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2025年06月24日 イイね!

【北海道旅】この景色が見たくて・その⑥~北海道ドライブ最終日!

【北海道旅】この景色が見たくて・その⑥~北海道ドライブ最終日!

 北海道ドライブもいよいよ3日目、そして最終日。
 この日は帯広の宿を出発して南下し、日高沿岸部を回りながら千歳空港へ向かいます。走行距離は今回の旅で最長になりそうです。

 

夜明け前の出発

 午前6時前、まだ街が眠っている時間にホテルを出発。今日も見学予定はぎっしり詰め込んでいるので、早朝からのスタートです。
 まずは国道236号線を南下し、帯広川西ICから帯広広尾自動車道へ。ここは無料で走れる自動車専用道路で、国道236号線の一部にも指定されています。

 ところがナビの案内で中札内ICからいつの間にか下道へ…。少し戸惑いましたが、下道も流れが良かったのでそのまま並走する国道236号線を走ることにしました。

 

●旭浜トーチカ群

 最初の目的地は「旭浜トーチカ群」。第二次世界大戦中に造られたコンクリート製の防御施設が、海岸沿いに今も点々と残されているそうです。


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 途中、道路脇には案内板もあり「観光地化されているのかな?」と思いきや、現地に着くとそこはただの海岸線。



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 砂浜に、ぽつんとコンクリートの塊が立っていました。これがトーチカです。



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 保存や整備はされておらず、かといって立入禁止でもない。戦後80年の風雪で一部は崩れ、中には砂が吹き込んでいますが、まだその姿を保っています。



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 見渡すと同じようなトーチカが海岸線に沿って何基も…。まるで戦争当時の空気が、まだこの地に残っているかのようでした。


 

黄金道路を南下

 トーチカを後にし、広尾町で国道336号線へと進んでいきます。この辺りからは海沿いの絶景が広がるドライブにはもってこいなルートとなります。


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 海と断崖に挟まれたこの道は「黄金道路」と呼ばれています。日高山脈が海に迫る厳しい地形のため、覆道やトンネル、桟橋、護岸が随所に造られ、建設には「黄金が敷き詰められるほど」莫大な費用がかかったことからこの名が付きました。


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 クルマを停めて遠くから眺めると、確かに崩落の跡があちこちに見え、維持管理の大変さが伝わってきます。

 それでも走ってみれば、絶景続きのシーニックバイウェイ。北海道らしいダイナミックな海岸線を満喫できるルートです。


 

えりも岬はスルー、そして訪れたのは…

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 やがてえりも岬の案内標識が登場。

 ここまでやって来た観光客のほとんどは立ち寄るでしょうが、今回は泣く泣くスルー。森進一さんに怒られそうですが(笑)、その代わりに向かったのは…。



●かつてのプレート境界

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 ここは太古の昔、ユーラシアプレートと北米プレートがぶつかり合っていた場所で、今もその痕跡が地上に露出しています。見た目は地味ですが、地形好きにはたまらないスポット。


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 そのプレート境界は地上だけでなく、海の中にも続いているそうです。

 ここに地球規模の力が働いていたことを想像すると、悠久のロマンを感じずにはいられません。

 


●3世代の隧道

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 さらにその近くには、明治・大正・昭和と3つの時代に掘られた隧道が残っています。



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↑昭和トンネル(現役)


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↑大正隧道


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↑明治隧道


 昭和の山中第二隧道は現役の車道、大正トンネルは歩いて通行可能。明治隧道も貫通していますが、漁具が置かれ、片側は崩落で半分以上埋まっていて入りづらい状態です。


 日高耶馬渓のように地形が急峻な場所では、かつては海上交通での行き来が主流でした。それでもこの場所には明治期には早くも隧道が掘られ、その後も大正・昭和と3代にわたり新たなトンネルが造られ続けています。それだけ、この地が交通の要衝だったということの証左に他なりません。

 今でも日高山脈を越える道は数えるほどしかありません。北海道の東と西を結ぶ大動脈として、沿岸部のこのルートが選ばれたのは、まさに必然だったのでしょう。

 

 ここまでで、まだ午前10時。
 このあとは、本日のメインイベントとなる、あの廃線跡を探訪しに行きます!

Posted at 2025/08/11 20:46:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行・お出かけ | 日記
2025年06月23日 イイね!

