2017年10月18日
フィエスタも購入後3年経過したが、いまだ15,000kmに到達していない。とはいえ、概ねクルマとしての素性は分かったので、その印象を何回かに分けて書いてみる。
前から考えてはいたのだが、タイミングを逸してしまっていた。その間、フォードの日本撤退もあったし、本国では新型も出た。今さら無意味では?と躊躇もしたが、偶然の巡り会わせでたまたま購入したフィエスタという、日本では超マイナーなクルマが、フォード撤退によりさらに稀少な車になった、その数奇な運命を残念に思うよりも、なかなか経験できない状況として楽しんで、その稀少車がどのような車だったのかとメモすることも悪くないなと思い直した。
3年間乗ってみて、フィエスタ(Mk VII)の特徴を一言で表現するとすれば、「Vivid」だ。変に横文字使うのは嫌いなのだが、快活とか生き生きとしたという表現よりもぴったりくる。AUTOCARで絶賛されてきたのも必然と言える。
まず第一にエンジンだ。
2012年~2014年インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー3年連続受賞は伊達ではなく、試乗した時には、3気筒1リッターエンジンとはにわかには信じられないほどの加速力とレスポンスに衝撃を受けた。日頃運転して慣れてきても、その印象は大きくは変わらない。
フォードジャパンのホームページが残っていたので、そこからスペックを引用する。
<サイズ等>
全長 [mm] 3,995
全幅 [mm] 1,720
全高 [mm] 1,475
ホイールベース [mm] 2,490
トレッド(前) [mm] 1,470
トレッド(後) [mm] 1,460
最低地上高 [mm] 165
車両重量 [kg] 1,160
乗車定員 [名] 5
最小回転半径 [m] 5
燃料消費率[km/l]※ 17.7(JC08モード)
<エンジン>
FIESTA 1.0 EcoBoost
種類 直列3気筒ターボ
型式 SFJ
内径×行程 [mm] 71.9×81.9
総排気量 [cc] 997
最高出力 [kW (ps)/rpm] 74[100]/6,000
最大トルク [N・m (kg-m)/rpm] 170[17.3]/1,400-4,000
燃料供給装置 電子制御フューエルインジェクション
燃料 無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量 [l] 42
1,160kgの車重に対して100馬力/17.3 kg-mなので、普通のコンパクトカーとしては十分以上のパワーだ。(昔のシティターボくらいかと思ったら、あっちは700kg台ともっと軽かった。)1400回転から最大トルクが出るわけで、6速のDCTであることも相まって街中での加速力はこのクラスからすると想定の3~5割増しの印象だ。
DCTなので出だしは強力ではないが、走り出してからの加速は鮮烈で、運転に不慣れなドライバーも乗るファミリーカーとしては速過ぎるのでは?とまで思ったものだ。
レスポンスは非常に良いし、1リッターとは思えないスピード感で軽快に変速、加速する。車体が軽い分、日常的な出足ではウチにあるE46 330(直列6気筒3リッターNA 231馬力)をもしのぐ。3気筒のデメリットも特に感じない。アイドリング時には3気筒なりの振動が発生するが、それも「ルルルッ♪」と可愛いものだ。
ただし、100馬力なので絶対的なパワーがあるわけではない。いざフル加速した場合には特に速くもなく、0-100kmでは10秒超となるようだ。だが、セッティングが絶妙なのだ。限られたリソースの中で、極めて活発な走りができるようにパーツを組み合わせ、設定をすることで、本当に胸のすく走りを実現している。開発拠点がイギリスであることも影響しているのかもしれない。イギリス人ユーザーがこうした車に分かり易い活発さを求めているのが、フィエスタを運転していると良く分かる。
