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今回は以前に公約した通り、S12 型シルビア/ガゼール(前期のみ存在) について考えてみたいと思います。
S12は現役当時、かなりの 「不人気車」 だったこともあり、これまであまり真面目に探究したことはありませんでした。
実際に乗った記憶も、大学の先輩の前期ハッチバック・ターボR-X の助手席に数回乗車したのみ。
カタログ写真より抜粋。
奥の赤いのがハッチバック・ターボR-X。先輩の車は白&黒のピンストライプ入りだったと記憶しております。
自分のおぼろげな印象としては、ターボエンジン・ハッチバック・リトラクタブルヘッドというスポーティーな成り立ちの割に、ボンネットや車高が高いのでなんだか不格好、そして非スポーティーな鉄ちんホイール、セダンのような2本スポークのステアリングホイールやグレー内装とあいまって「コンセプトの定まらない中途半端な車だなぁ」 というガッカリ感、しかしプレスドアのせいもあってか、当時の他の日産車よりボディ剛性感は高く、NVH も思ったより快適、走りも案外速いな~という意外性、といったものでしたが、当時は既に後継のS13 が大人気でしたから、いかんせん当時の自分にとっては、正直なところ何の興味も所有欲も湧きませんでした。
もういちど、さっきの前期 R-X のカタログ写真。
どう見てもこれが最下級グレードにしか思えませんが、実はこの下に R-L という、もっと安いグレードもあります。
「ジェラシーの視線を振り切って走れ」 とのキャッチコピーですが、日産自動車の意図を裏読みすれば、当時の「女子大生ホイホイカー」である他社のソアラやプレリュードに横に並ばれても、ジェラシーの視線を投げかけてはいけませんよ、無視して突っ走りなさい、という啓蒙活動ではないかと解釈されてしまいそうです(笑)。
さらに S12 のコンセプト的な混迷を象徴するのが、イメージリーダーである FJ20 搭載車。
派手なボンネットバルジやカラーリング、ステッカーなど、既に廃れつつあったアメリカン指向は、自分を含めた多くの人から 「スタイリッシュでない」 という評価を受けていたように思います・・・。
これはS12 前期全体にいえることですが、かなりラグジュアリー指向のコンセプトであり、装備も多彩、その分けっこう重いようです。
FJ20ET 搭載車でいえば、当時のR30 RSターボと比較すると、
・R30;WB 2615mm、全長4595mm、車重1175kg(2HT)
・S12;WB 2425mm、全長4430mm、車重1170kg(クーペ)
と、R30 よりひとまわり小さいのに車重はほぼ同じです。
オプション一覧表。カラーTV なんてのもありますが、どこに付けるんでしょうか??
そして CG 誌のテストでも、FJ20 搭載モデルよりむしろ CA18ET 搭載モデルの方がバランスが良いと高評価であったようです。
ただし、前述のようにアカ抜けしないデザインとコンセプトの迷い、また FJ20 搭載車がイメージリーダーとなったせいで、最多量販車であるべき中級グレードが目立たなくなってしまうなどの販売戦略のミスも重なり、S12 はあっという間に「不人気車」の仲間入りに・・・。
ちなみに S12/Z31 の開発主管は高木 一正氏ですが、心労が祟ったのか、ほどなく急逝されたのだそうです・・・。
そういえば、Z31 は短期間での細かい設計変更が多く、パーツの流用が効きにくい・・と、先日
このお車にお乗りの方から伺ったのですが、
マイチェンまでの3年足らずに、主管がこんなにも交代していたとは・・・
細かい仕様変更は、このあたりにも原因があったのかもしれません。。。
閑話休題。前述のようにS12 の販売は低迷し、テコ入れのため 1984年には
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ターボ R-L FISCO が投入されました。
(44love 様、探して参りました)
廉価版のターボ R-L をベースに、195/60 R15 タイヤ&アルミホイール、パワステなどが装備された仕様です。
しかしこれも、残念ながら販売上昇にはつながらず・・・
これは1986年1月の国内乗用車販売台数。
マイチェン前の受注調整の影響もあるとはいえ、シルビア/ガゼール合わせて 129台!!
販売末期の F30 レパード(152台)以下です。
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そこで 1986年2月には大規模マイチェンを敢行。
姉妹車ガゼールを廃止した後期型は、プレリュード・コンプレックスを感じさせつつもかなりシンプルな内外装となりましたが、トップグレードが FJ20ET → CA18DET と「格下げ」されたことなど、
http://motor.geocities.jp/agt80nissan/s12/s12-11.htm
にも書かれておりますように、パワーウォーズ吹き荒れる1980年代後半にあって、シロウト目にはスペックダウン=車格ダウンと感じさせてしまったのもマイナス要因であり、
雑誌などでの取り上げられ方も地味・・・(写真はCG '86-5号より)。
結局、最後まで人気を回復することのないまま後継の S13 に後を託すことになり、またこの S13 が爆発的にヒットしたことで、前モデルの S12 はますます影の薄い存在に・・・
そういう訳で、現存する個体も少なくなっているようです。
しかしS12、レトロスペクティブに見ると、かなり大きな可能性を秘めたハンドリングマシンだと思います。
①;Z31 とほぼ共通の、日産第3世代 (後退角18°) のセミトレサス。
S12と Z31 は、トヨタでいえばFRセリカとXX/スープラのような関係なのだと思います。
しかし同系統のリヤサスでも、Z31 に比べ車重が軽くパワー/トルクも低い S12 は、相対的にリヤサスの容量に「余裕」 があるかもしれません。セミトレの特性を生かすよううまくセッティングすれば、とくに峠/ドリフト用のマシンとしてはかなり有望だと思われます。
S12 のセミトレは、テールスクォートやジャッキング現象など、他の日産セミトレ車より少なそうに思えます。
勿論、S13 のマルチリンクに比べれば限界自体はやや低いかもしれませんが、セミトレの特徴であるファイナル・オーバーステア特性を生かせば、峠走りなどではかえって機敏に走れるかもしれません。
②;ボディ剛性
前述のようにFJ20ET搭載のターボRS-X は、例えば当時のR30 RSターボよりひとまわり小さいにもかかわらず、車重はほぼ同じです。
勿論、これは装備品の差(S12 の方が豪華)もありますが、 プレスドアの効果もあってか、R30 などより「ガッチリした」 感じがある筈です。
なおS12 にはクーペとハッチバックがあり、空力特性はハッチバックの方が良い(CD値;0.34と0.36)のですが、おそらくボディ剛性はクーペの方が上でしょう。
分かりやすくいえば、「首都高トラ●アル」派ならハッチバック、「頭●字D」派ならクーペを選ぶべきでしょうね。
③;エンジン。
S12最強のエンジンといえば FJ20ET でしょうが、R30 の項で述べたように FJ は「重い」 エンジンです。
もう一度おさらいまでに記載しますと、整備重量はCA18ET;130kg、CA18DET;141kg、FJ20E;160kg、FJ20ET(IC無);175kg とのことです。