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2023年04月23日

BSにまつわるエトセトラ その⑤;1970年代のBS RDシリーズについて(後編)





 前回の拙ブログの後いろいろ調査を試み、1975~79年頃のBSラジアルタイヤの動向がおおよそ理解できたように思われますので筆を進めていきます。ただしまだ未調査の部分もあり、今後とも随時追記させて頂く予定です。



 <1975~76年のうごき>
 この時期は、①1975年初頭、RD-105に扁平率82%のタイプも併売開始 ②同年7月、前述のRD-108発売 ③同年10月頃、70スチールラジアル「RD-106」発売 ④1976年2月、RD-108をベースとするセルフシーリングタイヤ「マクシール(MAXEAL)」発売(当初は155SR12、165SR13の2種類からスタート~逐次拡大) ⑤同年5月頃にはマクシールに扁平率70%タイプ「RD-109」も発売、といった商品展開がみられました。


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( 1975年2月のカタログより引用)

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 https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=4095&query=&class=&d=all&page=37 より引用)


 このうち ①②のRD-105、RD-108については「前編」で解説したので詳細は割愛させて頂きます。


 <追記&写真追加>

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 (CG 1977-4号より引用)
 
 82タイプのRD-105については、当時のファミリアのテスト記事を見つけました。割と平凡・中庸な性格のタイヤであった模様です。




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 (CG 1975-12号より引用)

 ③の「RD-106」については、1975年10月頃発売=RD-108より後発商品でありトレッドパターンもRD-108に類似していますが、番号はなぜか若番です。
 材質やトレッドパターンはRD-108等の「新世代」、ただし構造面(2プライ?)などはまだ旧世代、といった過渡期的商品なのかもしれません。あくまで憶測ですが・・・
 ともあれこのRD-106、RD-100シリーズ=スタンダードラジアルの系譜として当時、複数の国産車の標準装着タイヤとなったようですが、


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 (CG 1976-2号より引用)

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 (CG 1977-4号より引用)


 コスモやローレル2800といった重量級・新世代の足回りをもつツーリングカーとの相性はなかなか良かったようです。


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 (CG 1976-8号より引用)

 ただしΣのようなミドルクラス4ドアセダンとのマッチングは、やはりトレッド面の硬さが災いして今いちであったように思われます。



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 (当時の広告記事より引用)


 また先発の70スチールラジアルであるRD-202との価格差もほとんどなかったようで、いまひとつRD-202との「棲み分け」がはっきりしないように思われ、BSの70スチールラジアルはまだまだ試行錯誤の状態であったものと窺われます。



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 (https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=4095&query=&class=&d=all&page=38 より引用)

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 (CG 1976-5号より引用)


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 (CG 1976-7号より引用)


 ④のパンクシーリングタイヤ「マクシール」については、まず1976年2月に82タイプが先発(トレッドパターンはRD-108と同一との事で、シール材の塗布以外の技術的特徴は同様のものであったと思われます)→ 数か月後に70タイプが後発(こちらは「RD-109」の新番号が付与され、トレッドパターンもRD-106 他の既存タイヤと全く異なっており、これもまた、BSが70スチールラジアルの技術的確立のため様々な試みを行っていた証拠といえるかもしれません)されました。



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 ただし、パンクシーリングタイヤ自体はBFグッドリッチのパテントらしく、また国内販売も「またしても」ヨコハマに先行され(ヨコハマは戦前から1981年までグッドリッチと業務提携関係にあり、その流れで導入が先行したものでしょう。なおヨコハマ「シーレックス」の発売は1975年5月頃)、その後を追いかける展開となり、その後、



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 (CG 1976-8号より引用) 

  

 CMその他の広告展開も行われますが、
   https://www.bridgestone.co.jp/corporate/history/story/06_03.html
にもある通り「予想に反して販売が大きく伸びることはなく、『MAXEAL』の生産は2商品のみで終了することとなりました」(1980年のカタログには未掲載であり、1979年頃終売となった模様)。



