18歳で免許を取り、最初に乗った車は姉のスターレットでした。
NAの1300のなので速い車ではなかったのですが、軽快に走って楽しかったのを覚えています。
この頃は、ただ車を動かすだけで幸せな日々でした。
それから数年後。
就職が決まり、田舎なので通勤に車が必要になりました。
そして初めて買った
通勤車は、サバンナRX-7(FC3S)です。

初任給を貰う前に、親ローンで買うという荒技を披露。
周囲に呆れられていたのは、たぶん気のせいだと思います。
納車初日に先輩に連れられてチューニングショップに行くと、なぜか中古のアルミホイール一式を装着して帰路に着きました。

最初の支払いを待たずしてWローンです。
ローンの審査も摩訶不思議ですが、そんな事より、いきなりハコテンの大ピンチです。
それから、なんとかぶっ飛びだけは免れる日々を過ごすものの、お金がなくて満足に走れない状況に陥りました。
ふと車を見るとマフラーが成長して肥大化し、ボンネットの中には毒々しいキノコが自生しています。
とても不思議です。
上手くなりたい。
その一心から乗換えを決意しました。
だって、ガソリン代がなくて満足に走れないのだから、上手くなるとかそういう次元じゃないわけでして…。
そして選んだのがAE86のトレノでした。

RX-7やハチロクと言うと、決まって「頭文字Dの影響?」と聞かれましたが、その度に「あっちが真似したんだよ!」と瞬間沸騰の若き日々。
このパステルブルーのハチロク。

一通り仕上がってる車を買ったので、給料をそのままガソリン代に注ぎ込む事が出来るようになりました。
パワステがないので、タイヤのグリップ変化を感じ取る勉強になったと思います。
パワーウインドウがないので、窓を閉める手の回転が鍛えられました。
エアコンがないので、季節の変化に敏感になりました。
一時期は助手席すらありませんでしたが、何も問題はありませんでした。
そして数え切れないほどスピンもしたので、少々滑ろうが、空を飛ぼうが動じない精神力と技術だけは身に付きました。
ただ、今にして思うと、あんな下手クソな運転で死ななかったのが、むしろ不思議で仕方がありません。
俺様最強wwwwwもっと速い車にノセロwwwwwwwww
そんな勘違いを始めた頃、それは起きました。
元々このハチロク、コーナーで強い横Gが掛かるとルームランプが点灯する「フレキシブルボディ」という独自仕様があったのですが、
コーナリング中に突然ストールする(※ブローではない)という荒技を習得しやがりました。
これはマジで死ねますからやめて下さいお願いします。
まさか車に無理心中を仕掛けられるとは思いませんでしたが、この車で得た経験値は大きかったです。
さて次の車ですが、これに関しては全く迷いがありません。
そう、今度こそ FC3S RX-7 で天下を取る!
そして購入したサバンナRX-7(FC3S)

通称:白い悪魔
スロットルセンサー不調で安定しなかったり、メタリングポンプ不調で吹けなくなったりするのはまあ
REだから当然として、電装系が次々に死ぬのが厄介でした。
他にも小雨だとワイパーが途中で止まったり、パワーウィンドウが人力の介護(指で引き上げ)を必要としたり、ついにはスイッチが割れて窓が閉まらなくなったりと、多種多彩な芸を疲労もとい披露。
それでも多大なる愛情を持って乗っていたのですが、冬場の朝は毎日が儀式。
エンジンが掛からないのは当たり前なので、早起きしてプラグを外してライターで火あぶり。
するとどうだろう。
マフラーからの盛大極まる白煙で、周囲は霧に包まれし
桃源郷の如く…。
なんということでしょう。
しばらくして当然のようにブローしました。
まさに
悪魔の如き金喰い車です(号泣)
でも、そう間単には諦められません。
この車には
大 金 が掛かっているのです。
それに何より
大 金 がローンで残っているのです。
そもそも買い換える金なんぞ全くないわけでして、50万円ジャスト(ローン+1)でリビルドエンジンお買い上げです。
ローンのついでに外装も大幅リファイン。

いわゆるひとつのハッタリ仕様。
FD3Sへの憧れ?
そんなもん、初めて雑誌で見た瞬間からフォーリンラブです。
世界一カッコイイ車ですもの、ええ。
しかし如何せん高いのです。
腎臓でも売らない限り買えそうにはありません。
それに、FCでFDに勝つってカッコ良いじゃないですかあ(※理想)
そんなある日、FDに試乗する機会を得ました。
しかし、仕様は完全ノーマルのお子ちゃま車両。
チューン・ド・FC乗りの俺様(※しかも最強)が満足出来るかは微妙です。
そしてそのFDとご対面。

