私がよく利用している動画編集ソフトは
「AviUtl」(エーブイアイ・ユーティル)というフリーソフトです。元々は入力したaviファイルにフィルタをかけたり、カット編集やリサイズして別の形式にエンコードするエンコーダー的な使い方をするソフトでしたが、
「拡張編集Plugin」の登場により、「AviUtl」上でタイムライン編集が可能となりました。これにより字幕やテロップな追加などの「テキスト合成」や、複数動画の「合成編集」などもできるようになり、「動画編集向け」と「動画編集向け」の両方を兼ね備えた本格的な動画編集ソフトとなりました。
私が「AviUtl」を使い始めた頃のマイパソコンのCPUは「Celeron400」。このPCでエンコード処理をするとフリーズしたのかと思うほど激重になり、次は自作PCにチャレンジしてもっと動画編集環境を整えなければと思いました。当時の動画編集ソフトは「AviUtl」と
「TMPGEnc」の二つが有名でして、エンコードする時に使用した映像コーデックの主流は、
「MPEG-1」から
「DivX3.11 Alpha」や
「DivX4.12」に移り始めてました。
昔話はこれぐらいにしておきまして、
「AviUtl」の最大の特徴は、プラグインで機能拡張が出来る点です。私が利用している「AviUtl」の機能は、ほんの一部に過ぎず、年々新たなプラグインが登場したり更新されている事もあって、未だにエンコード条件は試行錯誤な日々です。また、「AviUtl」は数々のプラグインで拡張できて細かい設定が出来る反面、正しい設定をキチンとしないとトラブルが発生しやすいソフトでもあります。私はかれこれ10年以上「AviUtl」を使っていますが、未だに悩まされる問題がいくつかあります。それは、
・インターレース解除
・アスペクト比
・エンコード条件
・音ズレ
以上の4つです。今回はこの中の「音ズレ」について解説したいと思います。
■音ズレの原因
ソースファイルは「音ズレ」がないのに、「AviUtl」で動画編集してエンコードしたファイルを再生すると「音ズレ」が発生する事があります。原因はいくつか考えられますが、今回は下記の4つを取り上げます。
1) サンプリング周波数
2) 動画を入力する際の設定
3) 入力プラグイン
4) ソースファイルのフレームレート
5) 音声エンコーダの遅延問題
■音ズレの原因その1 サンプリング周波数
入力した音声のサンプリング周波数が48kHz、出力した音声のサンプリング周波数が44.1kHzのように、入出力のサンプリング周波数が異なると「音ズレ」が発生する事があります。拡張編集プラグインを使って複数の音声を入力する場合は、入力した音声の中で最も高いサンプリング周波数に揃えます。CD音源オンリーとかハイレゾ音源を扱うのでなければ、エンコード側の設定で48kHzを選択すれば確実です。
■音ズレの原因その2 動画を入力する際の設定
・ファイル → 開く →
「fpsを調整して読み込む」
・ファイル → 環境設定 → システムの設定 →
「ロード時に映像と音声の長さが0.1秒以上ずれているものは自動的にfps調整する」
上記の2点の設定が原因により、「AviUtl」の編集の時点で「音ズレ」が発生する事があります(再生ウインドウのプレビューで確認可能)。チェックを入れたり外したりして「AviUtl」を何度か再起動したら直った経験があります。新しいPCに「AviUtl」を新規に入れたばかりの時に、この症状が出やすい気がします。以前は両方ともチェックを入れてましたが、現在は両方ともチェックを外しています。また、音声だけ別に入力したら直ったという報告もありますので、こちらも参考にして下さい。
■音ズレの原因その3 入力プラグイン
「AviUtl」に動画を入力する際の
「入力プラグイン」を変更する事で、「音ズレ」が解消する事があります。特に、mp4ファイルなどaviファイル以外を入力する際には、どの入力プラグインを使うかが重要となります。動画を読み込んだ時に使った入力プラグインの確認方法ですが、[メニュー → その他 → ファイルの情報]で確認できます。
mp4ファイルの入力プラグインに
「DirectShow File Reader」を使って「音ズレ」が発生する場合は
「L-SMASH Works File Reader」に、「DirectShow File Reader」を使って「音ズレ」が発生する場合は「L-SMASH Works File Reader」に変更する事で解決する事があります。入力プラグインは、ファイル → 環境設定 →
「入力プラグイン優先度の設定」で変更可能です。
「L-SMASH Works File Reader」は、さまざまな形式の動画ファイルを「AviUtl」で読み込めるようにする非常に便利な入力プラグインですが、リビジョンによって動作や安定度が少し異なる点と、「AviUtl」標準の「AVI/AVI2 File Reader」よりも優先順位を上げてしまうと予期せぬ不具合が発生する事がある点については注意して下さい。
なお、上記の「音ズレの原因その1 サンプリング周波数」で出てきたサンプリング周波数については、入力プラグインの「サンプリングレート」の設定で指定する事も可能です。
■音ズレの原因その4 ソースファイルのフレームレート
入力した動画のフレームレートが
CFR(固定フレームレート)ではなく
VFR(可変フレームレート)の場合、編集して出力すると「音ズレ」が発生する事があります。VFRの動画の例を挙げますと、「AviUtl」の
「自動フィールドシフト」などを使ってVFRでエンコードしたファイル、24/30fps混在のアニメの動画ファイル、ShadowPlayでキャプチャした動画ファイル、(ビデオ)カメラの設定でVFRを選択して録画した動画ファイルなど。
動画ファイルのフレームレートがVFR or CFRの確認方法ですが、メディアファイルのファイル情報やメタデータを表示できるフリーソフト
「MediaInfo」を利用する事により確認できます。「MediaInfo」を実行しようとすると、AVGなどアンチウイルスソフトが反応することがありますが、特に問題はありません。ダウンロードするバージョンによっては、インストール作業中にアドウェアも一緒にインストールを求められる事がありますが、そちらは不要なのでチェックを外しましょう。なお、上記の「音ズレの原因その1 サンプリング周波数」の音声ファイルのサンプリング周波数については、このソフトを使えば確認可能です。

VFRが原因で「音ズレ」が発生する場合は、VFRをCFRに変換してから読み込ませる事で解決します。やり方としては、
Avisynthのffmpegsourceを利用する、フリーのビデオコンバーター
「HandBrake」で読み込ませてCFRでエンコードし直してから「AviUtl」に読み込むなどがあります。「HandBrake」は、stable(安定)版ではなくNightly Builds版の利用をお勧めです(stableにはない機能やQSVエンコードを利用できる為)。なお、オリジナルよりも大きい解像度へのリサイズ、AVI出力(0.9.4以降)はサポートされていません。
音声エンコーダの遅延問題につきましては、長くなるので次回に書きたいと思います。
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Posted at
2014/11/16 00:00:02