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イイね!
2009年11月01日

ハイブリッドカーと直噴ガソリンエンジン

プリウスの発売に関しては、私はトヨペット店勤務でしたし、2代目プリウスが発売になる直前に退職してしまったので、直接身近に2代目以降を見るということはありませんでした。ただ、直噴ガソリンエンジンに関しては、その発端から周囲に与え影響と、それに振り回された周辺の状況や人間模様を見ています。

そういう立場のものからすると、ハイブリッドも直噴ガソリンエンジンと似たような経過を辿っているような気はします。ただ、世の風潮としてハイブリッドマンセーは未だに神通力が衰えていないようなので、傍観者としてそれを眺めている、というところでしょうか。

直噴ガソリンエンジンの発表は突如三菱からなされました。今から見ても勇み足かと思うタイミングでの発表です。

今までは「空気とガソリンの混合気」をシリンダーの中に入れて「圧縮→着火→燃焼→膨張」という工程を踏みますが、直噴ガソリンの場合は「空気のみ」を入れます。究極的にはこれが従来のガソリン車との違いです。ではこの空気だけを入れることで何をしたかったのか?

世間的には「成層燃焼」といわれる「ものすごくケチった、ホンのちょっとのガソリン(空燃費50:1)で燃焼状態を成立させる」から燃費が良い、となるのですが、実は成層燃焼が成立する条件はものすごく狭いので、実際の走行状態で成層燃焼の状態で走っている事などほとんどありません。

直噴のミソは、必要な燃料だけを「直接シリンダー内に噴射する」というところです。

ここでのキーワードは「ポンピングロス」。

ストローでコップの中の水を吸うときに1本で吸うよりも2本で吸う方が簡単にジュースが飲めますよね。これと同じで、従来のエンジンはあくまでも「混合気」で吸入していたので、ガソリンの量を調整するためにはストローの太さを調整するしかなかった訳です。
このため、「隣のシリンダーで得た燃焼によるエネルギーを、細いストローで一生懸命ジュース(燃料)を吸うためのエネルギーとして、さっそく使いまわしている」という事になるわけです。
これが、直噴ガソリンの場合は「吸い込むのは空気だけ」なので思いっきりバルブを開放して吸いたいだけ吸わしてあげて、後で必要な分だけガソリンを噴射してやれば良い、というシステムなんですね。「だから燃費が良い」となるわけです。

ただ、このシステムを成立させる為にはなかなか難儀なことが多いのです。

薄いガソリンであってもきちんと燃やす為にはガソリンの微粒子化が必須なのですが、粘度の低いガソリンは中々細かい霧になってくれません。このため、従来のインジェクターでは対応しきれないので超高圧のインジェクター(150気圧とかいったかな?)を使うとか、ガソリンの燃え広がりを良くする為にピストンの頭頂部にスプーンでえぐったような形状の穴を設けたり(左右対称形状ではないのでピストンの重量バランスがくずれる)とか。
はたまた、空気の量に対して燃料が少なすぎるので、かえってNOx排出量が増えるとか、酸素の量が多すぎて三元触媒がうまく働かなくなるとかのデメリットもあったりして。
まあこれらが分かっていたこともあり各社とも基礎技術を積み上げていた所だったようですが、いきなり三菱君の勇み足で引きずり込まれるように市場投入せざるを得なくなってきたという裏事情が当時はあったんですね。

ただ、当時の販売現場では大変でしたよ。

トヨタは何やってんだとかね。そのうち出す予定はあるのかとか。直噴とは何ぞやみたいな事を聞かれても答えられるセールスは居ないし。いくら説明しても理解できないし。もちろんメカニックも知らない(彼らはイジルだけだから)。

