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2013年02月02日

ワークスチームにおけるカラースキーム考察その壱 ~MARTINI 黎明期編

ワークスチームにおけるカラースキーム考察その壱 ~MARTINI 黎明期編 MARTINI RACINGの話題が出たところで...

先日高速道路を流していたおり、素敵なマルティーニのカラーリングを施された、アルファロメオのスパイダーに遭遇しました。
ポルシェやランチアはわかるけど、アルファ...?

オールド・ポルシェファンにはもちろんお馴染み。
最近では、918スパイダーのテスト車両に採用されて話題になりましたね (^ ^


ホワイトボディを貫く、紺/水色/赤のストライプ。
この印象的なカラーリングは、一体いつ頃から存在したのでしょう ?
そもそもマルティーニ・レーシングって、どんな成り立ちのチームだったの ?
実はよく知らなかったので調べてみました (^ ^b
このチームの誕生と歴史を、カラースキームの変遷とともにお伝えしたいと思います。


マルティーニ・レーシングの出資元は、MARTINI & ROSSI (マルティーニ・エ・ロッシ)。
以前のブログでもご紹介した、イタリアの老舗酒造会社です。


この企業が自動車レースの世界に進出したのは今から45年前、1968年シーズン* でした。
この年、CSIはスポンサードに関する規制を緩和し、さまざまな企業の出資を促しました。
マルティーニが名乗りを上げた時には「自動車屋ではない連中がレースをやる」と話題になったらしいですが、その後のレースシーンにおける酒造業界やタバコ業界の趨勢を見ると、先見の明があったと言えるでしょうね。
最初の年は、契約したチームの車体に “MARTINI” ステッカーを貼る代わりに、レーシングスーツを提供する...といったレベルのスポンサードだったそうです。

'68年のニュル1000kmを走る、ドイツのプライベートチーム “Caltex Racing Team” のポルシェ906。
ドライバーはポルシェ遣いとして名を馳せ、現在Audiワークスを率いてル・マン連覇中のラインハルト・ヨースト。
この画像では確認できませんが、ボディ側面にMARTINIのブランドマーク (赤玉) が貼ってあるようです
カラーリング自体は当時のワークスチームと同じで、ホワイトボディのボンネットに識別カラーを塗っていますネ。



1969年、マルティーニは二台のポルシェ907を擁し、独逸の “German BG Racing Team” を全面的にバックアップすることになります。
ドライバーは、ハンス-ディーター・ディヒェント、ゲルハルト・コッホ、ルディ・リンス、ウィリー・カウーゼンの四名。
前年に続き、ポルシェのマシンとドイツ人チーム。
イタリア企業なのになぜ ? の感は否めませんが...
“吊るし” の状態で即レース参戦できる、ポルシェ・レーシングカーのコストパフォーマンスの高さが要因だったのかもしれません。

'69年のニュル1000kmを走る、ジャーマンBGレーシングのポルシェ907。
前年と同じくホワイトボディで、識別カラーは黄色と青色を左右塗りわけ、アクセントに赤い隈取り。
翌年にも引き継がれる、赤/黄/青の三色パターンの登場です。



翌1970年、マルティーニはついに自らの名を冠した “Martini International Racing Team” で、本格的に長距離耐久レースに参戦。
チーム母体は、デチェント主宰のジャーマンBGレーシング。
ドライバーは前年の四名に、ワークスチームの準レギュラーであるジェラール・ラルース、ヘルムート・マルコらを加えた陣容となりました。
マシンはポルシェ908/02にバージョンアップ。
ワークスの最新型ポルシェ917Kと比べると戦闘力の面で見劣りしましたが、コースによっては善戦。
ブランズハッチやニュルのレースでは入賞するなど、かなりの健闘を見せました。

'70年のタルガフローリオを走る、マルティーニ・インターナショナルのポルシェ908/02Flunder。
赤/黄の左右塗りわけに青いV字ストライプの、スタイリッシュなカラーリング。
ミニチュアカー等でもよく取り上げられるマシンですね (^ ^



この年、開幕から破竹の進撃を見せた917Kの活躍で早々に国際メーカー選手権を手にしたポルシェは、残る悲願のタイトル、ル・マン24時間の総合優勝に向け万全の体制固めを行います。
ワークスカーを走らせるジョン・ワイヤーのJ.W.オートモーティブからガルフカラーの917Kが三台、ポルシェKGザルツブルクから917Kと917LHの二台が出走。
マルティーニにも917LH一台が支給され、準ワークスとして出走することになりました。

ラルース/カウーゼンのドライブで'70年のル・マン24時間を走る、ポルシェ917LH “ヒッピー”。
この斬新で個性的なカラースキームは、後にポルシェ928等をデザインしたアナトール・ラピーヌの手によるもの。