技術的なことはよく分からないが、いわゆる直噴ターボで中低速域でトルクが出ているうえに、スロットルは結構早開きの設定になっていると思う。それをDCTのダイレクト感が後押しする感じで、アクセル開度が小さい段階からグイグイ加速する感覚につながっている。クルマ全体でのまとまりがいいため、運転に慣れていさえすれば飛び出し感もなく、とても自然にキビキビ走らせることができる。日本のメーカーのモデルもスロットルは早開きとは聞くが、典型的な日本車のセッティングだと、全体としてはこういうまとまり具合にはならないだろう。
STでもないノーマルモデルでこれなのだから、イギリス、ドイツなどの欧州では、足となる実用車についても、要求水準が相当高いのだろうと思う。燃費が良いだけでは駄目で、快活に気持ちよく走れて、日常ユースで街中から高速まで十分な性能を有していること、そして運転に面白みがあることが求められているのだろう。こうしたニーズにしっかりと応えられるクルマだからこそ、欧州でのベストセラーモデルになっているのだと思う。
最近のクルマでは、省燃費性能や安全装備などが重視されるのだろうし、そこに自動運転機能の話まで加わるようになった。それぞれの重要性は認めるとしても、ウン十年来のドライバーとして言いたいのは、運転して面白いクルマでなければ乗りたくないということだ。完全自動運転が実現したら、クルマなんて家電と一緒で、何でもいい。まだ自分で運転しなければならないのだから、運転が面白いクルマを操りたい。
このクラスのあらゆる車種に乗っているわけではないので断言はできないが、特別なスポーツモデルとかを除けば、普通のBセグメントのノーマルモデルとしては、フィエスタは面白いクルマの筆頭だろうと思う。
このエンジンについての不満を敢えて挙げるとするとは、吹け上がりとそのフィーリング、そして燃費だ。
4500~5000回転からレッドゾーンまでは一応回るが、パワーは頭打ちで気持ち良く回るわけではない。小排気量で出力大きめなので、高回転までヒュンヒュン回ることを期待してしまうとがっかりする。効率重視のダウンサイジングターボと割り切って、DCTの変速に従ってパワーバンドの1400~4000回転でシフトアップしていく方が良いようだ。
そして、3気筒ながら決して悪くない、むしろ出来の悪い4気筒よりも良いと思うのだが、普段乗ってるBMWのM54エンジンと比較してしまうと、回転フィーリング自体を楽しむエンジンではないとは思う。アクセルを操作による伸びやかな加速とレスポンスはとても楽しいのだが、エンジン単体の音振が取り立てて魅力的ということはない。これは比較対象が悪すぎるのかもしれない。
キビキビ、スイスイという志向性のクルマなので、そうした運転になってしまう。この車で省燃費運転に徹するのも少々苦痛を伴う。結果として燃費はさほど良くならない。細心の注意を払ってエコカーに近い運転をすれば、遠出では20km/Lを超えると思うが、節約できるガソリン代と運転の楽しさを天秤にかければ省燃費運転に意味は見いだせない。
エンジンの組成と制約を考えれば、不満というほどのものではなく、もともとが無理な願望が充たされないだけということだ。
ということで、多分、続く。
Posted at 2017/10/18 21:51:08 |
トラックバック(0) |
フィエスタ | クルマ
2017年08月09日
新しい5シリーズのツーリングも出たことだし、ちょいと見てみようかと、営業攻勢がかからないとある場所に行ってみた。
展示車のG31ツーリングを見ても、外観も内装もは大きな違いは感じなかった。後席の足もとが少し広くなったことと、荷室の左右の張り出しが小さくなったことに気が付いたことくらいで、特に欲しいとは思わなかった。その他は目新しいモデルもなく、試乗に出ることに。
やはり4気筒やディーゼルのモデルは興味が湧かないので、340で試乗したB58がその他のモデルに積まれてどうなったかを確認しようと選んだのが540i MスポーツとM140i。
まずは、セダンの540i Mスポーツに乗る。乗って走り出すまで、自分のF11と比べても何の違和感なくこんなものかという感じだったが、路上に出てアクセルを開けて赤信号で停止するまでの50m位で自然と出た言葉は、「こ、これはイイ!」
