電光掲示板が無いサーキット(例えば富士スピードウェイ)では、走行中のラップタイムがわかりません。そこで登場するのが、マグネット式のラップタイム計測装置(ラップタイマー)です。電光掲示板が無くても磁気バーが埋設されていているサーキットであれば、マグネット式のラップタイム計測装置を車に取り付ける事により、走行中のラップタイムを車内で確認する事が出来ます。このマグネット式のラップタイム計測装置はいろいろ種類が出ていますので、今回はそれぞれの計測装置の紹介ならびに特徴を比較したいと思います。
■ZiiX ラップタイマー
http://www.cleverlight.co.jp/SHOP/lap_01.html
・実売価格:13,800円(まとめ買いすると2~5個までは9,800円)
・シガーソケット接続ケーブル:1,500円
・電源:内蔵ボタン電池・シガーソケット(※オプション)
・ベストラップ更新時に「BEST」が点滅
・磁気センサ感知時にアンテナマーク▼点滅
・センサー:防水
・本体:非防水
[長点]
・マグネット式のタイム計測装置の中で最も安い
・文字が大きくて見やすい
・999周まで計測可能
・計時ラインからの経過時間のリアルタイム表示(最大9分59秒99)
・計時ラインでのラップタイム表示保持時間を0~59秒に設定可能
・セクター対応数(1~5)で磁気バー数が複数あるコースにも対応
・本体を固定する簡易ステーが同梱されている
・本体内蔵のボタン電池でも稼動する(その際はバックライトが点灯しない)
・電源を12Vから取るとバックライトが常時点灯する
[欠点]
・パソコンに出力できない
・1/100秒までしか対応していない
・区間タイムが計測できない
・車速信号の入力に非対応
■LAP-SHOT LP-03(LAP SHOTⅢ、ラップショット3)
http://www.avco.co.jp/new-parts.htm
・実売価格:21,800円
・USB接続ケーブル:6,000円
・電源:本体内蔵のボタン電池・シガーソケット
・現在一番利用者が最も多いシリーズ機種
[長点]
・値段安め
・パソコンとはUSBで接続可能
・300周まで記録可能
・リアルタイムでのタイム表示可能
・区間タイムの計測可能
・車速信号を入力すれば車速(現在の車速orラップ毎の最高速)を表示することが可能
・オプションで赤外線センサーにも対応
[欠点]
・センサーがナーバスで計測が不安定な時があり、信頼性にやや欠ける
・センサー部をかなり低い位置に固定しないと受信できない事が多々あり
・受信感度が低い
・1/100秒までしか対応していない
・バックライトなし
■P-LAPⅢ(3)
http://www.tag-ami.co.jp/p_lap3/introduction.html
・実売価格:31,500円
・電源:本体内蔵のボタン電池のみ
・RS-232Cケーブル:2100円
・USB接続ケーブル:4,725円
[長点]
・信頼度高い
・リアルタイムでのタイム表示可能
・ラップタイムは1/1000秒の単位での表示が可能
・パソコンとはRS-232C or USBで接続可能
・区間タイムの計測可能
・250周まで記録可能
・筑波サーキット推奨のラップタイマー
・KAZZ RACE MONITORに接続できる唯一の機種
[欠点]
・値段が高い
・車速信号の入力に非対応
・バックライトなし
■HKS サーキットアタックカウンタ
http://www.hks-power.co.jp/products/electronics/monitor/cac.html
・実売価格:27,600円
・電源:シガーソケット・バッテリー、内蔵電池なし
[長点]
・デザインがかっこいい(私の主観)
・最速ラップタイムと現在のタイムを同時表示できる唯一の機種
・リアルタイムでのタイム表示可能
・計時ラインでのラップタイム表示保持時間を3,5,10,15秒間と設定可能(マイナーチェンジ後のモデルのみ)
・車速信号を入力すれば車速(現在の車速orラップ毎の最高速)を表示することが可能
・区間タイムの計測可能
・車種によってはSLD機能によりスピードリミッタ解除可能(RX-8は無理)
・ケーブルが長い
・BEEP音がしっかりしていて、計測ポイント通過時に鳴る音も確認しやすい
・バックライト対応
[欠点]
・値段高め
・1/100秒までしか対応していない
・パソコンと接続できない
・99ラップまでしか記録できない
・ピットインなどしてラップタイムが10分を超えてしまうとFULLになり計測が止まる(手動で止める必要がある)
・ケーブルにいろんな端子が付いていてごちゃごちゃしている
