からけんのブログ一覧

初夏。まだ梅雨前線は遠い。

この時期が日本は一番過ごしやすいと思う。

麦秋。





僕は頑張ってこの冬は暖房なしで乗り切った。なんのために頑張っているのかわからない。特段、意味はない。意味はなくともやり通すと価値あることに思えてくる。

やり通すと、なんだかんだと意味をつけたくなる。例えば、SDGsとか、体を鍛えるとか、清貧とか。実のところそれらは取ってつけた正当化。

でも寒くなる前に、石油ヒーターは子供にやった。俺は暖房なしで冬を乗り切るのだ。とにかく頑張るのだ、と。



でも、ちょうどよい季節になって実感した。

寒いよりちょうどよいのがいい。

我慢は体に悪い。

よい季節は楽だな。当たり前。　今、麦秋。

麦秋はウクライナ色。

日本人は意味がなくてもこつこつ頑張るのに価値を置く。そもそも、この「頑張る」という言葉が曲者だ。「加油」という中国語よりはるかに精神的な意味が大きい。仕事がんばってるかいとか、じゃあまた会う日まで頑張ってねとかに「加油」は使えない。

そもそも韓国語には「頑張る」に相当する言葉はない。翻訳家仲間に相談したとき非常に言葉探しに苦労した。（力を出すとか、熱心とか、fightとか、勝て~とかであり、「頑張る」でくくられる単語はない。）

一方、日本人は、「頑張る」が好きだ。



僕はある学校に転勤したとき、学校新聞の取材を受けた。

どこの大学の出身ですか。結婚していますか。どんなタイプの女性が好きですか。・・・そんな普通の自己紹介の質問。

その質問の一つに、「好きな言葉は何ですか」。これ、どこの職場に行っても聞かれる。一つの儀式の言葉。

そこで、たいていは努力とか根性とか忍耐とか・・・。とにかく「頑張る」系の言葉を言っておくのが無難。だが面白くない。回覧板みたいな新聞になる。

僕は、「棚からぼた餅」と答えた。今なら検閲されて削除される。福岡県はファシストが教育をしているから。



でも、よく考えろよ。素敵な言葉じゃないか。これがだめなら、「濡れ手に粟」。こんなぼた餅や粟ならだれでも歓迎するはずだ。

人の心の神髄を表現している。こんな言葉を好まない人はいない。日本語の豊かさがもたらすひそかな喜び、思いがけない愉快さ、至福。



コツコツ努力。頑張る根性。へこたれない忍耐。

そんなもん、しないで済むならしないでおきたいものばかりだ。

宝くじに当たりたくない人は変態だな。


むしろ現実がしんどいからこそ、落ちてこないぼた餅に期待するのだ。そうしないとやってらんない現実があるのだ。

ということは、口に出さなくともみんな限界ギリギリで頑張ってるんだと思う。