
昨年の秋、今年の春に続き、多国籍多車種ツーリングに参加してきました。
参加車両は4ヶ国・8メーカー・12車種・13台で、目指すは万座温泉。
しかし、今回の目的は温泉は二の次で、メインは参加された皆さん(の中の一部)との性能比較。(バトルとも言う!?)
そのお相手は、ロータス・エキシージMK1、BMW・135i改、BMW・Z4-3.5i改。
(もう1台ロータス・エリーゼも同じグループで参加していたのですが、同乗の奥様を気遣って実力は発揮されず。)
純粋に”走る”ことを目的に生まれてきたレーシングカーと、怒濤の力を秘めたチューンドモンスター達。
どちらも本来はストリートに解き放すべきではないと思える程の化け物。
そしてそれらに挑もうとしているのは国産旧車。
車の性能では足元にも及ばないこと、相手になるはずがないことは百も承知しているが・・・。
そもそも勝った負けたの戦いをしたい訳ではなく、如何に自らのポテンシャルを引き出し、化け物達と「戯れる」ことが出来るか。
それぞれの持ち味を知ることが出来るか。
そしてその世界でしか味わうことが出来ない「楽しさ」を感じることが出来るか。
前回・前々回の同ツーリングにて不完全燃焼気味だった私は、楽しみと不安が入り交じった複雑を持ちながら、この日を待ちわびていました。
そして当日・・・。
集合場所へ集まってくる猛者達とR31を見較べると、やはり場違いな印象。
どう見ても近寄りがたい雰囲気の集団の中に混じってしまった一般車。(笑)
参加者全員が集合し、いざ出発。
今回は135i氏のご配慮(?)で、多くの区間でエキシージの直後を走行させていただいた。
今回設定されたコースの多くは、低速~中速のかなり厳しい状況もある様々な峠道。
その全てで猛烈な速度でコーナーへ飛び込んでいくエキシージ。
何というクイックな動きとコーナーリングスピードの速さだろうか。
以前試乗させていただいたときにその片鱗は体験させてもらったが、やはり自分の感覚では理解に苦しむ程。
これがロータスF1の血統を色濃く残すライトウエイトスポーツの神髄か。
そして背後から無言の圧力を掛けてくるBMW×2。
暴力的な立ち上がり加速は、どうあがいても太刀打ちできない。
しかもエキシージに引けを取らない程のブレーキング力も持ち合わせており、モンスターの速さを改めて思い知らされる。
タイプは異なるがどちらも速い!
速いのはもちろん車の性能だけではない。
それらの車は誰でも扱いきれるような生易しい物ではない。
それを十分に操ることが出来る腕やセンスがあってこそ、この走りがある。
決して無謀なことをしているわけではない。
全てが手の内にある。
運や度胸だけに委ねるものは何もない。
そして互いにその状況を理解し、信頼出来る相手だからこそ出来る追走。
しかし、容赦なく自らのポテンシャルを発揮している3台は、そう簡単に追随させてはくれない。
相手が強ければ強いほど燃えるのが私の性分(←バカ?)。
自分と車に鞭を打つ。
コーナーの度に大きく傾き暴れる車体。
この日のために新調したSタイヤも、悲鳴や白煙を上げて滑り出す。
その姿は見る者を不安と笑い(?)に陥れる程だったらしい。
離れ・追いつきを繰り返しながらワインディングを駆け抜けていく。
しかし、どんなに頑張っても先行するエキシージとの差を詰めていくことが出来ない。
良い条件の区間でもほぼ一定の距離が常に残る。
あからさまに貼り付くことなど到底出来ない。
タイトなコーナーが続く区間では明らかに離されていく。
これ以上のペースアップはあまりにもリスキー。
だが、先頭を走る者のリスクは2番手以降とは比較にならず、その上で同じ速度以上で走っていると言うことは、車両性能の差を考慮してもエキシージ(を操るドライバー)の実力は一枚も二枚も上であることは明確。
ただ「すごい」としか言えない。
結局、そのような状態を幾つものステージで繰り広げてエンディングを迎えた。
終始エキシージとの差は縮めることが出来ず、そしてBMWに差を付けることも出来なかった。
普通に考えたら当然のことではある。
逆に大健闘?
今回のツーリングはとても楽しく充実したものだった。
帰宅後に感じたのは勝ち負けより、私もR31も精一杯頑張ったという満足感と、もうこれ以上は今の私とR31には出来ないだろうという脱力感。
ただ、R31には今まで経験がない程の無理をさせてしまったのは事実。
そして助手席にいた嫁さんにも同様に・・・。
座っているだけとは言え、相当ハードであったと思う。
家庭内暴力だと関係団体から苦情が来そうだ。
少し反省をしなければならないかもしれない。
自宅に戻り片付けをしていた嫁さんと、車庫で静かに佇むR31に「ご苦労様でした。ありかとう。」と声を掛けました。
今、客観的に今回の状況を考えると、唯一無謀だったのは走り自体ではなく、化け物達にR31で挑もうとしている自分の姿だったのだろう。
それでも生まれて23年が経過しているR31、しかもオーテックと言えどもノーマルがここまで頑張ることが出来たこと、まだまだ捨てた物ではないかなと思う。
今回のツーリングは、私とR31との良き思い出として私の心に残っていくでしょう。
あちこちに「老化」が見え隠れするようになった車体だが、細々と治しながらこれからも相棒として連れ添っていこう。
そして・・・
化け物のようなマシン達とそれを自在に操るドライバー達に巡り会えたこと、そしてそれらと大好きなR31で戯れることが出来たこと、とても幸せに思う。
感謝。