【北海道旅】この景色が見たくて・その⑤──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・後編

【北海道旅】この景色が見たくて・その⑤──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・後編

 タウシュベツ川橋梁をじっくり堪能したあとは、名残惜しくも帯広の宿へと戻る帰路に。
 その途中、ちょっと寄り道をして訪れたのが、かつての士幌線・糠平駅跡です。




●糠平駅跡

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 この場所には「上士幌町鉄道資料館」が併設されており、当時の路線図や保線用具、現役時代の映像などが展示されているとのこと。とても楽しみにしていたのですが…あいにくこの日は休館日

 仕方なく、糠平駅跡の周辺だけを散策することにしました。


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 跡地には、線路や踏切、駅名標などが残されています。ただし、これらは当時のものではなく、廃止後に観光トロッコ運行のために再整備されたものだそう。

 それでも、線路が一本そこにあるだけで、かつて列車が走っていた気配がふっと感じられるから不思議です。


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 線路脇には、ちょうどルピナスの花が咲き誇っていました。花に包まれたこの光景、当時の士幌線もこんな風景の中を走っていたのでしょうか──

 そんな想像にしばし浸ります。

 


●帯広駅周辺

 夕方、17時前には帯広の宿に到着。

 この時期の北海道はまだまだ明るく、せっかくなので駅周辺を散策してみることに。


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 宿泊したのは、帯広駅からすぐの「ホテルグランテラス帯広」。駅チカで飲食店も多く、駐車場完備ということでレンタカー旅にもぴったりの宿です。



 駅前に向かおうとホテルを出た瞬間、「パッカパッカ…」という軽やかな音が聞こえてきました。

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 振り返ると、なんと馬車が目の前をのんびり通過中。
 調べてみるとこれは「馬車Bar」といって、馬車に揺られながら帯広の街並みとお酒が楽しめるというユニークなサービスとのこと。



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 数分歩けば、すぐに帯広駅前へ。

 駅前ロータリーは広々としていて、十勝地方の中核都市であることを感じさせます。
 とはいえ、夕方の時間帯にもかかわらず、人も車も意外なほど少なめ。


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 タクシー乗り場には数台がぽつんと待機しており、広すぎるスペースがやや寂しげにも見えました。


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 駅構内には「とかち食物語」という地元物産のエリアがあり、名産品やお土産が並びます。食事処もあり、旅行者にはうれしい施設です。

 


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 そろそろホテルに戻ろうかと駅前を歩いていると、ふと足元に2本のラインが。最初はデザインかと思って通り過ぎかけたのですが、なんだか気になる…。


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 よく見ると…「えっ、これ線路!?

 目を凝らして確認すると、どうやら本物のレールのようです。


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 レールの終端は駅前の北洋銀行の目の前で途切れています。そこから反対を振り返って見ると、レールは北西方向へとまっすぐ続いています。


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 周囲に説明板などは見当たらず、詳しいことはわかりませんが、帯広駅の北側からこの方向──根室本線と並行するように北西へ延びる線路といえば…まさか士幌線の跡

 足元のレールが、十勝の大地を抜け、タウシュベツ川橋梁へとつながっていたのでは…? そんな想像がふくらみます。

 夕陽が沈みゆくなかでの、偶然とも思えない出会い。
このレールが、あの橋へ続いていたんだ…
 今日という一日が静かに、でも印象的に締めくくられていく瞬間でした・・・。


──と、ここまでが現地での私の感動だったのですが、後日調べてみたところ、この線路は士幌線の跡などではなく、根室本線が最初に敷設された場所に復元されたモニュメントだったようです(なお現在の根室本線は高架化済み)。


・・・あの感動を返してくれ!! orz


★2日目走行データ
 走行距離 203.4km
 平均燃費 22.9km/l
 走行時間 6時間51分
 平均車速 29km/h

Posted at 2025/08/03 17:18:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行・お出かけ | 日記
2025年06月23日 イイね!

