
あれはまだ寒さ厳しい2月。
朝出勤するためスイフトで家を出る時、ステアリングをきるとゴムが軋むような音が足元から聞こえました。今までに聞いたコトないような音でした。
さらに走り出すと、やはり足元からコトコトという音がたまに聞こえました。
ちょっと不安を覚えながらも、すぐにディーラーに飛び込むワケにもいかず、とりあえず普通に走るコトはできるので出勤しました。
退勤時、やはり朝聞いたような音は聞こえ、さらに心なしか音量が上がっているかのようでした。さすがに放っておけないと思い、定時で上がった日の退勤時ディーラーに寄って診てもらいました。とは言え、ディーラーへの道すがら例の音はすでに聞こえなくなっていたんですが。
それでもまず整備士に説明し、実際走らせてみないと判らないというので、試運転してもらったんですが、やはり音の再現はなかったとのコト。
その後、リフトで上げてもらい脚回りをチェックしてもらったんですが…。
特に異常は見当たらなかったけれども、それよりもエンジン回りからオイルが滲み出ている方が心配と言われました。今年の4月初めで車検の予定だったんですが、その車検はクリアするだろうけど、次の車検では通らないくらいだと。そうなると、エンジンのオーバーホールか、エンジン丸ごと換装するしかないと言われました。
17年・18万㎞、いよいよきたか…との思いがありました。
まぁでも、その時は車検の予約をして帰りました。まだこの時はスイフトとの付き合いは、まだちょっと続くかなと思っていました。
よしつきのケータイアプリのYahoo!メールには、carviewからカーセンサー提供の中古車情報が定期的に届き、ヒマな時は、お気に入りの車種と条件などを入力して、別に買うつもりなどなくても中古車の在庫状況をチェックしていたんですが…。
見つけてしまったんですね。
お目当てのクルマを。
なぜ、そのクルマか?というのは別のブログにて書きますが、さて欲しいクルマが見つかってしまいました。
条件はかなりイイです。当然のコトながら、中古車は一期一会です。ここで逃してしまったら、後でまた同じような条件のクルマが見つかるなんて保証はありません。
結局、スイフトから乗り換えという決断をしました。
スイフトに乗って、お目当てのクルマを見に行き、その場で購入の決断をし家に帰る途中、新しいクルマを買うコトを決めたというのに、ワクワクもドキドキもありませんでした。自分でも不思議なくらい。戸惑うくらい。
こんな簡単に決めてしまってよかったんだろうか? スイフトに乗り続けるという決意はできなかったのか? グルグルグルグル考え、ひどく自分が薄情な人間に思えて仕方なかったのです。
「好きな人ができたから別れよう」とか、長年連れ添ってきた彼女に別れを切り出すクズ野郎のような。
イヤ、かなり女々しい、気持ち悪い人間かも…という自覚はあります。コロコロコロコロクルマを乗り換えてる人には理解できない感情でしょう。
それだけ17年間というのは長い月日だったんだと思います。
そもそも、みんカラ始めるのもスイフトがきっかけでした。
社外品のアルミホイールの情報を探して、始めたばかりのインターネットで「スイフトファンサイト」という個人が運営していたサイトに行きつき、そこで知ったオフ会にアポなしで参加し、よりよい情報を得たいのならみんカラの方がいいと教えられました。
ほどなくみんカラに登録してブログも始めて、自分の世界が、クルマへの興味が、スイフトへの愛情が格段に大きくなりました。
全国的なオフ会に参加したり、クルマのイベントがあれば見学しに行ったり、ブログネタのためにというお題目でアチコチ出掛けたり。東北、とりわけ岩手には3度も行きました(復興支援に、などと偉そうにしていたからか、天罰的なモノはくらいましたが)。気になっていた喫茶店が閉店するから、そこに行くためだけに大阪に行って帰ってきたとか。みんカラ通じて知り合えたご主人が経営する軽井沢の喫茶店にも何回もうかがいました。
アチコチ行ってはスイフトの写真を撮りまくり、いつしかこういうシチュエーションで撮りたいとか、道を走っていても、ここ、イイ写真取れそうとかロケハンしていたり。ホント、みんカラでブログやるようになってから、写真を撮るコトも多くなりました。
それまでクルマは好きだけどカスタムなんて別世界と尻込んでいたのに、アルミホイールを皮切りにマフラーを換え、リアスポイラーを換え、脚回りも換えました。まぁ、見た目はたいしたコトないけれど、それでも長年コツコツと自分が好きなように、乗りやすいように弄ってきました。多分、ノーマルの同じ車種と比べたら、全然違うフィーリングだと思う(乗り比べたコトないけれど…^^;)。
それもこれも、スイフトだからできたコト。
スイフトを選んだから通った道。

