さきほど、ようやく大阪より帰宅しました・・・。
 皆様、前回の拙ブログにコメント&イイね!、大変ありがとうございます m(_ _)m。
 本当は皆様へのレス&訪問こそ先にすべきなのは重々承知しておりますが、その前にこの記事を書き始めておかなければ、なかなかブログ継続の勢いがつきそうにないもので・・・・ご容赦のほど、何卒宜しくお願い申し上げます m(_ _)m。
 さて最近のわたくし、セミ・トレーリングアーム式サスペンションの研究を通じて脳のセミ・トレーニング(笑)をしているところです。昨日も、講義があまり退屈な時には・・・
 こんな感じで研究しておりました(苦笑)。
 
 さてセミ・トレーリングアーム式サスペンション(以下セミトレ)については、往年の日産車乗りやマークⅡ乗り、BMWマニアの方などであれば皆様勉強された事がおありになろうかとは思いますが、自分なりにおさらいと解釈をしていきたいと思います。
 なお、自分の解釈については素人ゆえ間違いも多々あるかもしれませんので、お気付きになられた方は是非仰って頂ければ・・・と思います。
 Ⅰ. セミトレの歴史的変遷
 これにつきましては、以前にみん友のyamada25tm 様がブログ
 
http://yamada25tm.exblog.jp/14723503/
 で詳細な解説をなされておられますが(その節は大変お世話になりました! 最近ご無沙汰しており申し訳ありません・・・)、その後自分なりに得た知見をいくつか追記したいと思います。
 皆様ご存じのごとく、FR車のセミトレ式リヤサスは1962年にBMW 1500 が、
 そして日本車では1967年にかのブル510 が採用して以来、マルチリンクサスの出現までのおよそ20年間にわたり、各種FR車のリヤ独立サス形式の「定番」となったものです。
 現代の視点からセミトレを悪しざまに罵る方もおられますが、BMW/ベンツ/ポルシェ(924/944)をはじめ、各国のFR車に長らく採用されたという事は、それだけ当時としては優れたサス形式だったといえるでしょう。
 さて、日産車に搭載されたセミトレは大まかに分類すると
 ① 510ブルから始まる第1世代(解説はyamada様ブログをご参照下さいませ)
 ② 810ブルから始まる、コイル/ダンパー同軸式に変化した第2世代
 ③ そしてZ31/S12 の、アーム後退角減少、コイル/ダンパー別置式に「回帰」 した第3世代
 となろうかと思います。
 われらが F31 のセミトレは、Z31 より年式は新しいものの、形態学的(アーム後退角約23度、コイル/ダンパー同軸式) には第2世代セミトレの最終進化形だといえると思います。
 
 ちなみに、世評のきわめて低い 810ブルですが、前述のように新世代セミトレの導入、マイチェンではクロスフロー・2プラグ・急速燃焼方式のZ型エンジン導入、さらには・・・
 導入したばかりのリヤサスにさえ、細かな改良がなされております。
 (CG誌78年3月号記事より抜粋)
 キャスターの立て方やデフマウント、またサスメンバー自体も変更されるなど(狙いはロールセンターの低下でしょうか・・・)、かなりの変わりようですね。
 しかもこの後まもなく、角目になる別のマイチェンが行われます(なぜ同時にやらないのか・・・・)。
 ・・・ということで 810ブル、日産の主力車種としてかなり真面目な技術的改良が繰り返された車なのだと名誉回復運動をしておきます♪。
 あと、この第2世代日産セミトレの源流について、前述のyamada 様のブログのコメントで当時の自分は「E21型BMW 3シリーズあたりでは?」 とミスリードしてしまいましたが・・・
 
 この本を読むと、どうやらもう少し前の世代、2500/2800シリーズや初代5シリーズがコイル/ダンパー同軸式セミトレの源のようですね。
 ところで、国産車では日産とマツダが BMW にならってか、コイル/ダンパー同軸式セミトレを採用していきましたが、他メーカーでは、例えば
 オペル・セネター、そして・・・
 同世代のトヨタ車の多くも、コイル/ダンパー別置式セミトレを選択していたようです。
 (これでようやく、先日快く撮影のご許可を頂きました時津さまの GX61 の足回り写真をブログに使うことができました♪ 。その節は大変ありがとうございました! )
 そしてBMWも、3シリーズでは・・・
 E21 ではコイル/ダンパー同軸式であったのが、
 (画像は海外サイトより拝借しました)
 E30 ではコイル/ダンパー別置式に「回帰」しています(なお上級車種の5/7シリーズについては、一貫してコイル/ダンパー同軸式が採用されていました)。
 コイル/ダンパー同軸式と別置式のどちらがよいのか、それぞれ一長一短があるのでしょうが、自分が今まで読んだ文献にもあまり詳しくは書かれていないので、あくまで自分なりの推測で書いてみます(間違っていたらご指摘下さい!)。
 コイル/ダンパー同軸式のメリットとして考えられるのは、
 ・ (とくに高さ方向で若干スペースは取られるものの)サスストロークを稼げ、乗り心地の
   向上に繋がる。
 ・ NVHの入力点がアッパーマウント部に集中する構造;そこを重点的に「押さえ」れば、
  NVH の改善・対策に結びつけやすい。
 (810 ブル登場時のCGインプレ記事より)
 
 これを読んでも、コイル/ダンパー同軸式のメリットは主に快適性の向上にありそうです。
 その他上記文献(巻末参考文献 3) )には、コイル/ダンパー同軸式のメリットとして、車体への入力を減少させることでブッシュ類への負荷を減らし、防振および操縦安定性への設計自由度を増すことができる、とあります。
 一方でコイル/ダンパー別置式の利点としては、コンパクトにまとめやすい(とくに高さ方向)→ トランクスペースの拡大、低床化、また車高を低くしやすい(=低重心化)、といったところかと思われます。
 三菱のシャリオ~グランディスが長年にわたりセミトレを採用し続けたのも、このあたりが理由だったように記憶しておりますし、セミトレの元祖&本家BMW のセミトレ最終車種において、コンパクトカーの3シリーズ(E30)がコイル/ダンパー別置式に「回帰」 した後も、中/高級車の5/7シリーズ(E32/E34) ではコイル/ダンパー同軸式を継続し続けたことを見ても、あながち大きく外れていないかとは思いますが、本当のところはどうなんでしょうか・・・。
 さて今後は引き続き、
 Ⅱ. セミトレの基本的な動きと長所・短所(=セミトレが淘汰された理由)の基本的おさらい
 Ⅲ. サスアーム(とくにピボット部)とメンバーブッシュ(マウントインシュレーター)、
    および(日産セミトレには関係ないですが)トーコントロールリンクについて
 Ⅳ. my F31 の大規模補修時に適用する「かもしれない」サスチューニング
 といったメニューで続けていく予定です。
 というか、これがボトルネックになって、これを書かないと他の記事に進めませんので・・・・
 それでは、続きをお楽しみに♪。