【北海道旅】この景色が見たくて・その④──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・中編

 【北海道旅】この景色が見たくて・その④──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・中編

 タウシュベツ川橋梁の展望台から少し北へ進むと、橋へと続く林道の入口が現れます。ですが、すぐには橋を目指さず、まずは士幌線の終点へと向かい、廃線跡をたどってみることにしました。



 次に訪れたのは、第五音更川橋梁幌加駅跡

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 士幌線の遺構は、地域でも観光資源として活用されているようで、国道沿いには橋や駅の跡を案内する看板や駐車スペースが整備されており、気軽に立ち寄れるようになっています。


●第五音更川橋梁

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 第五音更川橋梁は、旧士幌線に多く見られるコンクリートアーチ構造。これから向かうタウシュベツ川橋梁も、同様の工法で建造されたと考えられます。


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 橋の上からはすでにレールが撤去され、草が生い茂っていて渡ることはできませんが、途中に残る待避所のような構造から、かつての姿がふと目に浮かびます。



●幌加駅跡

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 幌加駅跡はガイドブックにでも紹介されているのか、観光客の姿も多く見られました。

 駅構内はきれいに整備されていて、ホーム跡やレール、ポイント、枕木などが当時の雰囲気を色濃く残していました。東大雪の山中にあった駅の姿が、ここには今でも確かに息づいているように感じられます。



●十勝三俣駅跡

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 さらに先へ進み、士幌線の終着駅だった十勝三俣駅跡に到着。しかし、ここでは駅舎もホームもすでに撤去され、路盤跡も判然としません。


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 それでも辺り一帯は谷間に広がる平坦な土地で、山深い場所とは思えないほど空が開けた、まるで高原のような清々しさに包まれています。

 人が生活を営むには最適な場所だったのかもしれない──そんなことを思わせる風景でした。


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 近くには柵に囲まれた廃屋がひとつぽつんと残っていましたが、これは十勝三俣駅からさらに奥地へと伸びていた森林鉄道に関連する施設だったようです。




 こうして旧士幌線を終点までたどりきった私は、いよいよ今回の旅の最大の目的地、タウシュベツ川橋梁へと向かいます。


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 国道から林道へと折れ、しばらく走ると写真のゲートが現れました。通常、一般車はここで通行止めですが、今回は事前に通行許可を取り、鍵を借りています。


※タウシュベツ川橋梁へと至る林道ゲートの鍵は、以下のサイトから予約することができます。

タウシュベツ川橋梁「林道ゲート通行鍵」予約ページ/上士幌町タウシュベツ川橋梁観光



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 ただし、この周辺はヒグマの生息地でもあり、つい数日前にも出没情報があったとのこと。ガクブル・・・。


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 橋への期待と熊への不安が入り混じる中、鍵を使ってゲートを開け、許可証を掲げて林道を進みます。

 林道には水たまりや勾配のきつい区間もありましたが、路面は比較的フラットで、日産ノートでも車体の底を擦ることなく走行できました。


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 15分ほど走ると林道脇に広めのスペースがあり、ここに車を停めて橋へ向かいます。


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 そこから先の通路は、かつて士幌線の路盤だったようで、掘割がきれいに残されており、列車が走っていた面影が感じられました。


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 森を抜けると、目の前に糠平湖の湖面が広がります。


 そして、その湖面を横断するように──


 森が開けた瞬間、草木ひとつない風景が広がり、その中に佇む橋の姿が見えました。


●タウシュベツ川橋梁

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 ついに出会えた、タウシュベツ川橋梁

 湖の水位によって姿を現したり沈んだりするこの橋は、激しく風化が進行し、他の士幌線の橋梁群とはまったく異なる、朽ち果てた姿をしています。


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 一部ではコンクリートが崩れ、アーチは「首の皮一枚」で繋がっているような危うい状態。


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 それでもなお、湖面を対岸までしっかりと結んでいるこの橋は、凛として誇り高く立ち続けているようでした。


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 コンクリートが剥がれ落ち、中の鉄筋がむき出しになってもなお、橋としての矜持を失わないその姿に、心を強く揺さぶられます。


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 今でも人ひとりくらいなら対岸へと連れて行ってくれそうに見えますが、もちろん橋上への立ち入りは禁止



 鉄道がこの谷を越えていた頃とはまるで変わってしまった風景の中で、それでもこの橋が見ているもの、想っていることは、きっと今も昔も変わらない──そんな気がしてならない、まさに魂を揺さぶる絶景でした。

Posted at 2025/07/18 10:36:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行・お出かけ | 日記
2025年06月23日 イイね!

