2009年12月18日
仮面舞踏会 ハチャトゥリアン
ハチャトゥリアン/組曲「仮面舞踏会」については私個人としてとても思い入れのある曲であります。
来月、この曲を演奏するオーケストラから声をかけていただき、引き受けることにしたのは、やはりこの曲を演奏してみたいという強い思いからの動機が大きいのです。
この組曲のワルツは豪華な、しかし悲劇の予兆を感じさせる古き良き時代の上流階級の舞踏会を彷彿とさせます。
最近この組曲はワルツが真央ちゃんをはじめ、スケートの曲として多く用いられるので有名になっていますが、それ以外の曲も非常に佳作ぞろいの傑作だと思います
。
この曲に関する思い出というとN響の定期演奏会で初めてこの曲の生演奏を聞いたときのことを思い出します。
1992年ごろだったと思います。
非常にエキゾチックな響きを大音量で、まさに体で響きを受け止めるような前の席で聞いたのでした。
圧倒的なコントラバスの低音、金管のきらびやかな、しかしうるさくない高貴な輝きに圧倒され、まさに祈りを音にしたのではないかと思うようなロマンス、剣の舞を髣髴ともさせる強烈なリズムを感じさせるギャロップ
全てが新鮮でした。
トランペットは関山先生と佛坂先生が演奏していて、関山先生は記譜がBb管トランペット用なのにC管で演奏されていたのを覚えています。
これはロマンスの演奏に非常に効果的でした。
ニーナの歌唱を組曲ではトランペットで演奏するのですが、これがC管で演奏するのが非常に柔らかい音で叙情的で、その感動はいまだに消えないのであります。
今回、私も関山先生に習って、C管で演奏しようと思っています。たった数行のソロですが、ニーナの歌う祈りに満ちた歌を少しでも再現できたらと
思っています。
演奏会は以下の通りです。
ご興味がございましたら是非、足を運んでいただけたらとてもうれしいです。
東大フィルハーモニー・グラジュエイト・オーケストラ演奏会
演目:
ショスタコービッチ 祝典序曲
ハチャトリアン 仮面舞踏会
チャイコフスキー 交響曲第5番
■2010年1月30日(土)14:00
■新宿文化センター大ホール
以下、曲の説明です。
旧ソビエト連邦時代のグルジア出身のアルメニア人音楽家アラム・ハチャトゥリアンの作曲した仮面舞踏会(ロシア語:Маскарад)とはミハイル・レールモントフの戯曲『仮面舞踏会』(ロシア語: Маскарад)を題材にした音楽作品である。当初は劇音楽として作曲されたが、後に作者本人によって管弦楽のための組曲に編成された。
戯曲『仮面舞踏会』 [編集]
登場人物 [編集]
アルベーニン:主人公。凄腕の賭博師
ニーナ:アルベーニンの妻。仮面舞踏会の会場で腕輪を紛失してしまう。
公爵:賭博で負けているところをアルベーニンに救ってもらう。
男爵未亡人:公爵とニーナの友人。ニーナが仮面舞踏会で紛失した腕輪を見つけ公爵に渡す。
男:賭博でアルベーニンに負け破産。アルベーニンに復讐したいと思っている。
あらすじ [編集]
物語は帝政ロシア末期のころの貴族社会が舞台。作者はこの作品でロシアの貴族社会の特殊性を描き出し、批判しようとした。
賭場 [編集]
主人公・アルベーニンは凄腕の賭博師だったが、妻・ニーナと静かな生活を送っていた。しかし、彼はふと久しぶりに賭博場に妻とともに行く。すると、負けが込んで全財産を失う寸前の若い公爵がいた。アルベーニンは公爵の代わりに博打を打ち、勝ちをおさめ公爵の失った財産の回収に成功する。
最初の仮面舞踏会 [編集]
後日、アルベーニンとニーナは仮面舞踏会へ行き公爵はある男爵未亡人を口説いていたのを目撃する。一方、ニーナは仮面舞踏会の会場で腕輪を紛失してしまう。ニーナの紛失した腕輪は男爵未亡人が拾い、自分を口説く公爵を煙に巻くためにあげてしまう。公爵は、自分が口説いた女からの贈り物だと自慢げに腕輪をアルベーニンに見せる。アルベーニンはその腕輪には見覚えがあった。
腕輪の疑惑 [編集]
