
東八道路は「第二甲州街道」とも呼ばれており、
日野バイパスと同じく、
いずれはこちらが甲州街道現道・国道20号になるといわれている。
その東八道路に「野川」と呼ばれる区間がある。
ここで片側2斜線の東八道路は、窪む形で野川公園内を横切っている。
だが、フェンスがあり、道路上を3つの歩道橋が通っているので、道路に飛び出してしまうというような危険はない。
実は、
「私」が免許を取得したのも、このエリアで、「検定車」は「真っ白の三菱ランサー」であった。
東八道路で「真っ白の、三菱ランサー」といったら、かなり有名。それは、「検定車」だ。助手席には「警官」が乗っており、運転席の「受験者」に厳しいチェックの目を向けている。受験者は震えながら必死に技能試験を受けている。たいてい、後席には、首をすくめた、次の受験者たちが詰め込まれている。こう書けば、この「真っ白の三菱ランサー」がどこの車両であるのか、おわかりになるかと思います。
東八道路で「真っ白のランサー」を見かけたら、左車線を最優先通行させてあげましょうネ。
と、コレは、2000年代の、昼の世界。
以下は、夜の世界、しかも少しばかり昔の話。
東八道路は、野川公園内を横切っているけれども、フェンスがあり、道路上を3つの歩道橋が通っているので、道路に飛び出してしまうというような危険はない。
加えて、この区間は1000メートル超の比較的長いストレートとなっている。
それだからか・・・かつてここは「ゼロヨン」の名所だった。
今でこそ二車線に減少することとなったが、かつては、片側三車線ずつあった。
「野川ゼロヨン」
または
「府中ゼロヨン」と呼ばれ、夜になるとどこからともなく沢山の改造車がやってきてゼロヨンを開始した。
特に、上り・高井戸方面行きだと、次の交差点まで緩い上りカーブになっており、スローダウンにも最適だった。
そのため、二車線規制となった今でも、こちら側にはオービスが設けられている。
さて、
(以下は、完全にフィクションに関するお話です。)
平成2~3年頃の話であろうか。
「首都高バトル」全盛期をほんの少しだけ過ぎたあたりの話。
俺は負けるわけにはいかなかった。そしてすぐに俺の凄さを証明してやる必要性があった。
俺の年の離れた弟は小児性癌だ。医者からもう余命数ヶ月と宣告されている。弟は兄である俺が自慢で、あいつも、俺と同じくレーサーになる夢を持っている。
俺は弟の期待に応えるべく、無断で親父の車と、俺のシルビアを売却した。
そして買ったのが、赤いGT-Rだ。
弟がずっと気に入っているトミカと同じ、赤いGT-Rだ。
そういうことだから、今日は、某ゼロヨン会場に赴いた。
今日が、この赤いGT-Rのデビュー戦だ。
相手は、黒いスープラ。コイツは、この、某ゼロヨン会場無敗。
『Option』編集部の記者たちも、集まっている。
ここは東京で最も注目されているゼロヨンレースだ。
この、某ゼロヨン会場無敗の黒いスープラを負かせば、一気に、俺と、この赤いGT-Rの凄さが証明できるのだ!
ビデオ作品『首都高速トライアル4』(日活)より。
こうして、「赤いGT-R」はゼロヨンでスープラに勝利し、雑誌の紙面を飾り、弟の自慢の兄となる。
雑誌を見た父は、釘を刺す。
「そのへんにしておけ。それ以上、危ないところには、入るなよ」と。
しかし、日活映画がゼロヨンで終わる筈がない。
何しろこの映画のキャッチコピーは、「もう、俺を止める事はできない」。
だいたい、日活映画で走り屋といったら、必ず首都高バトルに突入するのが定型パターンなのです。
主人公は、「首都高のキング」の座を手に入れるべく、「首都高コースレコードの持ち主」に決闘を申し込む。
しかし、そのときレーサーとなっていた、その相手の対応は拍子抜けするものだった。
「俺はプロになりたい。だから首都高バトルは、もう、やらない」
断られた。
どうすればいい?
とはいえ、その「申し込み」は意外な効果をもたらした。
主人公のもとに、「願っても無い相手」がやってきたのだ。
白いRX-7(サバンナ、FC3S)。
パッシングして、引き止めると、中から乗り手が出てくる。
「赤いGT-Rだな」
「ああ」
「発進加速を競うだけのゼロヨンなんてぇ、子供騙しもいいトコだぜぇ」
FCのドライバー、やけに挑発する。続けた。
「オマエ、あの元・首都高最速の奴にバトルを申し込んだんだってな?」
「ああ。断られた」
「(ニヤリ)おじけづいた奴ぅ相手にしてても、しょーがねーだろぉ」
「今、首都高で一番速い奴は、誰だ?!」
「(ニヤリ。俺だ、といわんばかりの表情)」
こうして、
「赤いGT-R」対「白いRX-7(現役首都高ランナー)」の首都高バトルが始まった。
(このバトルの結末がどうなるかは、まあ、日活映画の性質上、見えてますが・・・。気になる方、詳しくは、何らかの方法で『首都高速トライアル4』をご覧下さい)