
さて、今日は先日の続きです。
の前に。
仕事柄よく色々な車を乗るのですが、そこで思うのが「デッサン・クロッキーの欧州車に、浮世絵感覚の日本車」という印象について。
もちろん画材や気候条件(主に湿度の高低によるモノの見え方の違い)による差もあるのですが、西洋画は光と影、解剖学的に正確な骨格、絵的な配置などに全体的な注意が注がれているという印象を受けます。
それに比べ、昔の日本画は全てが実線で輪郭を表現されています。墨と紙いう画材のせいもあるでしょうけど、後から描き込みを足していくということはあっても、全体の描線は一発勝負。失敗しちゃったからソコだけ修正という訳にはいきません。
写楽の大首絵や春画などが特徴的かと思いますが、描きたいところ、印象的な部分というところがそのまま大きかったり、みょうにリアルで精緻な表現になっていたりと、まるで近代絵画のようなデフォルメがなされた表現もあったりします。
欧州車の全体的な印象も絵画に共通するものがあって、全体的なレイアウトやパッケージング、走りの印象など、クルマとしての全体骨格・基本設計・デザイン等には感心させられることが少なくありません。
が、ソコから息切れしてしまうのか、はたまたただ単に詰めが甘いだけなのか。プラ部品・ゴム部品・電装品関係の信頼性が意外なほど低かったり、外装仕上げが甘く、がっかりさせられたりという事が珍しくありません。
基本部分は丈夫と言えば聞えはいいのですが、プラ・ゴムもなければエンジンも成立しない訳ですからね。
日本車は、そのモデルチェンジのやり方にも問題があるというか、一度作っちゃったら、あんまりお金をかけたくないだけなのか。とにかく骨までしゃぶりつくすといったらいいでしょうか。延々と基本設計は変えずに使い続けるんですよね。
その代わり設計変更が効くところは随分変更が繰りかえされて信頼性や使い勝手はどんどん向上していく。「一所懸命」という言葉がありますが、まさに一点に集中する。
だから大本で基本設計が古くとも仕上がり品質は高く、機械としては壊れず故障せず、長期間の耐久性はともかく、10年15年という程度の期間であれば滅多に朽ちることはないという、それはそれで優秀な機械であると思います。全体的には幸せ、という感じでしょうか。
さてベンツ君です。
前回「北国の生まれ」という事を書きました。その寒いからなりの彼らの主張「こうあるべきだ・これがいいのだ」の部分について。
北国の車たちにとってバッテリーは、エンジンが目覚める前に使える唯一のエネルギー源です。このため温暖な日本ではバッテリーの存在が比較的に軽く見られがちですが、厳寒の地ではエンジンがかからなければソコに取り残されるだけです。最悪、待っているのは凍死、という笑えない事態もありえます。
携帯電話の雄、ノキアがフィンランド企業であることも偶然ではありません。彼の地では携帯電話を持っていること、繋がることが命綱だったようです。このことから携帯電話普及の当初から普及率は世界一だったため、それがノキアの成長の基にもなったそうで。
あちらは日本ほど人口密度が高くないですから運よく通りがかりの人が来た、という幸運に期待するより、何とか自力で脱出するべく頼みの綱のバッテリー様は特別扱いです。
基本的に電気は貯められません。バッテリーとは、化学反応の結果によって電気を発生させている化学プラントです。このためあんまり低い温度では化学反応が進みにくく、また、必要以上に加熱されてもバッテリーにとってはよろしくないようです。このため、ベンツ君の場合は日本車で一般的なエンジンルーム内への配置ではなく、特別室たるトランクルーム下のスペースに配置されています。しかもディーゼル用と見間違うばかりにデカイものが。
理由としてはエンジンルーム内への配置に比べ加熱される悪影響が少なく、しかも積載スペースの制限を受けにくいから、という理由でしょう。
バッテリーとは充電しすぎても放電しすぎてもよろしくない物のようですが、低温の時は元々発電反応が弱く、そこでひとふん張りさせると過放電となりがちです。これを防ぐには、もともとのバッテリーの容量自体に余裕を持たせるのが最良です。このため巨大バッテリーの登場と相成ったのだとか。未だに交換した事が無いのですが、あれ、いくらするんだろう?
ちなみにベンツのリモコンキーに使われている電池にはボタン電池が2個使われています。私が使い始めてからCは4年経ちますが、未だに電池交換はしていません。トヨタのリモコンキー(もちろん電池は1個)なら電池の寿命は2~3年位だったんですけどね。
さて、そんな特別室まで奢られたバッテリー様には、いざという時のことのために様々な配慮がなされています。
トランクルームにはもちろん作業灯があります。これくらいならベンツにもあるのです。トランクを開けると勝手にこの電灯が点くのですが、感心したのはこれを消灯するスイッチがあること。
もちろんトランクを開ける時間帯が明かりが必要な夜間ばかりとは限りませんし、あちらはミネラルウォーターの国ですから、しばらく開けっ放し、電灯をつけっぱなしになることもありえるのでしょう。だから必要ないときには消灯する。なんか見習いたくなります。
明かりつながりで室内灯です。ベンツには前と、後ろ用の2つ室内灯が設置されているのですが、スイッチが点灯のさせ方によって4つに分かれています。安全性も含めての事でしょうけど(走っている最中に室内を明るくすると外が見えにくくなる)、後ろ席用の明かりだけ点けるスイッチがついています。
空調で感心した点があります。
日本ではよくエンジンかけっぱなしで駐車場もしくは路肩で止まっている車を見かけます。夏は夏でクーラーをかけ、冬は冬でヒーターを入れるためにエンジンがかけっぱなしにされています。
ベンツの場合は「必要なければ、さっさとエンジンを切れ」という事なんでしょうけど、エンジンを止めた後でもラジエーターの余熱を使っての送風だけはできる、というスイッチがあります。もちろん鍵を抜いてあってもこのスイッチだけは作動します。
ちなみにオーディオも鍵を回さなくても作動するんですよね。おそらく全回路に電気を回して使うのがオーディオだけというより、使う可能性のあるところだけは繋いであるということなんでしょう。
笑ったのが、フロントのデフロスター(曇りとり)スイッチです。クーラーが作動している時だろうがヒーターが作動している時だろうが、とにかくデフロスターを作動させるとエアコンパネルの表示がいきなり「Hot」に切り替わり風量はMAXに。豪快に温風がフロントガラスに向けて噴出されます。最初に触った時には一瞬「何が起きたんだ?」と思いました。
まあ、曇り取りの効果自体は素早く現れますが、夏のときにこれはないだろう?日本車なら送風温度は変えずにひっそりと送風場所を切り替えるだけなのに。目的の為にはは手段を選ばないってことか?
ただ、たしかに北国の曇りとりとしては雪を溶かすということも考え併せてのシステムなのかもしれません。
ただ、エアコンの送風温度管理がけっこう杜撰なのが少々。日本車の場合は温度調整スイッチに敏感に反応して細かく送風温度が切り替わってくるのですが、ベンツ君は「暑いか、寒いか」の2通りはあるのですが、その中間のちょうどいいというポイントが非常に狭いようで、チョコチョコスイッチをいじくるよりはエアコンを切るか、窓を開けたほうが早い、という事が少なからずあります。
もしかしたら、それを狙っているのかもしれません。
そんなわけで今日はこの辺まで。
次回はベンツの雨対策について書くことにしましょうか。ちょうど雨続きですので。
Posted at 2009/10/02 15:33:43 | |
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