトのアライメント関係から得たスラスト方向の寸法と、手に入る4PKベルトの周長を元にプーリーを固定するプレートを設計します。
※
車のベルトテンショナープーリーキット
88440-26100
と検索すると出てくると思います。
トヨタの何かの車種のセカンドソース品です。世界的に色んな人がこういった物を使って補修しているのでしょう。
送料込みで2.5k程度 言うことありません!
ベルトは4PK−907をメルカリで調達。
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廃材から地道にフライス盤でプレートを削り出しました。
なお、長穴部分にプーリーのシャフトが固定されます。
この画像は、ガレージに転がってるネジ達の中からM10(P1.25)ボルトの頭を落とし、プレートにタップを切りねじ込んで溶接しているときのものです。スタッドボルト化しています。
最終的にブラケットへナット2か所による共じめする構造になります。
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耐熱塗装のうえ、エンジンに組み付けて試運転してみました。
しばらくエンジンを回し、回転を上げたりして様子を見るかぎり問題なさそうです✌
この部分のコストはベルトを含んで3.5kででき納得の結果です。
※
当然コンプレッサーのクラッチはOFFのフリーで、プーリーだけが回っている状態でのテストす。
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これはコンデンサーの下側ステーを自作しようとして、失敗したときの画像です。
重視するのはラジエーターとコンデンサーの隙間で、通風の圧損を考えるとあまり広げたくありません。
結果的に前後方向の位置関係は、NA6純正のコンデンサーをマウントする、上側のステーの取り付け面を基準にしています。
また高さ方向のマウント位置は、コンデンサーの下端フィンと、ラジエーターの下端フィンが直線になるように注意しました。
そのため、特に高圧パイプ側の位置関係がステー製作の観点できつくなります。
曲げ機がないので万力で固定し叩いてみましたが、2mmの鉄板は狙った部分で曲がってくれません(^_^;)
ここは素直に図面を書いて板金業者さんにお願いするところと考え、自作を諦めました。
※
コンデンサーはフロントクロスメンバーの両端に搭載される状況から、若干車体が捻れた際にも破損しないように、ゴムでマウントされる構造が基本です。
だからといって、ステーがペラペラで良い訳がありません。
例えばすぐ後ろにラジエーターがあり、コンデンサーが振れたたらマズイでしょう。
だからちゃんとした強度のあるステーを作る必要があります。
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もう一つ、業者さんにお願いする部分が出てきました。
NB純正の高圧配管をNAにそのまま使おうとすると、リトラの脇に来てそもそもフレームなどと干渉します。
どうしても直接車体の強度に関わるフレーム部分を削るのは抵抗があり、専門家に頼ることに決めました。
この画像は、思い切って高圧配管のチャージ継手を出す位置を大幅に変更し、純正の逆側にしようと検討しているときのものです。
そう、専門家とはラジエーター屋さんです。
アルミロー付の一部向きを変えてもらえばイケるのでは?と考えました。
経験上、今回の配管はムリに曲げるとクラックや漏れのリスクが高いと判断します。
※
今回のコンデサー搭載位置の要件を総括すると、
前後方向と高さ方向、そしてこの高圧チャージ継手の位置を基準に決めて、ステーを設計する必要がある訳です。
XYZ全ての方向を満たす位置は殆ど絞られ、ラジエーターの中心には当然配置されないことになります。
それをクリアするステーだったり、配管の変更は自分の設備ではできません。
餅はもちや。できない事は業者さんにお願いする判断も必要です。
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色々な要件がありましたが、位置関係がはっきりしたので、あとは図面を引くまで。
上の図面2枚はコンデンサーの下側ステーの加工図で、地元の板金業者さんに依頼するものです。
下は高圧配管のチャージ継手の向きを変え、ラジエーター屋さんにロー付し直してもらうための図面です。
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先ずはラジエーター屋さん
静岡県沼津市の丸安ラジエーターさん!