アルベーニンとニーナが仮面舞踏会から帰宅すると、ニーナは腕輪を紛失したことを夫に告げる。アルベーニンは公爵が自分に見せた腕輪がニーナの腕輪だと気づき、公爵が口説いた女は妻であると疑う。やがてアルベーニンは妻と公爵は恋仲であるとの疑惑を深め、激しい嫉妬に襲われる。愛する妻と自分が破産から救ってやった公爵との「二つの裏切り」に怒り、アルベーニンは妻の殺害を決意する。
最後の仮面舞踏会 [編集]
アルベーニンは再びニーナをつれて仮面舞踏会へ行く。彼は毒入りのアイスクリームをニーナに与え毒殺しようとする。夫がだしたアイスクリームを何の疑いもなく食べるニーナ。果たして毒が回りニーナは苦しみ始める。アルベーニンはニーナに「彼女が公爵と不貞を働いたこと」を詰問する。ニーナは苦しみながらそれをそれを否定し身の潔白を訴えつつ死ぬ。妻を殺したとたんにニーナが本当に不貞を働いたのかどうかを改めて検討するアルベーニン。
幕切れ [編集]
妻への疑惑の確信を疑うアルベーニンに前にある男が現れた。彼はアルベーニンに賭博で破れ破産した男であった。彼は「お前が妻を殺したのだ」となじる。彼はアルベーニンがアイスクリームに毒を盛るところを目撃していたのだった。やがて公爵と男爵未亡人が現れ男爵未亡人が仮面舞踏会で拾った腕輪を公爵をあしらうために差し出したこと、公爵は腕輪を男爵未亡人からもらったことをそれぞれ告白する。その結果、ニーナの無実を知ったアルベーニンは貞淑な妻を疑ったあげく殺害した罪悪に打ちひしがれ気がふれてしまう。アルベーニンに賭博で負けた男は、偶然にも復讐に成功したのであった。
作品 [編集]
劇音楽『仮面舞踏会』 [編集]
劇音楽として1941年に作曲、初演された。全14曲からなる。
組曲『仮面舞踏会』 [編集]
1944年にハチャトゥリアンは『仮面舞踏会』のうち5曲を選び二管編成の管弦楽のための「組曲」に再編成した。
I ワルツ
ニーナが夫からの毒入りアイスクリームを食べた最後の仮面舞踏会の時の舞曲である。ニーナが夫が毒を盛ったことを知らずに帰宅後も仮面舞踏会の余韻に浸り回想する場面のために作曲された。豪華絢爛たる響きの湛えつつ哀愁のあるメロディが印象的な作品である。ハチャトゥリアンが作曲に苦慮したことで知られる。
II ノクターン
最初の仮面舞踏会のこと(ニーナが腕輪をなくした仮面舞踏会)をアルベーニンが妻より早く帰宅したときに回想する場面のために作曲された。アルベーニンがまだ妻への疑惑持っていない段階であり、曲調には暗さがない。
III マズルカ
仮面舞踏会の華やかさ参加する者たちの悲しみを描いた曲。一見華やかで幸福な仮面舞踏会も悲劇や不幸をはらんでいる危ういものであることをあらわす。
IV ロマンス
ニーナが最後の仮面舞踏会で参加者に請われて踊る場面の音楽。歌詞があり、ニーナが歌うことになっている。劇音楽ではニーナが歌唱中でアルベーニンが現れるため歌唱は中断される。
V ギャロップ
劇が終わったあとに演奏される曲である。観客へのために作った曲と考えられ、悲劇的な劇の内容とは直接関係がない。
評価 [編集]
『仮面舞踏会』は発表時から高い評価を受けており、組曲への編成もそれを受けたものと考えられる。劇音楽『仮面舞踏会』は原作がそれほど有名ではないことやロシア文学史上において高い評価をうけていないことから、演奏されることは稀である。一方、組曲『仮面舞踏会』はしばしば演奏される。現在ではハチャトゥリアンの『仮面舞踏会』は「仮面舞踏会を題材にした音楽」を取り上げる際には必ず言及されるほどの高い評価を受けている。
音楽の使用例
織田信成:「ワルツ」をショート・プログラムで使用。
浅田真央:「ワルツ」を2008-2009年シーズンのフリー・スケーティング[5]、で使用。
他多数
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Posted at
2009/12/18 23:14:18
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