【北海道旅】この景色が見たくて・その③──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・前編

 【北海道旅】この景色が見たくて・その③──憧れの廃景、タウシュベツ川橋梁へ・前編 旅の2日目は、この北海道旅行の大きな目的でもある旧士幌線・タウシュベツ川橋梁へ。
 この橋は、私が20年以上前から見たいと思っていた廃景のひとつで、いよいよ今日、その20年越しの憧れが実現する日となります。普段は、閉ざされた林道の奥に眠っているタウシュベツ川橋梁ですが、今回はその林道ゲートの鍵を借りて、橋のすぐ袂まで向かいます。
 その道中では、旧士幌線の橋梁跡や駅跡などの遺構群、橋を沈めた張本人・糠平ダムなど、鉄道と自然が融合した景色をたっぷり堪能します。見どころ満載だったこの日の様子は、ボリュームの都合もあり3回に分けてお届けします。

 まずは【早朝〜午前中】の様子をお伝えします。


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 この日は朝4時に起床。前夜は遅くまで起きていたのに、旅行のワクワク感で目が覚めてしまいました。支度をして、5時にはホテルを出発。せっかくの早起きなので、帰りに寄ろうと思っていた士幌線の音更駅跡と士幌駅跡に先に立ち寄ることにしました。


●音更駅跡

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 最初に訪れたのは、音更駅跡。現在は交通公園として整備されており、駅舎は残っていないものの、車両の展示があります。


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 特に珍しいのがSLのカットモデル。内部構造が見えるように一部が切断されていて、蒸気機関の仕組みを学べます。



●士幌駅跡

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 次は士幌駅跡へ。こちらは駅舎・ホーム・線路・貨車がそのまま残されており、往時の面影をしっかり感じられる場所です。


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 駅名標には士幌駅だけでなく、なぜかとなりの中士幌駅のものも並べて設置されていて、ちょっと不思議な演出。



●道の駅かみしほろ

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 その後は道の駅かみしほろへ向かい、8時半ごろ到着。鍵の貸し出しは9時からとなるので、受付が開くまでしばし休憩。


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 受付が始まるとすでに数人が並んでおり、順番を待って鍵を受け取りました。林道走行時の注意点やクマ対策について説明を受けます。


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 林道の鍵を借りる際、探索に必要な熊すずや長ぐつの貸し出しがありましたが、私は自前の長靴・クマ鈴に加えクマスプレーまで用意していたので、ここでは鍵だけを借りました。


 無事、鍵を借りることができたので、国道273号線を北へ。この道はかつての士幌線跡と並走しており、ところどころに鉄道遺構が顔を覗かせます。



●第三音更川橋梁

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 まず現れたのは、第三音更川橋梁。コンクリートアーチが美しい橋で、国道沿いからその全景を望めます。駐車帯も整備されていて見学しやすいスポットです。



●第四音更川橋梁

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 少し進んだ先には第四音更川橋梁。こちらも同様の構造ですが、自然崩落なのか理由あって撤去されているのか分かりませんが、一部が欠損しているのが特徴。



●糠平ダム

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 士幌線をいったん離れ、糠平ダムへ。ここは1956年に完成した発電用ダムで、渋く風格ある佇まい。


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 タウシュベツ川橋梁が沈んだり姿を現したりしている糠平湖は、このダムによって生まれた人造湖です。





●三の沢橋梁

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 続いて向かったのは三の沢橋梁。こちらは遊歩道として開放されており、橋を渡ると森の中に続く旧線跡がまっすぐ伸びています。あまり奥まで進むとクマのリスクもあるので、控えめに散策。



●タウシュベツ川橋梁展望台

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 タウシュベツ川橋梁に直接行く前に、まずは対岸のタウシュベツ川橋梁展望台に立ち寄りました。林道ゲートの鍵がなくても橋を遠望できる、観光客にも人気のスポットです。平日にもかかわらず多くの人が訪れており、その多くは鉄道ファンではない一般の旅行者でした。やはりタウシュベツの神秘的な姿は、誰の心にも響くのでしょう。


 展望台からは、糠平湖を挟んでくっきりとタウシュベツ川橋梁が浮かび上がって見えました。ここ数日の雨で水位上昇が心配されましたが、この日はしっかりとその姿を現してくれていました。



・・・ずっと見たかった景色が、ちゃんと待っていてくれた。


Posted at 2025/07/16 13:06:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行・お出かけ | 日記
2025年06月22日 イイね!