 <1977~79年のうごき>
 この時期の新規商品は、①またまた新規70スチールラジアルの「ドリーバード(DOLLY BIRD)」(まだ正確な調査が済んではおりませんがおそらく1976-77年発売) ②そして1978年11月、有名な「スーパーフィラー」構造の新商品「RD-207」の誕生~ラインナップの拡充 ③1979年の「ポテンザRE-47」となりますが、③については今回割愛させて頂きます。



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 (*当初掲載写真とさしかえ。19774月の総合カタログより)


 ①については1976年前半までの資料には出現せず、1977年4月のカタログ掲載の時点で順次販売サイズを拡大中のようであり、おそらく1977年初めの発売で間違いないでしょう また1977年のCG誌をチェックしても新商品紹介記事が見当たらないため、現時点では1976年後半の販売開始と推測しております。デザインについては、これまた今までにない「バードウイング型」トレッドパターンであり、ホワイトレター(後にブラックタイヤも併売)も含め高級志向・静粛性や乗り心地志向のタイヤのようで、後年の「レグノ」の前身のような位置づけのタイヤと思われます。ただし前述のようにBSが70スチールラジアルタイヤの技術を「モノにする」過渡期にあるタイヤであり、メーカー自身あまり多くの拡販広告を行わなかった事もあってか、それほど大きな評判を得ることはなかった模様です・・・



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 そして②=1978年11月にデビューしたRD-207。これが「70」スチールラジアルであった事、宣伝文句が「あのラジアルが乗り心地までものにした。」である事からも分かる通り、「(BSの)70スチールラジアルは硬く重く乗り心地が悪い」「ウエットグリップも今いち」といった評価に対するブレイクスルーを目指し、そしてそれにかなりの成功を収めた記念碑的タイヤであると言えますでしょう。

 スーパーフィラーラジアルの当時談については、みんカラでも徳小寺 無恒さまが、
 https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/8825524/
で既におまとめになっておられますが、






 当時BSは大規模な広告宣伝活動を行い商品アピールに努めました。


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 そういえばわたしも自分のBS・モンテカルロ自転車に、当時こんなマッドフラップを付けていましたね・・・



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 (https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=4095&query=&class=&d=all&page=42 より引用)



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 (1980年1月総合カタログより引用)

 
 SFシリーズについてはその後、82テキスタイルラジアルの「RD-115」(発売時期未調査)→ 「アクアコンパウンド」による、さらなるウエットグリップ向上をはかった82スチールラジアルの「RD-208」(1979年4月発売)→ アクアコンパウンド技術を70スチールラジアルにも導入した「RD-209」(1980年初頭発売)、と続いていくこととなります。またトレッドパターンについても徐々に、1980年代的・直線的なパターンが出現しはじめている点にご注目下さい。


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 一方で、それと引き換えにRD-202/203やマクシールといった先行スチールラジアル群は、より先発のRD-201やRD-102 WIDE70 より早く終売(カタログ落ち)となった模様です。次いでRD-105などもおそらく、そう日をおかずドロップしたものと思われます。
 なおRD-201やRD-102 WIDE70 がその後もしばらく生き残ったのは、減価償却の終わった廉価版としての価格面でのメリットや、チューブタイヤ対応の絡みもあったものでしょう。



 以上、1970年代のBS RDシリーズ 乗用車用一般ラジアルタイヤについてまとめてみました。1970年代のBSラジアルタイヤは、テキスタイル→スチールへの流れもあってかなり試行錯誤のあとがみられ、特に乗り心地やウエットグリップの改善には苦労した模様であること、また商品開発的に先行するヨコハマに追いつき・追いこすための努力に傾注していたこと、その中でもRD-108と「スーパーフィラー」シリーズは、その後に繋がる大きなブレイクスルーであったものと考えられました。


 ・・・どなたかお暇な方、1980年代のBSラジアルタイヤについて続きをまとめてみませんか?(笑)。ではでは。


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Posted at 2023/04/26 19:35:50

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