いつも書いてるけれど、よしつきにとってスイフトはサイコーに丁度イイクルマ。
ずっと乗っていても飽きないし、手足のように扱える最高の相棒。このまま乗り続けて、「平成のクルマといつまでも」なんて番組に出演するくらいになるまで乗っていてもいいかなと思っていたんだけど。
だけどよしつきは強欲で、他にも乗ってみたいクルマがありました。
強欲だけど、おカネはないから一度に何台ものクルマを所有するワケにはいかない。だからスイフトを手元に置いたまま、新しいクルマをお出迎えするのは難しい。
それと、これから後何年生きられるか判らないのに、後悔はしたくない。イヤ、後悔なんて、思い残すことなんて生きる限り無限に出てくると思うし、「我が生涯に一片の悔いなし!」なんてラオウのようなコト言えるワケもないんだけれど、それでもなるべく後悔なんてなくしていきたいモノ。
ある日、かつての同僚からとっても久しぶりにメールが届きました。アルトワークスを買って筑波でサーキット走行を楽しんでる、と。え?そんなキャラだっけ?と訊いたら、心臓手術を2回もして死にそうになったから、やりたいコトをやるんだと。
サッカーの本田圭佑氏がどこぞの大学の卒業式でサプライズ登場し、卒業生に「人間いつかは死ぬ。生きたいように生きろ」という言葉を贈ったとか。イヤ、前途明るい若者に「いつかは死ぬ」はないだろうと思いながらも、老い先短いオサーンには突き刺さる言葉だ。
明かしていなかったんだけど、父は突然死でした。母も辛うじて命はとりとめましたけれど、倒れてから以降の6年間はおよそ人間として生きたとは到底思えない。まぁ、両親はトシもトシだからというのもあるんだけれど、だとしても人間、ある日突然その人生が終わるかもしれないのだ。
だから、ああすればよかった、こうしとけばよかった…なんて思う間もないかもしれないけれど、それでもやっぱり後悔はなるべくしたくない。やりたい͡とコトはやりたいし、生きたいように生きたい。
幸い、というかなんというか、よしつきには養わなければならない存在も、責任とならなければならない存在もない。なくなった。あとは自分だけ、来るべき日が来る日までちゃんと楽しめるよう、せいぜい健康で生きれればいい。
まぁ、今回はクルマの話だから、そこまで哲学的な話ではないんだけれども(^_^;)
スイフトに乗り続けるコトが後悔になるのか?と問われれば、そんなコトはないだろう、と思う。まだまだ弄りたい所もあったし、ようやく17インチのO.Z.レーシング・ウルトラレッジーラが似合ってきたと思ったトコロだ。長く同じクルマを乗る人にとって、エンジンをオーバーホールしたなんて誇らしい響きにすら思える。
でも、手が届くところに欲しいクルマがある。乗りたかったクルマがある。なら、手に入れるべきなのでは?というコトなのだろう。
よしつきにとって、ランボルギーニ・カウンタックも乗りたいクルマではあるけれど、大金を借金してまで手に入れるのはどうかと思うし、そもそも分不相応だし覚悟も環境も不十分だ。憧れてるくらいが丁度いい。
でも、自分に分相応なクルマなら? それが今しか手に入らないなら? 手に入れるコトに躊躇してしまっては後悔するだろう。
そう言い聞かせて、今は新しいクルマのステアリングを握ってます。
時折、2代目スイフトを見かけると、ちょっとセンチな気分になる。我ながら女々しいと思う。まだ慣れないクルマに、スイフトの方がよかったなと思うところもあるけれど、古い記憶を思い出してみればスイフトに乗り換えた時も、シビックの方がよかったなと思ったコトもあったんだ。そうして思い出は思い出として残っていくものなのだろう。
新しいクルマを契約した後、ちょっと遅めのサクラの花見に出かけた。
今年はタイミングが合わず、サクラはもう散りかけだったけれども、暖かな春の日差しにキレイな枝ぶりを見せてくれていた。

サクラとともにスイフトの写真を撮るのはこれが最後。時期的に諦めかけていたんだけど、ギリギリ間に合ってよかった。
それはそうと、よしつきにはクルマの買い換えのときに必ずやる、儀式みたいなコトがあります。

よしつきは基本的に酒は飲まないし、あまり飲めないんですが…。
スイフトとお別れの前の晩、お猪口に一杯注いで

今までの感謝と労いの言葉とともに乾杯。
感謝と労いなら、いいオイル入れてやるとか、ハイオクガソリン入れてやるとかしてやった方がいいんじゃないの?とは思いますが、気持ちの問題なので(^_^;) いつもなら、ここで運転席に座り思い出にふけるところですが、新しいクルマの受け取りに販売店まで行かなきゃならないので、思い出にふけるのはその道中ラストランで、というコトになりました。
そして、とうとう本当にお別れの時。

17年間、総走行距離184,680㎞。長い旅路でした。あっという間…なんてワケがなく、楽しいコトも悲しいコトもイラっとするコトも、ホントいろいろありました。ずっと一緒に走ってくれた、いい相棒でした。
心残りはスイフトのCMの聖地・角島に行けなかったコトですかね(過去ログ→
■)。
長い間、本っ当にお疲れ様でした。
ありがとね、大好きだよ!

やっぱり気持ち悪いよね(^_^;)