【北海道旅】この景色が見たくて・その②──燃えて、尽きて、静けさだけが残った街

 【北海道旅】この景色が見たくて・その②──燃えて、尽きて、静けさだけが残った街 千歳空港でレンタカー(日産ノートe-POWER 4WD)をピックアップして、最初に向かったのは夕張方面。
 今回の旅の目的のひとつでもある「廃モノ」巡り──その始まりにふさわしく、かつて石炭と鉄道で栄えた夕張の地を訪れることにしました。


● 旧紅葉山駅(現・新夕張駅)
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 最初に立ち寄ったのは、旧紅葉山駅。現在は「新夕張駅」として石勝線の中継駅になっています。


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 新夕張駅ホームに上がると、現在使われているのは石勝線の1・2番ホームのみ。その向かい側には使われなくなった夕張支線の3・4番ホームが今も姿を残していました。
 線路はまだ敷かれたままで、まるで今にも列車が滑り込んできそうな雰囲気──
 けれど、よく見るとレールは赤く錆びつき、隣の現役線と比べるとその違いは歴然。
 夕張支線が、静かにその役目を終えたことを物語っていました。


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 現在の新夕張駅から階段を降りて一段低いところを通る道路、それがかつての旧線の路盤だったそうです。

 一方、旧駅舎跡は今や「道の駅夕張メロード」として観光客でにぎわっており、新夕張駅の静けさと好対照だったのが印象的でした。



● 清水沢駅跡 → 旧北炭化成工業所 大煙突
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 次に向かったのは清水沢駅跡。ホームと跨線橋のみが残されていて、どこか心細い空気感。


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 さらに、そこからほど近い場所にあるのが、旧北炭化成工業所の大煙突。
その高さは実に63メートル。見上げると圧倒的な存在感で、かつての炭鉱関連施設のスケールの大きさを実感します。

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 かつてこの地には「ユーパロの湯」という温浴施設があり、この煙突がシンボル的存在だったそうです。が、現在は施設も廃業し、煙突だけが静かに時を見下ろしていました。

● 鹿ノ谷駅跡と、夕張鉄道の幻影
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 次は鹿ノ谷駅跡へ。ここでは駅舎、ホーム、跨線橋が残されており、かつての駅の雰囲気がしっかりと伝わってきます。


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 跨線橋に上がると、異様に広い駅構内の敷地に夕張支線の線路が1条だけ残されているのが印象的です。鹿ノ谷駅はかつて夕張鉄道の車両区、保線区として使われていたため、構内には並行して何条もの線路が引かれていました。この幅広の敷地はまさにその名残りというわけです。


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 駅構内の一部には、舗装された細い道が通っています。これは旧夕張鉄道の跡地を活用したサイクリングロードです。…だったのですが、老朽化により現在は廃道状態に。「廃線跡がサイクリングロードになり、さらに廃道へ」と、時の流れを感じさせられます。

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 跨線橋を渡った先には、かつて集落があったと思われる場所が広がりますが、今では民家はわずか。
 そんな中で出迎えてくれたのは、数頭の鹿の群れ。まさに名前の通り、“鹿の谷”の景色に、ふと物語の中に入り込んだような気持ちになりました。



● 三代目夕張駅と、ホテル・マウントレースイ
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 続いて訪れたのは、三代目夕張駅跡。そして、その駅前に鎮座しているのが、かつての観光の象徴だった巨大ホテル「ホテルマウントレースイ」。
 夕張が観光業へとシフトし、バブル絶頂期に建てられた夕張観光の象徴的建築でしたが、2020年12月に破産申請が行われてそのまま廃業、今もそのまま手つかずの状態となっています。


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 建物が持つ威容と、現在の静けさとのギャップが、なんとも言えない寂寥感を漂わせていました。


● 夕張市石炭博物館
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 そしてこの日のハイライト、夕張市石炭博物館へ。
 かつての「石炭の歴史村」の一角にあるこの施設、その広大な敷地はどこか「廃」っぽい雰囲気を残していましたが、博物館には意外にも多くの観光客の姿。


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 この博物館、ただ石炭の説明をするだけでなく、夕張という“石炭の街”そのものの興亡を描く構成になっているのが印象的でした。


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 石炭で栄えた黄金時代

 石炭の衰退と観光への転換

 結果としての財政破綻という“負の歴史”


