からけんのブログ一覧

落日の仁川（じんせん、인천、インチョン）。希望は無い。あるのは灰色の工業団地と優れた官僚。


ここからバスは空港まで80キロ/時で走ったが1時間50分かかった。生活のにおいのするものは無く、あるのは何千人を詰め込んだ大きな工場という檻だった。

いっくら貰ってもここで働くのはごめんだ。

明洞（ミョンドン）も仁寺洞（インサドン）も東大門も南大門も寂れてはいたがバカがカネを捨てるのでそれなりににぎわっていた。

仁川工業団地に観光客は来ない。

観光立国とか、かつて世界最高のrising sunはいうが、この国はバカな大統領をかかえつつも最高の、おそらく世界最高のテクノクラートを持っている。ここの技術官僚は頭が良いだけでは勤まらない。弁舌と腕力だ。




この弁舌と腕力がスピードを生む。日本には無い。だから出遅れる。韓国が拙速に走ることはたしかにあった。そのときはやり直せばよい、という考え方だ。なぜならそれでも日本より速いから。


日本の1/5の給料で働き、民間のスカウトにも応じず、ひたすら仁川港のグランドデザインを描く公務員がいる。

この地平線が見えるほど広い、退屈な、殺伐とした、人影の無い、工業団地は、彼ら官僚が得た勲章である。ものがよく見える人が見たら、ここの怖さがわかる。物流、用水、電力、労働力、工場配置、規模・・・

日本からの視察団は能力がありながら、恐ろしい競争相手になることを誰も具申しない。30年前のことだ。同行した僕は言った。「日本は負けるよ」　僕は笑い物になった。


いまやもう遅い。



（下の画像は仁川工業団地のものではありません）