yooky17（ゆうき）のブログ一覧

郊外の平日。片道2車線。道の両脇は高い塀となり、高台には“ハイツ”が並ぶ。人や車が飛び出す可能性は、数百メートル間隔に並ぶ交差点しかない。運良く俺は、信号待ちの先頭に着けた。
骨と皮しかないスーパーセブン。屋根も窓も無い。剥き身の俺は、春先の肌寒さを革ジャケットで遮る。直行の信号が変わるのを横目に見ながら、ギアを1速に入れた。
アイドリングのまま、スムーズにクラッチをつなぐと、軽い車体がゆっくりと動き出す。少しアクセルを煽り、2000回転で2速に入れた。
回転の上りに合わせ、ブースト計の針も上昇する。0.8kg/cm2を指したところで3速へシフト。ドライブギアがドリブンギアを、滑らかに、だが力強く素早く回転させる。圧倒的な加速に景色は歪み、正面以外は見えていない。遠慮無くアクセルを踏み込むと、パワーに負けてホイールスピンが始まる。ブースト計は1.0kg/cm2を指した。
スピードメーターなど見る余裕はない。閉鎖されている風であるとは言え、一般道。いきなり怪しい動きをする車や、赤灯を回転させるヤツがいるかかわからない。とうの昔に3桁になっているであろうスピードから、前を走る車が稲妻のように近づいてくるのを確認し、ブレーキを踏んだ。


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エンジン壊れてからどんだけ経ったろう。
全開までの道はまだか。
ただただ妄想は続く。。。

「自らの日頃の行い」に対する、自分と神様の見方は異なるようだ。

昼からの降水確率は確かに下がり、雨は上がった。
だが、太陽の力なくしては、濡れてしまった路面は乾かず、退屈な土曜日を潰すため献血に出掛けた。

降水確率が下がったとは言え、神戸の空は重い。
無料駐車券も献血センターが発行してくれるというので、バカ高いトンネルを通る地下鉄を諦め、中心街まで車を走らせた。

予約の際に電話で案内された契約駐車場に車を入れ、献血センターのあるミント神戸まで5分ほど歩く。
すれ違う、手を繋いだ若いカップルを横目に見ながら目指すビルに辿り着き、南のエレベーターで15Fのボタンを押した。

献血センターでは、丁寧に案内してくれる男性や女性。
指名制度は無いが、さりげなく「若くて可愛い女性」の前にタイミング良く立ち、分かっている事も、再度きちんと説明してもらう。
真剣に聞いてる最中も、笑顔は絶やさない。

今回は、街中に出掛けている献血車では出来ない、成分献血を選んだ。
少し時間は長いが、必要とされている成分を抽出してもらう事で、少しでも誰かの役に立て、しかも2週間後には再献血が可能だ。

実際に抜き取られる量は400cc。
新しい血液を作る事で、自分の体内に流れる血液もきれいになる。

次に行くのは、これを読んだあなた。
誰かのために、少しの時間を割いてみよう。




PS.
酒がかなり回って来て、劇場版らしくなくなってしまった。。。(-_-;)

待ち合わせ場所から寒い歩道を少し歩いて、左手にある煉瓦の階段を上った。2階に着き木製のドアを開けると、ほのかにオリーブの香りが漂う。
逆さに吊られたワイングラス。黄色い擦りガラスで光源を包む柔らかな照明。ジャケットを脱いで壁に掛け、淡く光るワインと色鮮やかなスペイン料理を楽しんだ。

笑顔とお喋りが、温かなウッドカウンターにころがる。
優しい香りと囁く音楽が、都会の忙しさから隔離された空間を彩る。

ふと彼女が動きを止め、唇の間から何かをつまみ出した。
大きく見開いた瞳達が見つめるその先には、黄金色に輝く小さな鍵。

この鍵、いったいどこの扉を開けてくれるんだろう。

夜の帳に、耳障りなドアホンの電子音が響いた。

「一体、こんな時間に誰が来たんだ」

開いたPCのキーボ－ドから手を放し、俺はドアホンに向かった。
モニターには知らない男。わざわざカメラに映るように、何かを抱えている。
某国営放送の回し者か。
俺は身構えた。モニター横に置いた、ワルサーP38に手を伸ばす。

もう一度男がドアホンを鳴らした。
俺は黙ってモニターを見つめる。

男がボタンを押すためにもう一度近づいた時、男が抱えた物に伝票らしきものが見えた。

『あぁ、アレがもう届いたのか』
安堵と共に、モニター下のボタンを押して返事をする。
やはり宅急便だった。

玄関を開け、面と向かって男と受け答えをするのだが、何故か男がそわそわしている。何かに怯えているようだ。
『コイツ、何を怖がっているんだ？』
そう思いながらも荷物を受け取り、机の上に置いた。
念のため伝票の記載事項を確認すると、Pの文字がやたらと小さい。

届いたのは、ゴム製の手袋。

まったく怪しくないものなのだが、ただPが小さい。それだけでモノを怪しく変えていた。

ちぇりぼんさん、頼みますよ。。。^^;

写真を撮る事はあっても、撮られる事はあまりないが、走行会OFFの時の写真を、仲間がくれた。

ずっと昔から、違う笑顔が入っては出て行った写真立て。
しばらく空っぽで、その存在は遠い記憶に溶けそうだった。

ヤニで曇ったガラスを洗い、久しぶりに机の上に飾ってみる。

トンプソン・ツインズが流れる部屋。
飲みかけのバーボン。

切り取られた時間の中で、笑う自分が気恥ずかしい。