・内蔵電源が無いため、車から外すとタイムが確認できない
磁気バーが埋設されていてマグネット式のタイム計測装置が使えるサーキットは、美浜サーキット(磁気バー数2)、スパ西浦モーターパーク(1)、幸田サーキット(3)、鈴鹿サーキット 西コース(1)/東コース(1)/国際レーシングコース(1)/南コース(1)、鈴鹿ツインサーキット Gコース(1)/フルコース(1)、岡山国際サーキット(1)、富士スピードウェイ ショートコース(1)/フルコース(1)、筑波サーキット TC1000(1)/TC2000(3)、袖ヶ浦フォレストレースウェイ(1)などです。逆に使えない中部のサーキットだと、ALT(オートランド作手)、MLM(モーターランド三河)、YZ 本コース/東コース、MLS(モーターランド鈴鹿)、鈴鹿ツインサーキットのドリフトコースが磁気バーが埋設されていないので、マグネット式のタイム計測装置を利用できません。詳しくはこちらのリンク先を参照。
http://www.cleverlight.co.jp/laptimer/circuit.htm
磁気バーは電磁石タイプと永久磁石タイプがあり、電磁石タイプは電源ON/OFFで稼動させるかどうか決めることができるようです(未確認情報)。なので、コース内に複数の磁気バー数があるサーキットは、イベントや走行会によっては稼動していない磁気バーがある可能性があるので注意してください。
また、マグネット式の各ラップタイマーによって相性や感度の違いがあり、マグネットセンサーの設置場所によっても信号が拾えなかったりする事があるので、磁気バーが埋設させているサーキットなのに、特定のマグネット式ラップタイマーが使えなかったというケースもあります。特にLAP SHOTシリーズはそういう報告が多いので注意してください。
私はHKSのサーキットアタックカウンタを使っているのですが、美浜サーキット、スパ西浦モーターパーク、鈴鹿サーキット 国際レーシングコース、鈴鹿ツインサーキット Gコース/フルコース、岡山国際サーキット、富士スピードウェイ フルコース、筑波サーキット TC2000(磁気バー数1の時)にて動作確認しました。センサーの感度が悪くて信号が拾えなかったということは今まで皆無です。
マグネット式以外のタイム計測装置についてもちょっと触れておきましょう。
■at first Ultra-Lap
http://atfirst.jp/ultralap/
・実売価格:37,800円(本体+レシーバー)/53,550円(フルセット)
・赤外線(ビーコン)システムラップタイム計測
・タイム更新時LEDランプ点滅
・アルカリ単3電池1本で駆動
[長点]
・赤外線方式なので、赤外線式トランスミッター(発信機)を購入すれば、磁気バーが埋設されていない場所でも使用可能
・ラップタイムに日付・レーサー名・コース名を記録することができ、管理能力が優れている
・文字が大きく視認性の高いタイム表示
・ラップタイム計測後の表示固定時間は1~250秒の間で任意に設定可能
・大容量のデータメモリ(1000Lap以上)搭載
・区間タイムの計測が可能(追加トランスミッタが必要)
・バックライト対応
・パソコンにデータ転送可能
[欠点]
・ラップタイマーとしては値段が高すぎ
・Ultra-Lapの赤外線式トランスミッター(発信機)が設置してあるサーキットがとても少ない(十勝インターナショナルスピードウェイ、白老カーランド、リンクサーキット、丸和オートランド那須、鈴鹿ツインサーキットのみ)
・Ultra-Lapの赤外線式トランスミッター(発信機)が設置してないサーキットで使うには、別途購入しなければ利用できない
・1/100秒までのタイム表示
・車速信号の入力に非対応
■パフォーマンスボックス/ドリフトボックス
http://www.enable-jp.com/ap/driftbox/index.html
・10Hz対応のGPSロガー
・実売価格:56,700円/79,900円
・GPSでラップタイムを計算
・電源:シガーソケット(内蔵電源なし)
[長点]
・元々GPSロガーだが本体に液晶表示があるため、簡易ラップタイマーとしても使える
・ウィンドウに吸盤固定なので設置が楽
・GPSのため、磁気バーが埋設されていない場所でも使用可能
・任意の場所に計測ポイントを設定できる
・SDカードでパソコンに転送できる
・64MBのSDカードに約53時間ものロギングが可能
・区間タイムも表示できる
[欠点]
・GPSが受信しづらい場所ではうまく信号が拾えずラップライムが計算されない事がある
・GPS計測のため、タイムの誤差が大きく、他のラップタイマーの代わりとして使うのは精度的に難あり