 といった、夕張の「明」と「暗」の両面をしっかり見せてくれる展示は、むしろ好感が持てました。


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 さらにその先の展示施設に入ると、まず印象的だったのは、石炭の掘削作業の様子を再現した“マネキン人形”による展示。坑道で作業する鉱夫たち、ベルトコンベアに石炭を積み込む様子、現場での緊張感……。
 人形の表情や姿勢にリアルさがあり、当時の労働の過酷さがひしひしと伝わってきます。音響や照明も駆使されており、単なる展示というよりは「体験型」に近い臨場感


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 さらに奥へ進むと、模擬坑道に入ることができます。
ここは実際に坑内作業が行われていた坑道を模したもので、トンネルの中はひんやりと湿気を含んだ空気。


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 狭い通路、むき出しの石炭層、薄暗い照明──
「こんな空間で、あの重労働をしていたのか」と思わず立ち止まってしまいます。
 石炭で栄えた時代の“暗部”も感じ取れる、静かながら力のある展示空間です。


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 模擬坑道を抜けると、出口付近に現在は封鎖された天竜坑の坑口があります。
 坑口は一部損壊しているものの、レンガ造りのアーチが印象的な構造です。現在は完全に封鎖されていますが、その向こうに続いていたであろう暗く深い坑道を想像すると、背筋が少しゾクッとするような感覚がありました。
 この場所から何人の坑夫が出入りし、どれだけの石炭が搬出されたのか──
静かに佇むその姿が、今はもう語られることのない物語をそっと伝えてくれているようでした。


 夕張石炭博物館は、単なる炭鉱の歴史だけではなく、「石炭とともに生まれ、栄え、衰えた町・夕張」の全体像を伝えてくれる場所です。
観光資源への転換を試みた時代、そして財政破綻という黒歴史まで、飾らずにきちんと紹介されている姿勢に、好感が持てました。

 かつての繁栄、そして今。

 ここに来ると、その両方を静かに、でも確かに受け止めることができます。


● 清水沢ダム → 南大夕張駅跡 → シューパロダム
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 夕張市街からさらに東へ。
 清水沢ダムの天端に立ち、目前に見える旧北炭大夕張火力発電所跡を望みます。草に覆われたその姿がまた、産業遺構らしい静けさを醸していました。


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 そこから南大夕張駅跡へ。保存車両の列車とバスが並んでいるものの、列車は一部横転しており、少し痛ましい姿。
 整備が追いついていない現実もまた、時の流れを感じさせます。


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 最後は夕張シューパロダムへ。
 このダムは2015年に竣工した比較的新しいダムで、その大きさは堤高110.6メートルの重力式コンクリートダムです。洪水調節や発電、上水・農業用水の供給などを目的とされた、国内でも最大級の多目的ダムとなっています。ダム湖は「シューパロ湖」。


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 かつてここには「三弦橋」と呼ばれる林鉄の鉄橋がかかっており、夕張のシンボル的存在でした。今でもその橋は架かったまま、ダム湖に沈んでいます。水位が低ければその姿を現すこともあるようですが、残念ながらこの日は水没していてその姿を見ることは叶わず。


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 また、シューパロダム提体のすぐ上流側には、旧大夕張ダム提体がまるごと沈んでおり、「沈んだもの」のスケールの大きさに言葉を失います。


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 ダム周辺にはクマ出没注意の看板があり、くま鈴を鳴らしながら慎重に探索。
 提体周辺を歩くだけでも、自然と人工物の境界が溶け合った独特の雰囲気が漂っていて、夕張の締めくくりとして印象的な場所となりました。



 この日の夕張巡りはここまで。

 産業が生み、産業に去られた街──その痕跡を辿る時間は、静かで、少し寂しくて、でもなぜか心が落ち着くものでした。

 宿泊地の帯広までは、もうひと踏ん張りのロングドライブ。北海道1日目、いよいよ深みにはまってきました。

★1日目走行データ
 走行距離 257.3km
 平均燃費 22.8km/l
 走行時間 6時間03分
 平均車速 42km/h
Posted at 2025/06/29 16:48:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 旅行・お出かけ | 日記

プロフィール

「北海道ドライブ3日目・最終日①~日高地方の歴史探訪? http://cvw.jp/b/642464/48594263/
何シテル?   08/11 20:46
平成20年まで東京に住んでいましたが、このほど出身地でもある神奈川県に移り住んできました。 10年ほど続けた雑誌編集者(主に自動車関係の雑誌を作ってマシタ...
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