依頼から半日要さず、難なく向きを変えてもらえましたw
社長さんに、今回と似たような依頼が他から来るかもしれないことを伝えたところ、快く了解してくれ、会社紹介のチラシまで頂きました。
先ずは電話で相談されると良いでしょう。
改造の金額は税込8.8k
正直安くはありませんが、必要な対処でありリーズナブルです。
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板金業者さんから下側のステーがあがってきたので、塗装して組み付けました。
固定穴位置を間違えたのは愛嬌ってことで。
高圧パイプ側はこんなふうになりました。
車体強度に関係ない純正ステー部分を切り込んでいます。
理由は、継手とのクリアランスと、製作するステーの振れ強度を持たせるために、曲げ角度をできるだけ小さくしたかった訳です。
でも、もう少し曲げる位置が低くても良かったようです。
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反対側です。
こちらはドライヤー(丸い筒)部分とのクリアランスが狭かったので、後から少し削りました。
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コンデンサーを固定する上側のステーです。
左(運転席側)
右(高圧パイプ側)
運転席側については、裏面に取り付けたM6ナットの溶接が車体側のステーと干渉したため、少し削っています。
緩み止を兼ねて側面に当たるように作っています。ちょっとしたテクニックです。
高圧パイプが付く方について車体側は無加工です。
NA6の純正スタッドボルトにナットで共じめする格好です。こちらは適当な廃材にM6のナットを溶接しています。
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なお、コンデンサーの上側両方のステーへの取り付けについては、NB純正の丸大ワッシャー付きのボルトを使うと良いと思います。
※
2025年5月時点でマツダから取れました。
R205-13-362
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高圧バルブ側を無理のない位置に出すことができました。
最終的にバンパー側の金具や導風プレートがあっても接続できるので、今後の保守でも安心です。
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今回、エアコン配管の類は、エバポレーターへ繋がる高圧パイプ以外中古を使います。
少なからず劣化はあるはずですし、不安はもちろんあります。
今回は予算の都合で中古を調達したので、念入りに配管洗浄と亀裂などないか目視点検して組み付けます。
次に各部の継手や配管の固定について、
先ず、各部の継手はNB純正で採用されているネジを、パーツリストを参照してディーラーで取ってもらいました。
※
コンデンサー下で高圧ホース同士をつなぐ部分は純正の金具が手に入らず、自前で用意しました。
次にパイプの固定について、
NB純正でも適宜パイプやホースのカシメ部分にストレスを掛けないように保持サポートされています。
振動や加速度はバカにできませんのでちゃんと固定を考えます。
残念ながら殆どの保持金具は廃盤で入手できないので、自前で固定アングルを作りました。
この画像は、エバポレーターからコンプレッサーに戻る低圧パイプとホースカシメ部分です。NA6用はバルクヘッド側にルートを取っていたので、この部分に使える固定穴はありません。赤矢印部分に穴開けし取り付けました。
※
いつか部品の供給がDENSOから止まるときに備えて、近い将来配管ホース類は新品を確保しておこうと思います。
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こちらはコンプレッサーからコンデンサーへ繋がる高圧パイプとホースカシメ部分です。
どう考えてもここをサポートしないと、パイプと継手部分に相当のストレスがかかるのは明らかです。
※
本来のサポート位置は、コンプレッサー側面のようですが、ステーが微妙な曲げ角度になるので、簡単な位置で済ませました。
無いよりはマシでしょう。
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こちらはコンデンサーからエバポレーターへ繋がる高圧パイプです。
やはり、とめるべき部分にNA6用の配管固定タップ穴がありました。
Φ8用ゴム保護付きの片サドルをAliExpressから調達しました。
エキマニ近くは若干止め位置と違うので、適当な端材を加工し延長して留めています。
※
サドルは、ゴム裏地 P クリップケーブル取付ホースパイプクランプ固定
などと検索すればヒットすると思います。
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エンジンルーム側の電気配線作業は、高圧パイプに実装の圧力スイッチ配線の延長です。
NA6用は、ACファン付近に有ったようで
ハーネスと電気配線図を照らすと茶色の2極カプラーがそれとわかりました。
