
このところ敬愛するミュージシャンが立て続けに身罷られ、自ずと楽器を手に取って追惜する機会が増えました。
久々にケースから引っぱり出すと、ネックは反るわメッキは曇るわ、いざアンプに繋げばノイズの嵐 (^_^;
楽器もクルマと一緒で、放置するとろくな事がありません。
しっかり作られた昔の楽器は、少し調整してしばらく触ってやるとちゃんと鳴るようになるのですが、完全に御臨終した消耗パーツは交換が必要。
このあたりもクルマと同じですね。
ネットでパーツを探して調達し、ハンダごてを握る日々がしばらく続き...
マズい物を見つけてしまいました (汗)

フェンダー社のジャズ・ベース、1970年代初期物との触れ込みでボディだけの出品。
昔流行った「剥ぎナチュラル仕様」になっていて、もとの塗装を剥がして木地を出し、クリアーラッカーだけ吹いてあります。
クルマで言えば「全剥離オールペン必要なドンガラボディ、エンジン・パーツ無し、修復歴一応ナシ」みたいな物件。
現状はお世辞にも綺麗とは言い難い素人仕事で、価格もそれなり。
この年代のフェンダーとすれば、かなりのお値打ち、とも言えます。
五日間悩んだ末、オークション終了日に入札しちまいました (^_^;;

届いたブツを詳細に観察すると、ネック接合部の塗装の残り具合等から、当時のフェンダー社純正のボディであることは間違いなさそう。
もともとのカラーは、3トーンのサンバーストだったようです。
'71~'72年製という話でしたが、ボディに残ったビス穴の位置から1974年製と断定しました。
楽器の世界もクルマと同じで、ヴィンテージと呼ばれる年代物は近年価格が高騰しています。
フェンダー社のギターも、1950年代~'60年代中期のプレCBSと呼ばれる時期の個体はもう青天井。
職人が一本一本手作業で組み上げて、ラッカー吹いて仕上げいた時代の楽器です。
ポルシェで言うと、356とかナローのイメージ ?
その点、レオ・フェンダー社長が会社をCBSに売却した後の'70年代物は、「塗装が厚くなった」とか「大量生産体制に入った」とかの理由で人気が今ひとつですが、そのぶん気兼ねなく弾き倒せるし、塗装も丈夫で気を遣わなくていいし、、音もほどよく枯れ始めているし...
まるで930のようで (笑) 私的には気に入っています。

しばらく飾って眺めた後は、ぼちぼちパーツを集めて組み上げていこうと再びネットサーフィン。
この辺りも昔から続いているメーカーは、一寸割高ですがちゃんと当時仕様の純正パーツを供給してくれるので有り難い。
連日海外から届く段ボールの小箱を見て、m-koは「螺子屋でも始めるの !? @_@;;」と (苦笑)
当初の目論見では、三十年ほど前にショップで製作したお気に入りのフレットレス・ネックを使って、再塗装してパーツを移植して完成、のはずでした。
ところが...いざネックをあてがってみると、ハマらない !?
なんか、
聞いたようなハナシです (爆)
どうやら、ワンオフで作ってもらったネックの規格がフェンダーと微妙に違うらしく...
同じジャズベだから大丈夫かと思ったんですけどね (^_^;;

で、結局こうなりました。
ボディと同年代の、フェンダー社純正ネック。
ebayで見つけて、日本へ発送してくれるよう出品者と交渉した上で、入札。
ちょっと時間が掛かりましたが、無事にケンタッキーから来日しました。

詳しい方はアレ !? と思ったかも知れません。
そう、このネック、ジャズ・ベースではなく、プレシジョン・ベース用のネックなのです。
ジャズベとはネックの握りが若干違いますが、ボディ接合部のサイズは共通なので互換性アリ d(^_^o)
一般的にジャズベのネックは細く、プレベのネックは太く平たいイメージです。
しかし'72年以降の'70年代のプレベはやや細身のシェイプで、ジャズベから持ち替えて違和感ナシ。
'74のプレシジョン・ベース (冒頭画像) を長年愛用してきた本人が言うので間違いありません (笑)
ジャズベより気持ちガッシリした握り心地は、安心感もあります。
「いますぐ出せるSエンジンの在庫は無いんだけど、こっちのTのエンジン載せとく ? トルク太くて乗りやすいし、ちょっと弄ればS仕様になるよ」みたいな感じでしょうか ? (笑)

このネック、フェンダー社純正のフレットレス (音程を正確に出すための金属のフレットが指板に打ち込まれていない仕様) なので、ラインオフされた時点ではバイオリンみたいな真っ黒指板だったはず。
ところが、どこかの段階で誰かが、指板を押さえる目印となるようにラインを入れた模様。
楽器を弾く人間にとってはプレイアビリティを高める好モディファイですが...
ストック状態を重んじるヴィンテージ愛好家の間では、万死に値する行ない (苦笑)
おかげで相場の四分の一ほどの価格で落札でき、ラッキーでした。
この辺りの事情も、ヴィンテージ・ギターとヴィンテージ・カー、似ているかも知れませんネ (^_^;
フレットレスにありがちな指板の削れも無く、コンディションは上々の様子。
水分の抜け切ったアルダー材の軽量ボディに、このややガッシリ目のフレットレス・ネックを搭載したら...最初の音を出す瞬間が楽しみでなりません。
木工と塗装はプロのリペアマンにお任せしますが、金属パーツの分解清掃とか電装系のライン引きとかは自分で出来るので、このGWは部屋に籠もっていそしんじゃおうかな。
老後の楽しみがまた一つ出来ました (笑)