
かすみがうらマラソン
朝、5時45分起床。というか、前日早くから寝てしまった子供が4時半から枕元で遊び始めたのだが、飽きてきたのか「ねぇ、起きて~」と起こされた。
想定外の出来事に朝の時間を費やしてしまい、予定の電車に乗り遅れてしまった。予定では、土浦駅に8時頃に到着するつもりだったが、一本乗り遅れたことにより、途中駅の乗り継ぎが悪いため8時45分に土浦駅に到着した。それでもその時間の駅はランナーで溢れかえっていた。
9時過ぎに会場に到着したが、どこになにがあるのか分からず、まず何をしたら良いか迷う。混雑しているため、移動するのもままならないため、とりあえず端に寄って走る格好に着替えた。ここで走行前のBCAAを、アミノバイタルプロにて3600mg摂取した。その後、荷物を預け、兄に電話した。実は今日、このかすみがうらマラソンに参加するにあたり兄も誘っていたのである。兄も自分より少し前に、申し合わせた様になぜかマラソンを始めていたのである。それでも、フルマラソンの経験は無く今日が二人ともフルマラソンデビューであった。途中、トイレに寄り、プログラムを貰い、兄と合流して、兄のランニング仲間の荷物置き場に着いたときには既にスタート15分前になっていた。
一人残っていた兄のランニング仲間と3人でスタート位置へ急ぐ。スタートは申し込み時の申告タイム順に決められている。その時点でまだ大会に参加したことの無かった私は、大胆なタイムを申告しており、Bブロックからのスタートであった。それに対し、控え目なタイムを申告した兄はEブロックからのスタートであった。兄のランニング仲間はCブロックからスタートである。まずEブロックで兄と別れ、2人で先へ急ぐ。Dブロック辺りで兄のお仲間と別れ更に先へ急ぐが、人の山に阻まれそれ以上先へ進む事ができなくなった。程なくして、花火が打ち上げられスタートが切られた。なぜかみんな拍手しているが、お祭りみたいなこの雰囲気、拍手したくなる気持ちは分かる。私も拍手をし、周りの流れに合わせてゆっくり歩き出す。6分ほど歩いたところでスタートゲートをくぐり、ようやく走り始めた。
この混雑具合だと、当分の間はのんびりペースになるだろうと思ったが、守谷ハーフマラソンの時に前半のオーバーペースで痛い目を見たので流れに任せて渋滞の中を走った。
今日の目標は、3時間45分で完走することである。事前の練習では30kmまでしか走ったことがないため、30kmから先の苦しさが想像できないが、なるべく5分/kmのペースで走り、スタート時の混雑、給水時のタイムロス、ペースダウンを考慮してそのタイムとした。
最初の5kmを27分55秒のタイムで通過した。5分/kmのペースで走った場合に比べ、35秒/km遅いがこれは想定内のことなので問題はない。どのあたりだったか忘れたが、キティちゃんの風船を頭に着けたペースメーカーを抜かした。話しを聞くと、5時間のペースメーカーだそうだ。3時間45分でゴールするとなると、このあと2つのペースメーカーを抜いてその先に行かなければならないのか・・・
大丈夫か?
5kmを通過した辺りで、2週間前の30キロ走で痛めた、膝付近の筋が痛み出した。予想はしていたが、想定よりも早い痛み出しで焦った。対処のため、クリールのレポート掲載で貰ったアミノバリューにてBCAAを2000mg摂取した。すると暫く走ると、走行前のアミノバイタルプロが効いたのか、今取ったアミノバリューで気持ちが安心したのか、不思議と膝付近の筋の痛みが消え、このあと再発することはなくなった。アミノバリューはこのあと、10km、20km、30km、ゴール後と定期的に摂取した。
続く10kmは55分43秒のタイムで通過した。5km~10kmに27分47秒もかかってしまった。さすがにこのまま周りに合わせていては遅くなってしまうと思い、ペースアップをはかった。
この辺であることに気が付いた。それまでは渋滞の中、コースの中心辺りを走っていたが、それだと、前のランナーを抜くときには避けて走らなければならなかった。また、沿道には沢山の応援者が居たのだが、その応援にあまり関わり合うことがなかった。ところが、コースの端を走ってみると不思議なことに、一人分の隙間が先まで延々と続いていて走りやすい。さらに、沿道の子供達とはハイタッチもできるし、不特定多数に向けられている「頑張って~」の応援も、手を挙げて応えると次の瞬間「頑張って~」が私に向けられる。これは、嬉しいし楽しい。中には「ありがと~」と応えるランナーや、逆に「応援頑張って~」と声を掛けるランナーもいたが、さすがに私にはそこまでの余裕はないので、子供達とはハイタッチし、なるべく多くの応援に対して手を挙げて応えた。
10km~15kmの間だと思うが、ミニーマウスの風船を付けた4時間半のペースメーカーを捉えた。ペースは5分/kmに上がり良い感じで進んだ。このペースだと、周りの流れよりも速く、どんどん追い抜いていった。そんな中、私と同じペースで追い上げるランナーが2人居ることに気が付いた。その内の一人、背中に903と刺繍がしてある赤いタンクトップのランナーとは25km地点までご一緒することになった。お互い意識しているわけではないが、ペース設定が同じため、気付くと常に近くを走っていた。
20km地点までの間で、スティッチの風船を付けた4時間のペースメーカーを捉えた。順調である。20kmを1時間45分41秒で通過。15km地点を見失ったので、10km~20kmを49分57秒で走ったことになる。この辺りから、エイドステーションの間隔が短くなった。
