トヨタランドクルーザープラドが7年ぶりにモデルチェンジしました。
国内市場から本格派SUVが軒並み消滅していく中、プラドは無事モデルチェンジを果たすことが出来たようです。
ランドクルーザーは80年代半ば以降、3系統のシリーズに分かれています。
○ステーションワゴン・・・現200系、かつてのFJ55V~60系、80系、100系が該当
○ヘビーデューティー・・・現在海外専用。初代~20系、40系、70系が該当
○ライトデューティー・・・現プラド。70系ワゴンが源流。
それぞれの性格にあわせ、市場によってシリーズの主力車種を変えています。ちなみに、
○日本・・・200系が主力。普及車種としてプラド。
○北米・・・200系が主力(変速機が日本と違い乗用車用)。プラドはレクサス向け
○欧州・・・プラドが主力(名称もランドクルーザー)、200系は「アマゾン」のサブネーム付の上位車種
○豪州・・・ヘビーデューティーシリーズが主役(かつての70。V8ディーゼルターボ搭載)
○中東・・・200系が主力(日本と同じトラック用変速機)。普及車種としてプラド。
と言う感じになっています。
なお、ライトデューティーと定義されているとは言え、プラドを「ランクルじゃない」などと卑下しているのは日本の一部層だけで、海外市場ではプラドも立派なランクルの一員として認知されています。
さて、プラドは元々70系の乗用向けライト版として設計された経緯があり、しかしランクルの一員であったために当時ライバルとされたパジェロやビックホーン(いずれも初代)に比べるとかなり無骨な車でした。
その印象は「プラド」のサブネームがついた初代プラド(LJ/KZJ70系)でも引き続いており、90年代前半のクロカンブームの頃はその主役の座にはいない印象でした(どちらかといえばハイラックスサーフの方が目立っていた)
プラドが国産SUVの主役格に踊り出てきたのは1996年デビューの2代目(J90系)からで、ここでやや高級な本格派SUVと言う現在のポジションを確立しています。
この90プラドがデビューした時に散々「パジェロのパクリ」と揶揄されましたが、現在の目で冷静に見てみれば、両車のデザインはほとんど似ておらず、あの時の騒ぎはなんだったのかと思うばかり。
似てるというならY61サファリ(どう見てもランクル80にそっくり)や現行CR-V(顔がハリアー意識しすぎ)が騒がれない方が不思議なのですが・・・
まぁそれはあれとして、この90プラドで前輪を独立縣架化し、フレームそのものもハイラックスサーフと共用化する兄弟車となります。
元々ハイラックスサーフも国連のPKO活動で使用されるほどのヘビーデューティー車でしたし、両車のプラットフォーム共用化はある意味当然の成り行きでもありました(それでもプラドのほうが若干強化されてたけど)
この時代から欧州向けランクルはプラドが主力に切り替わっており、プラドの主戦場は欧州市場ということになります。
2002年デビューの先代プラド(J120系)のデザインがEDスクエアだったのはそのためで、先代プラドは随分と垢抜けた印象の車でした。
かつては同クラスの本格派SUVの中でもっとも無骨な印象だったプラドでしたが、この頃にはむしろデザイン面ではライバルのパジェロの方が無骨な印象になっていました。
しかしながら、プラドもランクルの一員ですので途上国での酷使も考慮されています(途上国向けにはオーバーフェンダーの無い廉価版も存在)。つまり、先代は垢抜けたデザインと郡を抜く走破性・耐久性を兼ね備えた車というキャラクターを構築していたわけです。
そのキャラクターを引き継ぐ新型プラド。
デザインはキープコンセプトですが、樹脂製オーバーフェンダーを廃して全車ワイドボディ(と言っても日本向けは元からワイドボディしかなかったけど)となり、すっきりとしていながらも極めて力強い面構成になっていますね。
全体的に先代よりも高級感をアップしつつも、フロント周りの造詣にRAV4やRUSHとの共通項を見出すことが出来、トヨタクロカンの「顔」としているのがわかります。
デザインはキープコンセプトでも走破性向上の為の新装備は惜しみなく投入され、KDSSやクロールコントロールなど、ランクル200で採用されたものもプラドに採用されています。
また、V6エンジンがパワーアップしながらもレギュラーガス対応になったのも見所で、さすがにランクルだけあってメカニズム中心の中身の濃いモデルチェンジになっています。
今回もシャシーは4ランナー(ハイラックスサーフ)と共用していますが、サーフの方は日本市場には投入されないそうです。まぁ確かにキャラクターが被りますからね・・・
それと、残念ながら今回のモデルチェンジでショートボディの3ドアが廃止になってしまいました。
まぁ3ドアはほとんど売れてなかったので廃止も止むを得ないですけどね・・・
もはや日本車でのライバルは三菱パジェロだけになってしまったプラドですが、そのパジェロもイマイチ元気が無い状況なので、プラドには市場活性化のためにも是非頑張ってほしいところです。
価格もそれほど高いわけではありませんしね・・・下手な輸入SUVを買うくらいならプラドのほうがよっぽど良い買い物だと思うのですが。
個人的にも実はかなり気になる車です。
外装色が10色もあるのは非常に頑張っていると思います。最近はコストダウンで6色程度しか設定が無いモデルも多い中、それほど台数が見込めるわけでも無い日本市場でこれだけ用意したのは賞賛に値するところではないでしょうか?
それに外装色やシート表皮に関わらず、内装色も選択に縛りが無いのも優秀だと思います。
私としては外装色にダークブルーが無いのが不満ですけど・・・。
そんなわけで、もし外装色にダークブルーが追加されたらTZ-Gを買う気に・・・なっちゃうかも?
あ、いやしかしやっぱりMTからは離れられないかな・・・