実は同乗していたのは、時間とスタッフの関係でMINIの担当の方だったのだが、申し訳ないがクロスオーバーのPHVやMINI Cooper Sと比較すると、段違いにイイという感想を伝えることになってしまった。
まずランフラットのMスポーツだったが、堅いと思う場面はなく、しっとりと落ち着きのある乗り心地であることに感心した。B58エンジンの優れた過渡特性に加えて、F10 535に比べると60Kgほど軽量になっていることにより、踏み始めから十分な加速感が得られることに感銘を受けた。
自分の乗るF11だとボディ重量に対して、低回転時にはトルク不足の印象があるのは否めず、330のように自在に加速して停まるという感覚が持てないのだが、試乗車では大柄なG30であるにも関わらず、その自在感を十分に実感できた。340では過剰と思えたパワーが540では余裕として、うまくバランスされている気がした。
軽量化されているからと言って、軽々しい乗り味になっているわけではなく、重厚感を伴いつつも、意のままに操れると思える操舵性も兼ね備えている。試乗コースが広い道路だったので、車の大きさを感じる場面もなかった。日本に導入される540ツーリングはX DriveのみでAWDとなるが、運転感覚がFRと比較してどうかと言う点は気にかかる。
ツーリングの乗り味が基本的に同様ならば、これ一台で全てがまかなえる万能車になると思う。低速で走っても楽しく、長距離も安定して安楽、ペースを上げてもしっかりと答えてくれる。そんな印象だった。まあ、実際のところは所有してある程度走ってみなければ分からないことではあるが、330に試乗した時以来の納得感があった。F10の試乗の時には乗り心地には感動したが、528も535もエンジンについては特に感激した記憶はなかった。B58はターボエンジンではあるが、エンジン音、排気音も心地よく、パワーの出方、回転感など全てが好印象で、BMWの歴代の6気筒エンジンの中でもかなり良い出来ではないだろうか。それにNAでなければとこだわる必要も感じなかった。
ということでG30 540i Mスポーツは、あくまで短距離の試乗の結論としては、全てにわたって申し分がないということになった。
G30だけで長くなってしまったので、もう一台のM140iは手短に。
こちらも同じエンジンだけに、エンジンフィーリングの基本は同じだ。ただし、本格的ではないにしろ「M」が付いている分、音もチューンされて、音量や音質的に聴かせるものとなっているようで、よりスポーティなフィーリングとなっている。
相対的には小さく軽いボディに同じ出力のB58エンジンを積んでいるので、過剰なパワーではあるのだが、セッティングの妙か、それほど飛ばさなくても気持ちよく走れるクルマとなっていた。もちろん緊急事態でトイレに急ぐ時なども期待以上に活躍してくれるだろう。
540だと同乗者を乗せて快適に走るのがしっくりくる使い方だろうが、M140は一人で運転を楽しむためのクルマという気がする。が、乗員4人でも問題なく使えるので実用性も高く、ファミリーカーにもなりうる。単純に運転して楽しいのはM140の方だと思う。
V90であれば間違いなく540だが、E400だとどうだろうか?Eクラスに直6が載る予定とも聞くし。A6にはここまでの動的質感は感じなかったし、モデル末期だし。それにしても3リッターの直6モデルの5シリーズとしては高くなったものだ。そこが最大のネック。
MINIクロスオーバーのPHVもいいと思ったのだが、M140に乗ってしまったら吹き飛んでしまった。このクラスから選ぶのであれば、このモデルがある以上、予算以外の点で、M140を選ばない選択肢はないな、というのが正直なところだ。
540とM140の両方を買うことはできないが、どちらか1台は欲しい。今乗ってる3台をどうするかを考えつつ、2、3年の間に決めたいとは思う。普通のガソリン車としては最後になるだろう。
ところで、M140っていつまで売ってるんだろうか?
