稀代のスター 田村正和さんがご逝去されて49日がすぎました。
小学生の頃に見た『円月殺法』を駆使した『眠狂四郎』がワタシのファースト田村さんかと思います。
シリアス、コメディ、ラブストーリー、幅広いジャンルのドラマに数多く出演され、トドメは『古畑任三郎』であることは皆さんにもご同意かと思います。
『眠狂四郎』『古畑任三郎』名前に共通項がありますね。三谷幸喜の仕業ですかね。俳優の時任三郎さんが「とき・にんざぶろう」って誤読されるんです、をヒントにしたという説も。
倒叙形式の刑事コロンボをリスペクトしていて、犯行トリックも近しいものがある。古畑任三郎はかなり気が短く、子供っぽい面もあり、コロンボの様に図々しい。オープニングの謎トーク、美しいタイトルバック、本間勇輔さんの音楽・劇伴もお馴染みですね。
「容疑者はほぼ現場近くにいて」(呼び出されて)鑑識結果は1時間もかからず現場に届き、解決は「事件発生後 数時間」(現場に遭遇している事多々あり)で逮捕状はなく自白を引き出して解決するので、容疑者の家宅捜査、尾行も張り込みも特になく、「27話 黒岩博士の恐怖」以外では死体検案もなし。
さて。
苦渋の決断ながら、全43話(スペシャル・古畑中学生含む)この大好きな中から、ワタシ的ベスト10を考えました。(笑)
10位 動く死体/堺正章 2話
田村さんは刑事役を固辞していたが、この脚本を読んでOKを出した記念作。脚本は第一作目ながら放映は2回目になり、初回放映はアイドル中森明菜さんの「1話 死者からの伝言」。犯人が古畑に誘導されて自滅していくベーシックパターン。
9位 殺しのファックス/笑福亭鶴瓶 4話
トリックには無理がありつつも、終始コメディ調でクスクスと笑える刑事ドラマになってます。伝聞だけで解決するアームチェア・ディテクティブ・パターン。鶴瓶さんのコミカルさが堪能できます。
8位 しゃべりすぎた男/明石家さんま 14話
敏腕弁護士なのにさんちゃんキャラクターが全開の軽快な秀作。いわゆる法廷物の面白さが詰まった回で、口八丁のやりこめ合戦が面白い。今泉慎太郎キャラが弾けまくります。
7位 忙しすぎる殺人者/真田広之 29話
アリバイ作りが「しゃべりすぎた男」に近いが、アリバイ崩しが奇想天外。オープニングのセリフは「テレビを見ながら食事をする人、いらっしゃいますよね。お風呂の中で雑誌を読む方、いらっしゃいますよね。ただ、私からのお願いです。人を殺す時くらいは、どうか殺人に集中してください」
6位 さよなら、DJ/桃井かおり 11話
桃井さんの全力演技が楽しめる傑作。アリバイを強調したいがために自爆するパターン。犯行の際に「痛い?」と切ない表情をする桃井さんは最高。伝説の「赤い洗面器の男の話」が初登場。全編にオールディーズ音楽が使われていてドラマのノリを良くしてます。
5位 すべて閣下の仕業/九代目 松本幸四郎 39話
2時間スペシャル第5弾。シリーズ最も地位の高い犯人。田村さんと松本さんの演技合戦ですね、濃密な内容でスペシャルにふさわしい。いかにも南米のエキゾチックな雰囲気を醸し出し、あっというオチがあります。津川雅彦さんが「32話 古い友人に会う」に続けて出演されてます。
4位 間違われた男/風間杜夫 22話
このギャグセンスは三谷幸喜さんならではでしょうね。とにかく腹がよじれそうな笑いが満載で、風間さんのシーンを切り取るとコントの様な場面が多い。古畑は怪しい人物に対して「逆トリック」を仕掛けていきます。これとキムタクの「17話 赤か、青か」は残念ながら著作権の関係でネットでは観れませんね。
3位 笑うカンガルー/陣内孝則 13話
2時間スペシャル第1弾。全編オーストラリア・ロケ。陣内さんの空回り具合が可哀想すぎて同情してしまう。田口浩正さんの迷演技が素晴らしい作品。刑事コロンボへの三谷幸喜さんのリスペクトぶりが伺えますし、これも古畑が「逆トリック」を仕掛けます。
海外ロケは「23話 ニューヨークでの出来事」とこの2作。らしい。
2位 殺人特急/鹿賀丈史 8話
特急列車という動く閉鎖空間で事件を解決していく。目撃者が捜査を混乱させるテクニックが秀悦で、伏線を張りまくって一気に解決していく様は流石。「酢豚弁当」に執着する古畑には爆笑ですね。三谷幸喜ものは舞台出身の方が多く出られて惹きつけますね。「33話 絶対音感殺人事件」の市村正親さんも流石です。
1位 雲の中の死/玉置浩二 36話
こちらも国際線の飛行機という動く閉鎖空間。今度は目撃者と戦う犯人という設定。古畑が脇役に回り、部下の西園寺と玉置さんが主役と言ってもいい作品で、全編コミカルタッチでドタバタ喜劇になっています。トワイライトゾーンのグレムリン(飛行機の羽にいる怪物)、アガサ・クリスティのタイトル「雲の中の死」をちゃっかり引用してます。
古畑は航空機内に居るものの、動かずに伝聞だけで推理するアームチェア・ディテクティブ・パターン。
本作のほか「4話 殺しのファックス」があり、語り手の回想だけで推理する「23話 ニューヨークでの出来事」なども有名。
八嶋智人さんが演じる準レギュラー・花田が縦横無尽に推理に加わっくるのがミソですよね。「27話 黒岩博士の恐怖」ファミレス店員「31話 古畑、歯医者へ行く」喫茶店員「33話 絶対音感殺人事件」バー店員「36話 雲の中の死」航空機パーサー「39話 すべて閣下の仕業]大使館員。
別役でのキャスト起用することは稀ですが、
松金よね子さんは「16話 ゲームの達人」家政婦「42話 ラスト・ダンス」秘書として重要な役で出られてます。
梶原 善さんは「8話 殺人特急」車掌「12話 最後のあいさつ」ホテル支配人「26話 古畑任三郎vsSMAP」弁当屋の配達。野仲イサオさんは「22話 間違われた男」タクシー運転手「26話 古畑任三郎vsSMAP」舞台監督「28話 若旦那の犯罪」舞台監督「33話 絶対音感殺人事件」レコーディングエンジニアで出られてます。
三谷幸喜の脚本はアテ書き(犯人役を想定して書かれた)と言われ、都合がつかなかった方々は、三上博史、勝新太郎、志村けん、渥美清、伊丹十三、小林薫、宮本信子さん等。もし出演が叶っていたら・・・観たかったですね。
さぁ、古畑どうでしょう?
Posted at 2021/05/22 13:38:39 | |
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