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2023年04月20日

BSにまつわるエトセトラ その⑤;1970年代のBS RDシリーズについて(前編)


*この記事は、過去記事;
 https://minkara.carview.co.jp/userid/549571/blog/22655378/
 の続編となろうかと思います。



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 1970年代の国産ラジアルタイヤの進化は主に、①70タイヤの出現 ②スチールラジアルの普及、の2点が主だといってよいかと思います。そして70年代末に、③アドバン、ポテンザ等のスポーツタイヤ登場(*アスペック、レグノ等のコンフォートタイヤの展開は1980年以降) ④スーパーフィラー等の新技術の展開、などがみられ1980年代へと繋がっていく訳ですが、ここはRDシリーズの話ですので③は割愛いたします。




<1971-72年のうごき>

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 (「ブリヂストンタイヤ五十年史」より)

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 https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=4095&query=&class=&d=all&page=32
に記載されているように、1971年は ①1月に輸出用スチールラジアルタイヤとして「RD-170V」発売(1972年に国内販売開始。詳細後述) ②3月に「RD-101」「RD-201」「RD-301」を同時発売 ③7月に初の70シリーズラジアルタイヤ「RD-102 WIDE70」発売という、かなり目まぐるしい展開でした。


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 RD-170Vについては主に欧米市場で、ミシュラン等のスチールラジアルがその走行性能、耐摩耗性、耐パンク性などの利点から支持が広まってきたため、これに対応したものと思われます。特に当時のミシュランはZXやXAS〜XZXやXWXといった、今でもクラシックタイヤ界での流通が続く名作を次々と世に問い、一頭地を抜く勢いでしたからね・・・



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 RD-101とRD-201はどちらも扁平率82% のテキスタイルラジアルであり、なぜ作り分けを行ったのか現時点では調査不足でよく分りませんが、おそらくRD-101はチューブ対応製品と思われ、急速に進行したチューブレス化の波の中で比較的短命に終わった(1973年には終売か。1974年カタログには記載なし)ようです。



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 (画像は過去オク画像より拝借)

 なおRD-301はスノータイヤのようですので今回は割愛いたします。


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 (画像は1980年のタイヤカタログより)

 一方でRD-201は「ボクシンググリップ」と呼称される独特なトレッドパターンで有名であり、1970年代を通じBSラジアルタイヤのボトムレンジ商品として長期にわたり販売されることになります。以前のRD-10/11の欠点として「耐摩耗性」「ウエットグリップ」「硬い乗り心地」等がCGテストなどでは挙げられており、RD-101/201のブロックタイプのトレッドパターンは、おそらくウエットグリップなどの向上を狙ったものでしょう。



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 また以前の拙ブログに記した通り、ヨコハマは1969年、国産初の扁平率70 %タイヤである「G.T. スペシャル スーパーモデル70」を発売して好評を博し、BSはしばらくその後塵を拝していましたが、BSも2年近く遅れながら1971年7月に「RD-102 WIDE70」を発売、70タイヤ市場に参戦しました。

 ただしこのタイヤが「謎」であるのは、BS初の70タイヤ=(たぶん)高級タイヤとしての位置づけ、であるにもかかわらず、RD-200番台ではなく100番台なことです。
 当時のBSラジアルタイヤの番号付けは素人目によくわからないのですが、ざっくりした印象では「100番台=普及型、200番台=高級型」のようにみえますし、「ではRD-101の発展形・70バージョンとしてRD-102があるのかな?」と思いトレッドパターンを見ても、

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 全然違うパターンです・・・
 なんだかよく分かりませんが、ともあれこの「RD-102 WIDE70」、市場でも、また新車装着タイヤとしても一定の評価を得(例えば、当時セリカ1600GTV等に新車装着タイヤとして採用されているようです)、BSはヨコハマに追いついたように思われました・・・


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 追記;それでもまだまだ、とくにウエットグリップなどは十分な性能ではなかったようです(写真はCG 1976-1号、レオーネRXのテスト記事より)。




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 しかしながら敵もさるもの。ヨコハマは1972年6月頃に、国内メーカー初の一般乗用車用スチールラジアルチューブレスタイヤ「G.T.スペシャル・スチール」を市販、動的性能の高さや耐摩耗性、耐パンク性能の高さなどを謳い人気を得ることになります。
 その後のアドバンやアスペックを含め、少なくとも1980年代初めまではヨコハマが国産ラジアルタイヤの主導的地位であったといえるでしょう。



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 そこでBSは新型スチールラジアルタイヤの開発を加速させるとともに、ひとまず前述の輸出用スチールラジアルタイヤ「RD-170V」を急遽9月頃に国内販売開始し、当面これに対抗することになります。

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 (「ブリヂストンタイヤ五十年史」より引用)