Posted at 2017/08/09 23:08:43 |
トラックバック(0) |
BMW | クルマ
2017年06月11日
528ツーリングもいつの間にか3万kmを超え、久しぶりに気になるクルマの試乗に出かけた。気になっていたのはVOLVO V90。XC90を見て、デザインや内装の良さに惹かれ、ワゴン版が出たら相当良さそうだと期待していたからだ。
ディーラーでは、S90とV90クロスカントリーの展示車があり、やはりV90の内外装のデザインはかなり自分の好みとマッチするなあ、とひとしきり見たところで、試乗に出た。モデルはV90 T6 AWDInscription。ボディは内装は明るいベージュのレザーとウッドで印象はとても良い。走り出してみると、320ps 40.8kgmの十分なパワーや、ボディサイズから来るゆったりとした走りは感じるのだが、正直なところ、デザインほどには、乗ってみてこれは良い!という気持ちにはならなかった。
短時間の試乗だったが、気になった点が3つあった。まず、20インチのホイールに組み合わされるロープロファイルタイヤのせいか、路面の凹凸をコツコツと結構ダイレクトに乗員に伝えてくる。後で、空気圧が高めに設定されていることも原因かもしれないと説明を受けたが、内外装のデザインやVOLVOのイメージから期待するような乗り心地ではなかった。
ある程度アクセルを踏み込んで加速をしていった時の加速のムラも気になった。2000ccとボディサイズに対しては小排気量のエンジンに、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせているためか、踏み込み初期のパワーが物足りないと思う。それと、ピークパワーは十分過ぎるほどとは感じるが、そこに至るまでの加速の途上で段付きやターボラグらしきものが感じ取れて、思う通りにパワーを引き出すことが難しそうで、ボディとパワープラントのマッチングが今一つのように思った。
そして、試乗車はAWDとはいえ、FFベースで2,940mmのホイールベースのクルマのため、普段乗っている330や528に比較して、ゆっくり目のコーナーリングでもアンダーステアの傾向が顕著で、同じ感覚でステアリングを切ると、想定していたよりも大回りになってしまった。デザイン的にはFRのプロポーションに近くなったとのことだが、操舵感覚は明確な違いが残る。AUDI A6 ARQではそれほど感じなかったのだが。
初期モデルなので、今後、年を追うごとに改良はされていくのだろうが、現時点では、走りの印象は、レスパワーであってもE200の方が良かった。どちらにしても、今乗ってる528ツーリング(F11)から乗り換えたいかと考えると、躊躇することなく「全くそういう気にならない」という結論になる。自動運転機能などのおせっかい機能は要らないし、本質的な乗り味の点では、むしろFRと自然吸気の直列6気筒の組合せによる自然さと密度感の方がいまだ魅力的だ。
E400、新5シリーズ(G30/G31)の540あたりなら不満は出ないかも知れないが、過去のV8モデル並みの価格帯となった6気筒モデルには、自分の価値観は追いつかない。やはり、528は当面そのままで、他の2台を1台にする方向で考えようか。
Posted at 2017/06/11 22:20:11 |
トラックバック(0) |
その他 | クルマ
2017年05月26日
Prokofiev Piano Concerto No 2
Yuja Wang
Berlin Philharmonic
Paavo Järvi
あまりに凄いパフォーマンスで、総身の毛が逆立った。鳥肌で風邪引くかというくらいに...
第1楽章のカデンツァから再びオケが入るあたり(6:00-11:00頃)がこの曲のクライマックスで、張りつめた緊張感の中、一音一音が真剣勝負で、瞬き、呼吸する隙すら無いと思えるほど。
この若さにしてヴィルトゥオーソの呼称がふさわしいとは!
もうアルゲリッチの全盛期すら超えてるんじゃないだろうか?
ベルリンフィルもパーヴォ・ヤルヴィ もいい仕事してるし、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番の演奏としてはベストでしょう。(他の名演を知り尽くしているわけではないので、独断です。)
ところでプロコフィエフはこの協奏曲第2番を22歳頃に作曲したとか。何たる天才。
しかも1913年の作なのに、全く時代を感じさせない。
ネット配信してるベルリンフィルの動画だからいずれ消されるかもしれない。大元の動画はこちら。
Posted at 2017/06/01 00:25:06 |
トラックバック(0) | 日記
2017年04月28日
2017年4月、なんとか 170,000km到達。
人生初、そして今後も、ここまで乗るクルマは330が最後となる予感。
180,000kmは堅いだろうが、200,000kmは行けるだろうか?
いやいや、ここまで来たのだから意地でも乗ってやろうか、心は揺れる。
写真はと高速で助手席のカミさんがスマホにて撮影
Posted at 2017/04/28 18:47:40 |
トラックバック(0) | 日記