
先週の始めに車仲間でもあるParai○aさんから、
「今週末にASTON MARTIN 新型vanquishの試乗
を申し込んでありますが、宜しければご一緒しま
せんか?」
という有難いお誘いを受け、先週末に試乗してき
ました。
ショールーム裏手のパーキングに控えた、今となっては希少なノーマルアスピレーション
V12・6Lエンジンの新型vanquish。
フロントリップはお決まりのカーボン製かと思いきや、何とオール・カーボンボディ!
準備されたvanquishは、はやる鼓動と緊張感を和らげるのには十分な、イギリス本国と
同等の右ハンドル仕様。
早速ドアを開くと、そこには色鮮やかなレッドと部分的にブラックを設えたシートと天井は
アルカンターラで、コンソールパネルは好みのピアノブラックではなくてカーボン仕様。
既にガラス製のキーは差し込まれていて、ステアリング右下のスポーツモード・ボタンが
点灯していて、乗る(やる)気をそそる準備完了!!
ステアリングはやや立ち気味で、伸縮と上下は調整可能ですが角度は出来ないとのこと。
サイド・フラットなOP.仕様でしたが、握りも適度で回転させやすいという見た目と相反した
優しい使用感です。
スタートボタンを押すと、ブォン!ブルブルという重低音の迫力を伴う排気音で、目覚めた
エンジンは既に十分な暖気が済んでいるように安定したアイドリング・・・
運転席シート右側のサイド・ブレーキを一旦やや持ち上げてから下ろし、コンソールパネル
のDボタンを押して、スルスルと青山通りを渋谷方面に合流。
前方が大きく空いたことを確認してから、アクセルを踏み込んでみる・・・
アクセルは軽過ぎず重過ぎずと適度な重さで、ツキは機敏でしたがで決して神経質なもの
ではなく、回転計の針は時計と逆方向にリニアに軽々と上げて行くの同時に、3000rpmを
越えた辺りからの排気音は、重低音から次第に中高音へと音色を変化させ、背中へ感じ
る正面からのGとともに聴覚からも、ワクワクとする刺激を一層増幅させられます。
ただ不思議なのは、そこに不要な緊張感は一切伴わないこと・・・
試乗コースは、青山通りを渋谷方面に直進青山1丁目を左折後、左折左折を繰り返して
再び出た青山通りを赤坂見附方面へ、見附を四谷方面に左折後、紀ノ国坂を上って迎賓
館横を左折後東宮御所前を通過し、外苑東通りを左折して青山1丁目交番前を左折、再
度青山通りを走って赤坂見附交差点をUターンするという、約7kmの試乗でした。
何より先ず驚いたのは、その乗り心地の良さ!
所謂フワフワとしたサルーン的なものとは異質の、足回りは殆どロールを伴わない地面
をしっかりと噛んだものにも関わらず、不快な突き上げ感やガタガタとした振動とは皆無
(タイヤはみんからでも評判の高い、ミシュラン・スーパースポーツのF255/20・R305/20)
、固い舗装路上を無振動でスムースに走るというか何とも表現し難い、これまでに経験し
たことのないような硬いのに上質?な感覚です。
この乗り心地の良さの秘密は、op.のリアシートに佇むセールス氏曰く、オール・カーボン
ボディから来る大幅に高められた剛性感と改めて見直された足回りが、この設えた乗り
心地を実現しているとのこと。
2年前に試乗した新型GTRの直線の馬鹿っ速さと引換えに、這いつくばる走行感ながら
も常に突き上げを伴う硬さ、そして一つ気を許すと道路状況によってはハンドルを取られ
るというような、乗る側に半ば当然の如くに緊張感を強いる場面など微塵もない!
速度に応じた交通の流れにだけ注意を集中すれば、異音や滑り感など何の違和感もな
しに573ps63kgのパワーを受け止めてくれる、強力かつ十分な利きを示す前6podに後が
4pod?のカーボンブレーキ。
そしてパドルを操作してシフトダウンと試みると、ブァン!と一吹かしブリッピング後に間
髪空けずに適度なエンジンブレーキの効きを確認出来、フットブレーキは補足的なもの
で済みました。
vanquishの隣に駐車していたDB9、vanquishがDBSの後継車種という位置付けなら、新
・DB9はヴィラージュV12の仕様を継承しての登場だそうです。
最後にvanquishから降り立って、リアビューを見ているとカーボンボディの恩恵は、乗り
心地や室内のゆとりに貢献しているばかりか、トランクにゴルフバッグ2個の収納が可
能になったことも、セールス氏が教示してくれました。
終の車として維持するのには、それなりの長期の裏付けがないと難しい・・・(^^ゞ
つまりは無理!を再確認出来た(解ってはいても、魅力的な車に出会うたびについ・・・)
貴重な今回の試乗でした。(笑)
ただこれまでのvanquishやDBSに脈々と引き継がれて来た、英国特有のヒエラルキーに
基づいたマスキュリニティというか無骨なまでの男らしさが、アストンのクウェートの投資
会社に始まり、ロールスロイスのBMW、ベントレーのアウディ、そしてランドローバーやジ
ャガーまでもがインドのタタ社という、経営母体のグローバル化が進んだ現実があります。
そこには当然の如く、売れ行きをも視野に入れざるを得なくなった改革が、これまで不可
侵!?と思われた英国特有の拘りや資質からの乖離を、ソフト面より先にハード面に於
いて、伝統を頑なに守り続けてきた英国王室御用達と云われたメーカー側が、ドイツやフ
ランスを含めた他国に(所謂グローバル・スタンダードに)準拠せざるを得なくなった現れ
ではないのか?と、ふと複雑な想いを感じた貴重な試乗の機会でした。
最後にダッシュ両側に出たバング&オルフセンのオーディオを、聴くことさえ忘れてしまう
あっという間の一時でした。
もしも許されるのならこのまま君を連れ、湘南の海まで走り去りたい・・・
本当に久しぶりに、いつまでもハンドルを握っていたい気分にさせられました。(^^ゞ
帰りがけの第三京浜を流して改めて感じたことは、鼻先が6気筒ターボで軽いグランクー
ペはとても取り回しがしやすくて、吹け上がりにアストンほどの迫力はないまでも軽く、自
分に取ってはとても良い車だと認識出来たことでした。(笑)