からけんのブログ一覧

僕は、幼稚園に行くようになるまでほとんど家を出たことが無かった。

親は、人に自慢するため8ミリ（フィルム、サイレント）映写機で僕の映画を作った。親は僕に服をきれるだけ着せた。理由はよくわからないが、その頃は、服や靴は満足になく、これも自慢の一環だったんだろう。

おかげで炉心溶融が開始され。足元から体内のウランがもれた。熱中メルトダウン症だ。


今、8ミリを観ても懐かしくもなんとも無い。父親はめかけのところに行きたくて心ここにあらずだったのに、今頃になって、誰もまねできないことをしてやったと恩に着せる。母も自分のやりたいことをして一回も食事を作ったことは無かった。

自制心の無い弟達にはいつまで遊ぼうと何をしようと道徳規範を示す人はいなかった。当然バカで利己的な人間になる。



あるクリスマスの日、哀れに思った近所の人が赤い三輪車をプレゼントしてくれた。

僕はこれで庭を乗り回すのが楽しみだった。　





バラ園のドームをくぐり、狭い道に張り出す連翹の枝がぱちぱち体に当たるのが楽しかった。いつもモルモット小屋の前で一休みをした。川原からモルモットが好む草をもってきて与えていた。

バラ園の木製支柱は家が建つほど大きかったのでそれを伝って屋根に上り一番上に行き小便をした。


こういう日々だったので友達なんか必要ない。自然を観察し、親はカネを惜しんでいたが、せがまれていやいや図鑑を買いあたえた。図鑑はなんでも知っていた。それと岩波の科学の辞典。

だから幼稚園で貼紙、お絵かき、お歌、お泊り保育･･･そんなもの一切が苦痛だ。


僕はそのままの精神で大学を出て就職した。

僕は群れて集まり楽しむ人を非難しない。バカだというだけだ。だから人と馴染まない僕をバカだと言って結構。互いに個性として違うものを認めようじゃないか。





僕は社会人になっても続く「お泊り保育」が嫌いだ。宿泊研修ともいう。効果は少しある。お互いの壁がなくなりコミニュケーションが容易になる。愛社精神が高揚し生産がUPする。・・・バカな、とってつけた理由は、無限に沸いて出る。ウソだ。

お泊り保育にすぐ同意する人は、極貧の生活環境で育ったので山の中の合宿所もヒルトンの香りがするのだろう。


僕は、貧困な精神たちに囲まれて育ったが、僕の部屋、僕の庭、そして僕の赤い三輪車。は、権力に集る（たかる）気違いより遥かにまともな世界だった。

そうだろ。バラックで社歌を歌って何の品性が陶冶されたか。





余談。

どうもモルモットの数が合わない。増えるときは父親がどっと学校から持ってきた。そのうち、しだいに減るのだ。

我が家の貴重な蛋白源になっていた。