・1/10秒までの表示
・コースに合わせて計測幅を適切に設定する必要がある(特にミニサーキットでは注意)
・現ファームウェアではカレントラップしか表示されない(ボタンを押せばラップ一覧を表示できる)
・リアルタイムが表示されない
・ボタンが押しづらい
・値段が高い
■AMB計測システム トランスポンダー
http://www.difs.jp/amb/index.html
・多くのサーキットでシステムが導入されている
・導入しているサーキットでは大概トランスポンダーを有料レンタルしている
・導入しているサーキットでは電光掲示板にラップタイムが表示される
・イベントや走行会での正式リザルトとして採用される事がほとんど
・実売価格:サーキット場で充電式タイプを有料レンタル/電源直結タイプ:36,750円
・磁気バーとは別物
[長点]
・精度が高い
・ラップタイムは1/1000秒の単位での表示が可能
・マイポンダー対応サーキットだと、有料でレンタルしなくても持参したポンダーを利用できる
・MYLAPSのHPで自分のタイムを確認する事が可能
http://www.mylaps.com/index.php/japan_jpn/Websites/home
・鈴鹿サーキット 国際レーシングコースみたいにセクターに磁石が埋め込んでなくて、AMB計測システムの方のセンサーが埋め込まれているサーキットだと、マイポンダーのみセクタータイムがわかる
[欠点]
・マイ(トランス)ポンダーを持ち込んでも割引にならないイベントや走行会が多い
・岡山国際サーキットなど電光掲示板ないサーキットでは、走行中にラップタイムを確認できない
・TC2000や富士スピードウェイのライセンス走行枠では、トランスポンダーの貸し出しを行っていない
・TC2000のファミリーライセンス走行枠でマイポンダーを持ち込んでも、AMB計測システムのセクタのセンサーが稼動していないためにラップタイムしかわからない
http://www.jasc.or.jp/info/info_mylaps/index.html
・値段が高い
・MYLAPSを利用する場合は、MYLAPSのシステムを導入しているサーキット限定(美浜サーキットの走行会でMYLAPS確認)
いろいろラップタイム計測器があって悩みますが、購入する一つの目安としては、
・なるべく安価 → ZiiX ラップタイマー
・PC転送できる中で安価 → LAP-SHOT LP-03
・精度重視で1/1000秒まで表示できるもの → P-LAPⅢ
・デザイン重視 → サーキットアタックカウンタ
こんな感じかな。私はデザイン重視でサーキットアタックカウンタを選びました。マグネット式ではない計測器をラップタイマーとして自腹で購入するのはどれもあまりお勧めできません。
マグネット式の計測装置は、ラップタイムを表示する電光掲示板が無いサーキット(岡山国際サーキット、富士スピードウェイ ショートコース/フルコース、鈴鹿ツインサーキットなど)では必須になります。また、トランスポンダーの貸し出しが行えないTC2000のファミラや鈴鹿サーキットのチャレンジクラブみたいな走行枠だと、マグネット式の計測装置がないと走っている最中も走り終えた後もラップタイムもわからないからこれまた必要で、電光掲示板があっても見づらいサーキット(筑波サーキット TC2000、鈴鹿サーキット 国際レーシングコースなど)もあった方が便利です。
電光掲示板がある美浜サーキットでのトランスポンダーの貸し出しがある走行会や、私のように正式なリザルトが欲しいがために毎回トランスポンダーを借りている人のスパ西浦でのフリー走行なら、マグネット式の計測装置は特に必要がありません。スパ西浦のレンタル計測器のお金を節約するために、マグネット式の計測装置やマイ(トランス)ポンダーを持ち込んで使うのもありです。
長くなりましたが、サーキットで使えるいろいろなラップタイム計測装置についてまとめました。どれも一長一短なので、自分に合った物が見つかると幸いです。
P.S.
現在私が使っているラップタイム計測器の「HKS サーキットアタックカウンター」についてのパーツレビューはこちらです。
https://minkara.carview.co.jp/userid/507493/car/488014/2760279/parts.aspx
また、「HKS サーキットアタックカウンター」に車速信号を入力させる手順をこちらの作業手帳に記載しましたので参考にしてください。
https://minkara.carview.co.jp/userid/507493/car/488014/1050832/note.aspx