びるげのブログ一覧

　学校のクラブ活動の行事で出かける長男を駅まで送るついでに、久しぶりにヨーロッパを引っ張りだして、走らせてきました。

　せっかく一人で出かけるしって事で、昨年末にまさかの雪中行軍を強いられる羽目になった、国道421号線石榑トンネルに再挑戦。

　かつてはサミットから三重県側の1kmあまりのコンクリートの簡易舗装区間（Wikiには前後2kmと書いてありますが、昔から滋賀県側は道幅も広く綺麗な道で、酷いのは三重県側だけでした。）は、狭小なうえに10%の急勾配が続くため、区間の前後にコンクリートブロックを置いて、大型車の進入を制限していたりと、かなりの難所だったのですが、昨年3月のトンネル開通以来、滋賀県との行き来はかなり楽になりました。


　僕が国道421号線石榑峠を初めて越えたのは、実はもうかれこれ25年程遡った高校1年生の頃で、最近でこそ所謂”酷道”の一つとしてネットで人気を博した路線（正直酷道ファンの騒ぎ様は大袈裟だったとは思いますが。）でしたが、当時は交通量の殆ど無い、寂しい峠道で、三重県側の簡易舗装区間も急勾配が怖いなぁという程度でした。
　むしろ交通量が少なく安全だったので、琵琶湖や京都を巡る自転車ツーリングのルートとして利用したものです。

　次第にカーナビが普及してくると、案内に従ってこの峠に迷い込むクルマが激増し、大型車の事故も頻発するようになり、コンクリートブロックが設置され…。

　インターネットが普及した90年代後半から、この簡易舗装区間の体験がワールドワイドに広まり、一気に離合困難な危険区間として有名になったんですけど、石榑峠が難所と云われた本当の理由は、石灰質の脆い地盤にあり、夏場の雨量の多い季節にはよく道路や法面が決壊し、長期に渡って通行止めとなる事もしばしばでした。
　その上、冬は滋賀県側の気候が厳しく、三重県側には全く積雪がない状態でも、峠を越えた途端、ガードレールが何処にあるかすら判らなくなる程の積雪が常にあるため、12月～4月頃まで冬季通行止めでした。
　一年を通して通行可能な期間が短い事も、この峠が鈴鹿峠や武平峠（鈴鹿スカイライン）のような活発な往来がなかった一因だったのですね。

　ちなみにこの簡易舗装区間はNTTの電波中継塔への取り付け道路だったものを流用したもので、三重県側から峠を目指すと、実は峠の方が脇道であることがわかります。なので、峠のサミットで右折しながらコンクリートブロックの間を通るという芸当を強いられるヘンテコな道になってしまったんですね。

　まあ、そんなわけで地元の悲願だった石榑トンネルが漸く開通し、国道としては至って普通の道となったことで、季節を問わず三重県と滋賀県を行き来出来るようになり、ゴールデンウイーク等のシーズンには、関ヶ原で大渋滞する名神や、亀山で渋滞する新名神（東名阪）を避けて、八日市ICからのショートカットルートとしても俄然便利になりました。

　その一方でかつての峠道は大雨による崩落が修復されることもなく、三重県側の途中で通行不能のまま放棄されています。NTTの電波塔（追記：実はもう撤去されていて存在しませんｗ）維持は、滋賀県側からのアクセスで事足りますし、恐らくこの先も修復されることはないでしょう。

　また、普通の道路となった代償として、以前では絶対に見かけなかった、トンネル内で低速走行して反響音を楽しんでるVIPカー集団や、狂ったように車間距離を詰めてくる商用車が増え、その点でもここが普通の道路になったことを実感させられます。

　酷道ファンが、かつての姿を懐かしむ為に訪れるような価値はもう無いでしょう。



　さて…。

　せっかく石榑トンネルを越えたので、そのまま永源寺まで行くつもりだったのですが、前方にトラックが走行していて詰まっているのが判っているのに、ルームミラーにフロントグリルしか映らない程車間距離を詰めて煽ってくるNV200に嫌気が差して、途中で引き返してきてしまいました…。

　なんだかなぁ…。

　懸案のリアハブを今夏何とかしたら、久しぶりにロングツーリングにも出かけたいので、これからもちょこちょこ乗って、リハビリだなー。