そのうち、当時のコロナプレミオで、特別仕様車(?)として確か300万円位したような気もするんだけど、「D-4バージョン」なる物を出してきましたね。恐らくそのくらいにしておかないと開発コストが回収しきれないと踏んだんでしょう。
エンジンが変わっただけではお客さんが納得しないだろうと思ったのか、何故かコロナプレミオで「本革シート」になっていました。まあ、世間的には革シートといえば高級車の代名詞的なアイテムではありますが、凝ったつくりの布シートと比べれば恐らくさして製造コストは変わりません。これで何とかノーマル車との見た目の価格差を埋めようと思ったのでしょう。ホンダなんかはよくこの手を使いますよね。ラグレイトとかさ。

ただ、これが出たおかげで技術オタクみたいな人もお店にやってくるようになって。
「三菱の直噴とトヨタの直噴は技術的にどう違うのか?」なんて聞かれても知りませんて。中には、私の高校時代の地学担当の先生もいらしてました。まあ、完全に偶然なんですが。



ただ、もう、直噴エンジンは技術的な主流からはちょっと外れた感が強いですね。それだけで主役を張れるタマではなかったというか。
それよりも「直噴エンジン」が残した技術的遺産が各方面に生かされている感が強いかな。今時のディーゼルエンジンは確実にその技術が生きていますし、i-stopなどもその遺産は使われているようですし。

ただ、悪いけど「知りもしないクセに」しかも「やたらと夢ばかり煽る」新技術として過剰報道に走る報道機関の馬鹿さ加減には、些か当時うんざりしましたね。

というところで、今回はハイブリッドカーにまで話が及びませんでした。また次回という事にさせてください。

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Posted at 2009/11/01 12:56:50

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この記事へのコメント

2009年11月1日 16:33
こんにちは。

わたし、直墳エンジン知らないで、3年前に今乗っているシャリオグランディスを買いました。(^。^)

たしかに、直墳の理論は素晴らしいが、実用はちょっと???ですね。

トータル的には、いい車ですよ。
コメントへの返答
2009年11月1日 17:08
コメントありがとうございます。

お客さんでシャリオグランディス乗っている人が居たので、点検の際には乗っていましたから、いいクルマだとは思っていました。自分が売ったんですけどね。
中は広いし、静かだし。おお、高級車じゃんって思います。

ただ、エンジンは普通のもので充分だったなあ、と思っています。無理にGDIじゃあなくても。お守りをするのに少々手がかかるのが難点でしたね。
あと、ホンの少し軽く(170㎏)してもらえれば重量税が安く済んだんですがね。
オデッセイでもそういう車種がありましたね。あとホンのちょっとで1.5tを越えちゃたというクルマが。
2009年11月1日 19:28
>ただ、エンジンは普通のもので充分だったなあ、と思っています。
ホント、普通のエンジン載せればよかったのにと思います。同クラスの中では、燃費は若干良いのかもしれませんが、エンジンオイルの交換サイクルを考えると・・・ビミョウ。

>あと、ホンの少し軽く(170㎏)してもらえれば重量税が安く済んだんですがね。
おお、そうだったんですか。σ(^_^;)アセアセ
コメントへの返答
2009年11月1日 23:17
コメントありがとうございます。

何故か当時の三菱は「フルライン○○」というのが好きで、「フルライン4WD」とか、「フルラインGDI」とか。何故か全車種で展開していくというのが好きでしたね。

ここのところはエコカー規制のことがあるのか、少々車重が嵩んできている傾向があります。
あまり詳しい規制内容は見てはいないのですが、重量車、大排気量車であるほうが規制が甘いようです。このため、もちろん衝突安全もあって重量が増えているのでしょうけど、マークXなどもたしか1.5トンを超えているような記事を目にしました。
日本車の場合は500単位で基準が区切られているので、排気量ならば1000、1500、2000、2500~と続きますが、重量税も~1t、~1.5t、~2.0t、という区切りです1.5トンを超えるとそれ以下は37,800円(2年間)であった重量税が、50,400円のクラスに上がってしまうんですね。

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「[整備] #タフト ダイハツ・タフト オーディオレス車への純正ナビ取付 https://minkara.carview.co.jp/userid/603944/car/3542135/7641092/note.aspx
何シテル?   01/14 11:39
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