 当時のBSの「日本国内には乗り心地その他からテキスタイルラジアルの方が向いている」との市場判断、および「170V」という飛び番号からしても、当初このタイヤを国内投入する予定はなかったものでしょう。
 ただしトレッドパターンなどからみてもやや古い設計年次のタイヤであり、当時スチールラジアルタイヤを好んだような若者・スポーティ派への訴求力はあまり高くなかったものと思われます(1976年頃終売)。





 2024年追記;たまたま読んだ1972年のCG誌で、240Zの標準装着タイヤとして「RD-150」という銘柄が存在することを知り検索したらeBayに出品あり。トレッドパターンは先に紹介したどのタイヤとも異なっています。まだまだ知らない事だらけですね・・・




<1973-74年のうごき>
 ここでは、①新型70・テキスタイルラジアルである「RD-105 WIDE70」の発売(73年初頭)、および前述のRD-170V の国内投入により当面の状況をしのぎつつ、②待望の新型スチールラジアルタイヤである「RD-202 STEEL WIDE70」(70タイプ。1973年後半発売)、および「RD-203 STEEL」(82タイプ。1974年初頭発売)をセールス、といううごきがみられました。


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 ①については当時のCG誌の製品紹介、およびカタログによると「リブ・パターンの採用によるロードノイズ低減」「サイプを数多く入れウェット時のブレーキ性能向上」「耐摩耗性の向上(RD-201比10~20%アップ)」等が謳われておりますが、裏を返せば既存製品においてロードノイズやウエットグリップ、耐摩耗性に対する満足度がまだ十分でなかったことが窺われます。なおRD-105はのちに扁平率82%のタイプも併売され、1980年頃終売となったようです。




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 そしてBSファン待望の②の発売。ちなみにこの「RD-202 STEEL WIDE70」というのが・・・



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 先日「何シテル?」に投稿したクイズの答えでございます(笑)。
 ♡ を連ねたようなトレッドパターンが特徴的ですね。


<追記&画像追加>




 この新商品紹介号と手持ちカタログから推測すると、RD-202は1973年7-8月頃、RD-203は1974年2月頃の発売であったと思われます。



 いずれにせよ、ようやくここで他社のスチールラジアルタイヤと同等の商品を提供できるようになり、懸案であった動的性能や耐摩耗性の改善を得られた・・・と思われたBSでしたが、スチールラジアルには別の欠点がありました。

 それが「重くて硬く、乗り心地がハードである」との評判です。特にあの当時、国産スポーティーカーに後付けラジアルタイヤを履かせるような御仁は、



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「スチールホイールより重いんじゃね?」といった、ごっつい社外アルミとの組み合わせが多かったですし、国産車の足回りも多くが固定軸やら板バネ、ラジアルタイヤに適合したコンプライアンスも取られていないサス設計で、ボディ剛性も低く、ダンパーも低性能・製造公差大、さらに道路舗装状況も今ほど良くない、といった時代なだけに、ドタドタガタガタな乗り味に不満が多かったものと予想されます。ここみんカラでも、

https://minkara.carview.co.jp/userid/1993078/car/1499826/profile.aspx

といった回顧談が検索されました。


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 追記;RD-203 についてはCG 1975-5号、GTOのテスト車に履いていた記事を見つけました。こちらも初期のスチールラジアル+基本が1970年登場の車という、スチールラジアルの装着を前提としていないサスセッティングの相乗効果によってか、相当に硬い乗り味であった模様です。





 さらに追記;当時の雑誌広告をみると、BSじしん・・・





 スチールラジアルは「NVHを若干犠牲にして」「耐摩耗性・耐パンク性」を主に追及したタイヤであり、また(世間で思われているほどの差はないけれども)テキスタイルラジアルよりはやや重い(=バネ下重量の増加によるドタドタした乗り心地になりやすい)ですよ、と正直に解説はしており、他社との競合の絡みもあって新商品を発売したものの、この欠点に関する問題意識は早期からもっていたことが窺われます。




<1975年;RD-108の誕生(7月)>

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 上記の不満の多くを軽量構造により改善させ、非常に長い生命を保った傑作タイヤ「RD-108 STEEL」についてはBS自身による解説;

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/history/story/06_02.html

をご参照下さい。本当に、あの当時の国産車の多くに標準装着タイヤとして履かせてありましたね・・・



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 ただし一方で70スチールラジアルについては1975~77年頃の短期間に、
・RD-106
・ドリーバード(RD-205?)
・そして「黄色いゴムがタイヤを変えた」として宣伝されるも、あまり売れずに数年間で終売となったマクシール

といった複数の製品が登場、既存のRD-202と併売されるなど、やや混沌とした状況が見うけられますが、これらについてはまだ発売年次や性格づけなどに関する調査が進んでいないので、ここらで話を一旦打ち切り、後日「後編」として発表させて頂きます m(_ _)m 。


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Posted at 2023/04/20 20:13:00

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