また、NAの圧力スイッチと、NBのそれは同じコネクターとわかったので、オスとメスのセットを買えば良い訳です。
が、、
オス側のカプラーは国内通販では1社しか見つからず、また恐ろしく高価で躊躇します。
色々探し回って結局AliExpressでセットを見つけました。
こちらを調達すれば延長ハーネスが出来ます。
自分は、スイッチ側に住友電装のTS防水を使いましたが、本来はMT防水シリーズではないかと思っています。
※
カプラーセットは、6189−0033 MT090-2-special2R-F
などと検索するとヒットすると思います。
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ACファンも予算を抑えるためNA8最後期の中古を調達し洗浄と点検をして使用します。
一応、ブラシの残量確認とステータのコンディションを紙やすりで整えました。
余談ですが、時々聞かれるこのファンの不具合はわかる気がします。ブラシの構造だったり、接触抵抗が出やすそうな導体接続構造です。
まぁ、中身がわかれば修理はできそうですが。
赤矢印の全周に防水目的らしき液体ガスケットが付いていましたので、これに習ってガスケットを塗布して組戻しました。
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エアコンシステムが全て組み付いたので、いよいよマニホールドゲージを使って行きます。
先ずは、真空引きしてサイクル内の気密が保たれるか確認します。
色々漏れの疑いがありましたが、一昼夜以上放置して問題無いことが分かりひとまず安心です。
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いよいよガスの注入です。
全くサイクル内にガスが無い状態なので、圧力スイッチが働くように(スイッチは高低の各圧力を検出するとオープンになり、サイクルを保護するようコンプレッサーのクラッチを切る動作を助けている)高圧側から注入していきます。
サービス缶を温めてもそのうちガスの入りが悪くなったら、高圧バルブを閉めて低圧バルブを開き注入を続けます。
やはりそのうち入らなくなるので、いよいよエンジンを回しコンプレッサーを動作させて、低圧側から吸わせます。
一般的に、エンジンを1500rpmあたりに保ち、内気循環、風量最大、設定温度最低の状態で低圧(サイクルの帰り)の冷媒温度と、コンデンサー前の周囲温度から判断してガス量を調整していくのだそうです。
とにかくやってはならないのが、低圧の返りの冷媒が液体になるほどの過充填と理解しました。気体は圧縮できるけど、液体は圧縮できません。最悪は液ハンマー現象でコンプレッサーを壊します。(エンジンが水を吸ってしまいコンロッドが曲がったりブロックから飛び出てブローするウォーターハンマー現象と同じ話)
が、今回はサイクル内が空なので、ここはもっと単純にNBエアコンのガス規定量である、350g±50g入れば良いと考えて200gサービス缶2本弱を入れるようにして注入を完了としました。
上記エンジン回転中に、低圧側が0.21MPaのとき、エバポレーターを出た134a冷媒ガスの蒸発温度は0℃付近になります。またこのとき高圧側が1.7MPaを示しているので、R134a冷媒システムでは正常範囲のようです。
充填が完了してサイトグラスを覗いたら、殆ど空のように見えましたが、ちゃんと冷気が出てるし冷媒は流れているはずです。
もしかしたら冷媒がちょっと多めだったかもしれません。
※
できるだけガス状で入れるため、サービス缶は振ったり逆さにしないよう注意しました。
これはアストロプロダクツの説明と真逆です。
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しばらくエンジン掛けっぱなしでガス注入を続けていたら、ガレージ内温度が39℃になってました。。
このとき、ハードトップ無し(幌オープン)で、ブロワーファンの吸入温度が32℃でエアコンサイクルとしてはフル負荷状態です。
エンジンも1300rpm程度の状態で冷気は13℃まで出ました!
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後日、試しに市内を回ってみました。
この日も昼間は36℃以上の猛暑日。。
ですがエアコンの出口からは一桁台の冷気が出ています!
改めて30℃低いってすごい
ここまで地道に進めて来た甲斐がありました!
20数年ぶりの我がNAからクリーンな冷気が出てきて感無量です。
キットを買えばもっとラクだったでしょうけど手に入らず、何度かショップに部品単品レベルで供給してもらえないか相談したり(尽くNG)
結局すべて自分でやるしかない状況で、課題を一歩づつクリアしてきました。
おかげでだいぶ理解が深まりました。
少しでも参考になればと思い、割と細かく書いてきました。
ですが全てを記載出来ていないので、そのうち追記していくかも。しないかもw
もし、ご自身でやってみたい方、
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