
読み終えたんですが、正直ブログのネタとしてどうかと思うものが有りまして。
書くのが怖いんです。色んな意味で。
何故かと言えば、同和問題をテーマにした作品ですので。
でも、読後感が救いの無い最悪な感じの重さではなく、読んで良かったなと思えたので書いてみようかなと思いまして。
ただ、反省もしてます。読もうと思った切欠がある意味怖いもの見たさに近かった訳ですので。
有名な作品ですのでご存知な方も多いとは思いますが、粗筋としては被差別地域出身の主人公、瀬川丑松は父親から自らの出自を何が有っても隠し通せと育てられます。出自が知れた時、それはお前の死を意味すると。
死って命の話では無く、社会的に抹殺されたも同然に貶められた生き方をせねばならぬと言う事です。
親元を離れ、師範学校を出て、立派な教師として生徒たちからも慕われ、学校内でも保身第一の校長なぞを凌ぐ信頼を得るまでになります。次第に自分の出自と父からの戒律を意識しなくなっていくのですが、一方自らの出自をカミングアウトし差別に関する書籍と発言で世に評判の猪子廉太郎という人に感化されてゆきます。
しかし、父の戒律と猪子の生き方の狭間で丑松の心に葛藤が生まれるのと共に、父の葬儀の為の帰郷を切欠に丑松の出自を疑う者が現れます。
やがて疑いの目が噂を流布させ、次第に丑松は追い込まれてゆきます。
自らの出自を明らかにし社会から抹殺されるか、ならばいっそ尊敬する猪子と愛する志保と言う没落士族の娘さんにだけは打ち明けて自ら命を絶つか・・・・・・
そう思い立ち猪子のもとを訪ねますが、猪子は支援する代議士の演説会の後、対立候補の手の者により撲殺されてしまいます。
猪子の死に心を動かされ、丑松は自分を追い込んだ者たちと自分の担任の生徒たちに真実を打ち明けます。父からの戒めを破るのです。
感想としては、根の単純な無学な私は素直に感動出来ましたです。
結末も救いを感じさせて、重すぎて辛いという話では無かったです。
ただ、巻末の本作品の解説読むと、あ~なるほどという読後の気付きがあったり。
読んでても若干違和感感じたんですが、自分の生徒たちに泣きながら詫びるのです。
賤しい身分を隠し申し訳無かったと。
自分の受け持ちのクラスには居なかったのですが、この学校にも同じ被差別地域出身の生徒が居てその子の受ける生徒間での差別の件も書かれてるんです。
丑松の涙ながらの告白も、差別の肯定にも取れるのです。
実は作者の藤村自身の差別感の残滓が文の端々に出てしまってるし、被差別地域出身でも優れた人材なので救済されたという丑松自身の結末とは別に、じゃあそうでない人の救いは?という部分は全く無いんですよね。
でも、俺好きですよ。単純に苦労人が悩み苦しんで、でも最後には僅かながらも救いの道が開かれるという物語の構成自体は誰が読んでもイイと思います。生徒たちが丑松を処分しないでと校長に嘆願するトコなんて、素直に感動します。
私、自分の出自って親に聞いた事無いんですよ。
父方の爺様は鉱山電車の運転手、婆様は教師の娘。母方の爺様は古くからの大きい農家の長男ってのは聞いてるんですが。
自分の家系の事、もっと知るべきなのかもしれないと思う反面知りたくない気もします。
しかし、そう思うこと自体が俺自身の差別意識の存在の現れなのでしょう。
仕事柄、製品の包装の印刷内容にも関係してたもので、差別用語とその意味なんかの教育は受けてたんですよね。
それに労働組合の支部役員なんかもしてましたので、教育で差別問題なんかも受けてました。
でもそんな仕事の為に受けた教育より、なんぼか破戒を読んだ後の方が問題を真摯に受け止められた。そんな気がします。
なんか、内容が内容だけに書きづらいし茶化す訳にゃいきませんね。
Posted at 2013/07/13 01:49:22 | |
トラックバック(0) |
本とか諸々 | 日記