カッコイイ。マジで。そして速い。アクセルを踏むと走り出す。マジで。ちょっと感動。
というかマジで速い。
それに何より、真っ直ぐに走って真っ直ぐに止まる!
高速域での強めのブレーキ=ドリフト発生装置ではないという事実に、とてつもない衝撃を受けたのです。
それからは、もう…。
なんともいえない、やり切れない気持ちを打ち消すかのように走り込みました。
強敵との戦いを避け、弱い者虐めに励む日々。
そしてついに、自他の自に於いて最強の座に着いたのです。
しかし。
奥義オーバーレブ。
最終奥義450度ターン(追加効果:エンスト)を多用した結果、ついにFCに限界の刻が訪れようとしていました。
バリッ!バリッ!バリッ!バリッ!バリッ!バリッ!バリッ!
「このFC、凄い良い音してますね~、ペリ仕様ですか?」
ペリフェラルポート。
それは究極のロータリーチューン。
耐久性を犠牲に、限界までパワーを引き出す諸刃の剣。
低速トルクは犠牲となり、クラッチミートしても動き出しまでにしばらくかかる。
この官能的な独特の排気音と、街乗りで扱いに悪戦苦闘する姿を見れば、誰もが相当なハードチューンを想像したと思います。
しかし…不思議なことに、実はペリ仕様ではないのです。
排気音が前から聞こえるのも摩訶不思議。
おまけに臭い。
目がショボショボする。
のどが痛い。
窓を閉めて、エアコンを外気導入にすれば、意識が薄れて……だんだんと…気持ち良くなって………………逝く。
完璧な
排気漏れです。
これは触媒レスの直管マフラーどころの話ではありません。
エンジン腰下直下の大気開放!
病み付きになりそう!!!(そして死ぬ)
ショップの人曰く
ガスケットが抜けてるわけじゃなさそうやねー
たぶんどっかでなんかが逝ってるわ~これ
…どっかでなんかって、あんたそれでもプロかよ(泣)
ペンは剣よりも強し。
そう、ペンと印鑑さえあれば、お金なんかなくても、そして剣で店員を脅さなくても大抵の車は手に入るのです。
ボーナス併用ナシの60回払い。
そんなショウモナイ言い方もあるみたいですが、何はともあれ憧れのFDオーナーには違いありません。

例えローンが3件同時進行だからといって、それが一体どうしたというものでしょう!
ここからはちょっと真面目なお話。
FD時代は、どうしようもない程に悲しいこともあったのですが、それを含めても人生で最も充実した時間を過ごしたと思っています。
やりたい事は全部出来たし、自分の限界がどの程度かもわかった。
それにFDほどに命を預けて走れる車は、もう二度と出会わないと確信が持てた。
走りを通して得たもの?
速く走る方法とか聞かれても、そんなの答えられるほど上手くも偉くもないです。
ただ、負けを受け入れられる人は、絶対に速くはならないと思う。
だから、限界を受け入れたこの時点で、もう自分の中で走りに対する追求は終わったんです。

いろんな想いを断ち切るためにも、FDを手放すと決めた時、同時にもう二度と全力では走らない事を決意しました。
もう走らないとか言っても、田舎なので車がなければ仕事にも行けません。
雑誌を眺めていて目に止まったのが、中古のスターレットグランツァS(AT)でした。
原点回帰ですね。
免許を取ったあの頃みたいに、ただ走るだけで楽しめたら良いなって。
納車から半月、台風による高潮で水没しました(死亡確認)
短命過ぎて写真すらありません。
大急ぎで次の車を探した結果、某大手のコンパクトカーで、一般大衆車のスポーツグレード(AT)を中古で購入します。
これはアレなので名前は伏せます。
それにしても、もうどうしようもないクソ…じゃなくアレでした。
おかげさまで車や運転に対する興味が完っ璧に消え失せ、空白の一年が始まりました。
ここから約一年間、自分の運転では一度も県外に出ないほどの重症です。
きっかけは何だったか。
記憶が定かではないけど、いつの間にかコペンに興味を持つようになっていました。
オープンカーで海岸線を走る…なんかええやん。
車好きなら一度は憧れたことがあると思います。
なので買いました(即決)
アホみたいに改造費さえかけなきゃ、お金なんぞ腐るほど貯まるわけで(成金)
そしてドバっと全部使ってまた貧乏(阿呆)
コペン(AT)は決して速い車ではないのですが、ただ走らせるだけで楽しい車でした。
誤算があるとすれば、海岸線は気持ち良さと引き換えに潮風でベトベトになる事。
山道を気持ち良く走れば、トンネルの度に息止め大会+天井から滴り落ちる水でヒイィ…な事ぐらいでしょうか。
ところで何故写真がないのか。
当時使っていたノートPCと、バックアップ用HDDが同時にご臨終という奇跡的なコラボ。
CD-Rに焼いていなかったデータは、永遠に失われてしまいました。
このコペンに感謝したいのは、再び走る楽しさを思い出させてくれた事です。
命やプライドを賭けて走らなくても車は楽しい。
しかし、こうなると今度は再びMT車に乗りたくなってきました。
コテコテのスポーツカーも良いけど、そろそろジェントルマンな車にも乗りたい。
そうして選んだのが、BL3FW型 マツダスピード・アクセラでした。

まあ、なんてジェントルマンなお顔。
購入と同時期に、みんカラとかいうSNSを発見。
興味のあるグループがあったのと、記録簿的に使おうと思って登録します。
それから間もなく、一通のメッセージが届きました。
…愛媛県のソウヤ?
どうやらブルーのアクセラ乗りで、LEDの電飾が趣味のようです。
たまに会社の人達と峠で走り屋ごっこをしているようで、なんとも微笑ましい。
そう思っていた時期が私にもありました。
To Be Continued