悪天候の中行われた本戦では、大本命のガルフ三台が次々とリタイアしたものの、ザルツの赤い917Kが首位でフィニッシュ、続く二位にはマルティーニのヒッピー、さらに三位にもマルティーニの908/02が滑り込むという、波乱の結果に。
ポルシェはフェラーリ勢を抑えて悲願のル・マン総合優勝を達成、マルティーニ・レーシングにとっても、初表彰台に二台を送り込む大殊勲のレースとなりました。


ル・マンの後、マルティーニは同じくプライベーターのAAWチームが走らせていた917K (021) をレンタルし、シーズン後半を戦いました。
ワトキンスグレンではル・マンのヒッピーをアレンジした濃青/緑のサイケ模様でしたが、その後は同じパタンで黄/赤に変更。
このカラースキームを、有力スポンサーであるShell石油のブランドマークを意識したとして “シェル・カラー” と呼ぶ向きもありますが、真偽のほどは不明です。
ちなみに同時期、ラルースが同様のペイントを施した超軽量911S/Tを駆ってツール・ド・フランスに出走、三位入賞しています。

'70年シーズン終盤のノンチャンピオンシップ・レース、キャラミ9時間を走るマルティーニのポルシェ917K。
当時はチーム間でドライバーが行き来することもあったらしく、南アフリカで行われたこのレースでは、ワークス・レギュラーのジョー・シフェールとクルト・アーレンスJr.がマシンをドライブ、二位に入賞しました。



ル・マンでの活躍を認められたマルティーニ・レーシングは、翌1971年、ポルシェの公認チームに昇格します。
JWAガルフに次ぐ、ワークス・ナンバーツーの座を獲得したのです。
ドライバーには、前年をもって解散したザルツブルクからヴィック・エルフォード、AAWからガイス・ファン・レネップらが加入。
主宰のディヒェントは一線を退き、チーム監督となりました。
そしてこの年、ついにマルティーニのニューマシンがベールを脱ぎます。
シルバーボディに紺/水色/赤のストライプ。
“ボクたちが知ってる” マルティーニ・カラーの誕生です。

'71年シーズン二戦目、デイトナ24時間のマルティーニ・チーム。
ボディサイドとルーフにストライプ、フロントにチーム名、リアカウルにロゴマーク。
鼻先とリアスポイラーに識別カラーが入る以外は、二台とも基本同じデザインのようですね。
第三戦のセブリングでは、エルフォード/ラルース組の3号車が見事チーム初勝利を上げました。



こちらはポルシェ908/03、テールに垂直フィン付きの'71年バージョン。
ワークスは前年と同様、高速サーキットには917、ニュルやタルガでは小回りの効く908/03を投入する作戦を打ちました。
やや控えめな感のある917Kのストライプと比較すると...908/03は派手ですネ (^ ^;
ヘッドランプの無いのっぺりとしたマスクが、デザイナー心をくすぐるのでしょうか ?

'71年のニュル1000kmで優勝した、エルフォード/ラルース組のポルシェ908/03。
二位はJWAガルフ、三位にもマルティーニが入り、ポルシェ完全勝利となったレースでした。
フロントを大きく隈取るマルティーニ・ストライプが印象的。
ちなみに三位の4号車は、センターに太く走る矢印型ストライプ。
これらは後年、カレラRSRのカラースキームとして再び登場することになります。



そして、'71シーズンのポルシェの圧倒的強さを体現したのが、このマシン。
ホワイトのボディにマルティーニ・ストライプが眩しい、917K。
ル・マン一戦のみに投入された、マグネシウム・フレームを持つスペシャル仕様です。
ワークスの実験車両的な意味合いが強く、マルティーニの中でもナンバーツーの位置づけだったらしいのですが...
フタを開けてみれば、24時間をほぼノントラブルで走りきって、余裕の総合優勝。
しかもこの時に記録した397周 (5335.313km) の到達距離は、当時のル・マン史上最長。
その後39年間、破られることはありませんでした。

'71年のル・マン24時間で優勝した、マルコ/ファン・レネップ組のポルシェ917K。
二位も同じくJWAガルフの917Kで、ポルシェにとっては二年連続の完全勝利となりました。
白地にマルティーニ・ストライプ、今となっては最もポピュラーですが、実戦ではこのレースが初出です。



こうしてわずか四年の間に、プライベーターからトップチームに上りつめたマルティーニ・レーシング。
黎明期~躍進期までを、ざっとかいつまんでお伝えするつもりでしたが...
えらい分量になっちゃいました (^ ^;
みんなが知ってるマルティーニ、“黄金期編” はまた次回、ご報告させていただます。


つづく...



