黒ゲート号、室戸へ (3;私が室戸を目指した理由)
投稿日 : 2010年07月01日
1
【注意】
ここから先、見る人によっては不快感を受ける場合があります。一応、心のご準備を・・・
さて、室戸に着いたわけだが・・・
ドン曇りorz
山肌からにょっきりと突出した橋梁部が大迫力の
室戸スカイライン・高知県道203号室戸公園線を
喘ぎあえぎ駆け上る。
さすがに100‰の勾配は、軽4にはキツ過ぎる。
こんなとき・・・こんな時SVXなら・・・
何事もなかったかのように平然とダッシュして行くのに・・・!
すまん、Kei。
さっきの南阿波サンラインといい、無理をさせたな・・・。
2
辿り付いた山頂は、もうもうと棚引く霧の中。
その中に佇む、奇怪な外観の建造物ひとつ。
その筋にはあまりにも有名な、面白い建築様式と
絶景の展望で知られた建築廃墟。
『スカイレスト ニューむろと』である。
壁や窓が崩落し、一種愛嬌のあった建物の顔つきは一転、無残な骸の様相を呈し、流れ続ける霧の中に見え隠れしていた。
意図せざる今日の天候、予想だにしなかった強烈な光景。
呑まれるような、廃退の幻想。
3
3本の柱を三角形に纏め、そこに三方向へ
張り出しバルコニーと部屋区画を持った建物基部を張り出した
おそらく日本中どこにもない、唯一無二の建築様式。
廃墟抜きにして、そのデザインは面白さに溢れている。
4
打ち捨てられ、朽ち果てていくコーラのケースの蓋。
何食わぬ顔でとぼけたロゴマークを見せる、NHKの電波局。
終わったものと、今を謳歌するものの
残酷な温度差。
5
3階張り出し部を側面から望む。
かつて、まだ壁がそれなりに残存していたころは
壁の四角い穴を、部屋の続きと思って踏み出すと
天国行きの「ヘブンズドアー」だった。
今は、壁そのものがない。
間違っても踏み出すことはしないだろうが
それ以前に床を枠で支える骨格自体、存在しない。
写真で見ての通りだ。
縦の骨組みは既に溶け落ちている。
弱りきった鉄骨に乗った、床の強度だけで
かろうじて形骸を保っているだけなのだ。
下手をすれば、床ごと落下して「Go To Hell」。
上が落ちてくれば、即席吊り天井だ。
踏み込むなとは言い切らない。自己責任。
但し、危険を認識・理解し、体重がそれなりに軽く
慎重かつ敏捷な身のこなしをもって当たれる方限定。
自分には、到底無理なことだった。
(7/1追記;その後のweb調査で、正面向きの壁面は去年の9月はまだ残存しており、12月の時点で壊滅。
岬側の壁面、その他わずかに残っていた窓と壁面も、この4月の時点では存在していたのに、2ヶ月経った今は全く影も形もない。
あまりにも急速な崩壊速度。
この構体は、既に力尽きていると言い切っていいだろう)
6
有名な、らせん階段。
上から見ていると、まさしく吸い込まれるが如く。
かつては深紅の床だったそうなのだが、近年の荒廃で
すっかり洗い落とされてしまったようだ。
手すりも急速に崩壊している。間違っても寄りかかってはいけない。本当にボロボロだ。
7
屋上に到達。
三本の塔と、突起物のレイアウトが面白いのだが・・・
一瞬、我が目を疑った。
霧で下界が全く見えなくなったのだ。
何処を向いても真っ白。愛車の姿も見えない。
電波塔のアンテナが横に並んでいるのが、かすかに見え隠れするだけ・・・
感覚が崩壊していく。
俺はいま一体、何処に迷い込んでしまったのだ・・・??
廃れゆく建造物とともに、異界を浮遊しているかのようだった。
耳に流れていたBGMは、「廃獄ララバイ」
ご存知の方どうぞ。そうでない方、ググってみて下さい。
8
予想を遥かに超える体験を残し、この物件を後にする。
まだだ。
まだ、本来の目的を果たしていない。
この建物から望む「最も澄みわたる空と海」を
この目に、このカメラに刻み付けるまで。
この建物が、それを見下ろす高台に
誇らしげに屹立していた証しを、刻み付けるまで。
その日まで・・・どうか、無事で・・・。
タグ
関連リンク
[PR]Yahoo!ショッピング