相変わらず903さんと追い上げながら25km地点を目指す。25km地点の少し手前で903さんが腰に手を当て、一瞬ペースが落ちた。ここまで15kmに渡り2人で追い上げてきたので仲間意識が生まれたのか、心の中で「がんばれ」とつぶやいたが、実は疲れていたのは903さんではなく、私の方であった。25kmの給水で903さんが前に行き少し離れたが、またいつもの様に気付いたら近くを走っているだろうと思った。しかし、903さんがジリジリと離れていく。私のペースが落ち始めたのだ。
903さんが見えなくなったとき、私の心は折れ始め、楽しみはエイドステーションでの給水&休憩となってしまった。27.5km地点のエイドステーションでゆっくりと給水をして、再び30km地点のエイドステーションに向けて走り出した。
次のエイドステーションでも、ゆっくりと給水をしようと思っていた。ところが、30km地点にはエイドステーションがなかった。おそらく、30km地点は道幅が狭いためずらされて設置していたのだと思う。30km地点を過ぎたところでようやく現れたエイドステーションを見たときに、それまで繋ぎ止めてきた気持ちが切れ、完全に心が折れてしまった。このエイドステーションでは立ち止まり、水をお代わりしてしまった。これが後々響くことも知らずに・・・
エイドステーションを後にし、走り始めたのだがとてつもなく気持ちが悪くなってきた。給水のし過ぎで、おなかがタップンタップンになってしまい、走る度に胃が揺れて吐き気がするのだ。そんなとき、頭の中で弱気の虫が囁いた。
「歩いちゃえば?」
30km辺りから、歩くランナーが多くなってきたこともあり、その言葉に素直に従ってしまった。
「なんて楽なんだ…」
歩くと胃が揺れないため、吐き気が治まる。
「1km位歩けば回復するだろうから、そうしたら走ろう」と思いながらトボトボと歩いた。
暫くすると道幅が広くなっている場所があったため、ガードレールを使ってストレッチを行い、気分を入れ替えた。
「よし、走ろう」
再び走り出した。しかし、全身がギシギシ音をたて、走ることを全否定してくる。さらに吐き気も再び襲ってきた。
「ダメだ・・・」
結局、数百メールと歩いては数十メートル走り、ということを繰り返しながらペースは9分/kmまで落ち込んでいた。35km地点では、前腿が痙攣し攣ってしまったためストレッチを行うと今度は後腿まで攣ってしまった。
「ゆっくりでも良いから走り続けろ」とは良く聞くが、その意味が良く分かった。たとえゆっくりであっても、走るのと歩くのでは大きく違っていた。一度歩いてしまい楽な状況を経験してしまうと、走るという苦しい状況へもっていくには精神的に強くないとできない。そのときの私には、「自分はなんでこんなことしているんだろう」とさえ思っていたため、自分から走ろうという気持ちを作ることができなかった。
トボトボと歩きながら37km地点にさしかかった時、後から集団の足音が聞こえてきた。
「何だろう・・・?」
ミニーマウスの風船が追い抜いていった次の瞬間、私は走っていた(笑)
「それだけは譲れん!!」
とうとう、4時間半のペースメーカーに追いつかれたのであった。というか、いつの間に4時間のペースメーカーに追い抜かれたのだ?(後からオールスポーツの写真で知ったが、4時間のペースメーカーはヘリウムガスが減ってしまったのか、途中からスティッチの風船を抱えながら走っていたようである)
ペースメーカーが「あと、5kmですよ~」と案内した。
37.5kmのエイドステーションに差し掛かると、給水に立ち寄るペースメーカーの集団を横目に、給水のし過ぎでペースダウンした私は給水をパスし、集団を引き離しにかかった。
その後は、後を振り返ることなく、ただひたすら走り続けた。
あと2km。
足取りは軽く、不思議と苦しくなかった。
ラスト500m位はスパートもかけられた。
そして右手を上げながらゴール!!
タイムは
4時間26分51秒(オフィシャルタイム)
4時間20分25秒(ネットタイム)
○通過タイム
10km 1時間02分11秒
20km 1時間52分09秒
30km 2時間45分18秒
40km 4時間13分34秒
ハーフ 1時間57分32秒
○スプリットタイム
10km 1時間02分11秒(6分13秒/km)
20km 49分58秒(4分59秒/km)
30km 53分09秒(5分18秒/km)
40km 1時間28分16秒(8分49秒/km)
42.195km 13分17秒(6分03秒/km)
○通過タイム(手元の時計)
5km 27分55秒
10km 55分43秒
20km 1時間45分41秒
25km 2時間11分05秒
30km 2時間38分50秒
35km 3時間27分28秒
40km 4時間07分06秒
42.195km 4時間20分27秒
○スプリットタイム(手元の時計)
5km 27分55秒(5分35秒/km)
10km 27分47秒(5分33秒/km)
20km 49分57秒(4分59秒/km)
25km 25分24秒(5分04秒/km)
30km 27分45秒(5分33秒/km)
35km 48分37秒(9分43秒/km)
40km 39分38秒(7分55秒/km)
42.195km 13分21秒(6分04秒/km)
走っている時は、走る意味が分からなくなっていたが、頭で意味を探しても仕方ないことで、走り終わったら楽しかった記憶しか残っていない。
ただ楽しいから走っている、それだけであった。
来シーズンは、出来れば、つくばマラソン、守谷ハーフマラソン、かすみがうらマラソンと近場の3レースを走りたいなと思う。