*昨日、みん友のwrong endさんのブログでご指摘いただいて判ったのですが、1962年の世界選手権第三戦セブリング12時間に、Martini & Rossiスポンサードのアルファロメオ・ジュリエッタが二台、エントリーしていました。
白のヴェローチェ (61号車) のエントリー名は “Scuderia Ambrosiana”、赤のSZ (62号車) は “Martini-Rossi Racing” です。
同年のシリーズ最終戦、ブリッジハンプトン400kmにもう一度だけ、同名のエントリーがありました。
いずれも北米で行われたレースでドライバーもアメリカ人、もしかしたらスポット参戦だったのかもしれません。
調べた限り、その後は1968年まで、少なくとも世界選手権シリーズのレースにマルティーニのエントリーはなかったようですが...
もしかしたら、ドメスティックなレースの単発スポンサーみたいなのは、他にもあったのかもしれませんネ (^ ^;
wrong endさん、貴重な情報ありがとうございました (^o^)/
ブログ一覧 | カラースキーム考察 | クルマ
Posted at 2013/02/02 06:30:31

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この記事へのコメント

2013年2月2日 10:31
こうして歴代のデザインを続けて見ると、やはり白地にマルティニストライプを配置した917に一番凄みを感じますね。

これが常勝マシンのもつオーラなのかな?(^^;)
コメントへの返答
2013年2月3日 19:43
今回はMARTINI目線なので、Gulf二台の影が薄いですが (苦笑
あらためて当時の戦績を振り返ると、ジョンワイヤー・チームの勝ちっぷりが凄まじいですね~
でも不思議とル・マンだけは、おいしい所をNo.2チームにさらわれてしまった (^ ^;

ホワイトにマルティーニ、向こう側にはやがて来る935 & 936の黄金時代も透けて見えて...オーラ倍増ですネ b(^ ^
2013年2月2日 12:14
もうこのblogは、専門誌の記事レベルです。
勉強になりました(^-^)

個人的には、マルティーニはお酒の方が馴染みがあったりします。
ベルモットはチンザノかマルティーニかみたいな話が昔よくあったかも。
コメントへの返答
2013年2月3日 19:56
ありがとうございます (笑

さすが元プロ (^_−)−☆
最近、近所にMARTINI置いてる酒屋さん無くなくなっちゃって...
取引先が違うのかな ?
CINZANOはいっぱいあるんだけど (^ ^;

味のことは置いておいても、“あのマーク” が付いてるほうを使いたいhommaでした (苦笑
2013年2月2日 12:40
こんにちは!

こうしてマルティニレーシングの成り立ちを見ていると、ちょうどレースカーがナショナルカラーからスポンサーカラー主体に切り替わるきっかけにもなっていることが解り、とても興味深いですね!!

71年ルマン優勝の917K(053)はマグネシウムフレーム化で軽くなった分で車重バランスを調整して、操縦性の大幅な向上を図ったと、何かの解説で読んだことがあります。この辺がレギュレーションで縛られた競技車両独特の改善で面白いなぁ~と感心してしまいます(^^;)
コメントへの返答
2013年2月3日 20:24
'60年代末~'70年代初頭って、モータースポーツの世界でものすごくいろんな変化・変革があった時期のようですね。
当時の記録を追って行くと、赤、白 (銀)、青、緑だったサーキットが、'67~'68年を境に急激に華やいでいく様子がわかります。
ジョンワイヤー (Gulf) や、F1のロータスチーム (Gold Leaf) なんかも、ちょうど同じ頃に思い切ったカラー変更をしていますネ。

マグ合金フレーム、通常のアルミ合金製と比べて車重50kgくらい軽かったらしいス。
そのままではレースの車検通らないので、オイルタンクを大型化して (オイルをたくさん呑み込んで) 調整したそうで (^ ^;
2013年2月2日 12:56
ポルシェに対するマルティニと関わりが結構奥が深いで、これを読んで色々勉強になりました。

アルファ組み合わせだったら、1970年代後半F1ブラバムチームにアルファロメオエンジンを積んで走りまして、ボディーは御馴染み白色から赤色に変わってマルティニカラーストライブだった覚えがありますが成績がイマイチでした。

続編楽しみにしていま~す(^^)/
コメントへの返答
2013年2月3日 20:35
あ、ばれた !? (笑

さすがイタリア娘をお持ちのmichiさん、ネタがすぐ割れちゃいましたね (^ ^;
Brabham、子どもの頃ポスターやプラモで見たことはあって、調べてみたらとても懐かしかったです。
当時小学生だったので、エンジンがどこ製かまでは知らなかったです (苦笑

もちろん、次回はそんな話も出てきますので、お楽しみに~ (^o^)/

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