いい加減な製作日記なのに最近急に閲覧数が増えたので、改めて作り直した製作日記を更新しています。
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ヒマが出来たらやってみたかったコトに、地デジアンテナの強化があった。
高周波関係は苦手といいつつも、ネット上を散策して各種文献を読み解く程度の理解力はあるんだが、毎回行き着く先は「で、結論としてクルマの窓ガラスに貼る地デジアンテナはどんな形状が一番良いのか?」
標準装備されているモノを始め、リプレイス用の市販品などでも様々な形状がある。
とりあえず主流っぽいのは、なんかフォークみたいな形状に太いグラウンドプレーンみたいなのが付いてるパターンの奴か。
保安基準など各種法令をクリアしながらも、出来るだけ感度が上がる様に吟味されたもんだろうから、素人がこれ以上改善しようとしても無理なんだろう。
じゃあそういった束縛から逃れて、効率を優先したアンテナにすれば何か変わるだろうか。
そう思わせるキッカケになったのが「ヘンテナ」である。
変なアンテナ=ヘンテナと、ふざけたネーミングとは裏腹に、安価かつ簡易に製作出来て非常に強力な性能は、まさに知る人ぞ知るアンテナである。
詳しくはウェブで(笑)
しかし現在装着しているフィルムアンテナを、自作のヘンテナで代替するには幾つか難点がある。
・通常のフィルムアンテナの場合、小型ならエレメント長が10cm程度のモノが多いのに対し、ヘンテナは長方形のボックス形状で面積を取る上に、長辺部分は1/2波長を必要とするので、地デジ用途では長辺が30cm前後と無視できないほど大きくなる。
・ヘンテナは針金でもパイプでも導電性金属であれば材料を問わないのだが、窓ガラスに貼り付けるフィルムアンテナの代替として考えると、非常に細いワイヤーを使用するしか無い。しかしそれだと固定の仕方が問題になるし、既存のアンテナ端子との接続にも工夫が必要となる
理想としては「4ヘンテナ・4チューナー(笑)」を目指したかったのだが、フロントガラスにヘンテナでは運転者の視界を遮る可能性があり、そもそも保安基準上等!なクルマになってしまうので、2ダイポール/2ヘンテナのハイブリッドで攻めることとした。
こととした、のは良いのだが、アンテナのエレメント素材に何を使うか。
困った時のハゲオク、キーワードを工夫して探してみると見つかった。
自作オーディオ用途として出品されていたが、本来はシールドなどに使う「
銅箔粘着テープ」とかいう商品で、ちょうど欲しかった3mm幅だ。
なんで3mmかと言うと、フロントガラスのダイポールアンテナにも使うなら、出来るだけ細い方が視界の邪魔にならなくて良いのだが、アンテナの効率はエレメントの太さ(断面積?)に影響されるし、アンテナ端子との接触を考えるとあまり細くては設置も取り付けもシビアになってしまうし接着面が少ないと剥がれやすいし。
5mmは太すぎるし1mmとかじゃ心もとないから、2/3mmのモノは無いかと考えていたワケだ。
3mm幅/0.03mm厚と、まさにストライクなブツがあったので、20m巻300円というバーゲンセールと定形外発送可に勢いづけられて2巻も買ってしまった。
毎年アンテナを作り直しても、先にシエンタの寿命が来そうなほどの在庫である。
まずはノーマルのフィルムアンテナの状態で受信レベルを写真保存。

NHK奈良:74
Eテレ大阪:80
毎日放送:83
朝日放送:83
関西テレビ:85
読売テレビ:84
奈良テレビ:51
NHK大阪:84
京都に出かけた際に備えてチャンネル登録してあるNHK京都とKBS京都は10%以下のレベルで受信不可能。
以前は30%程度ほどあってワンセグ受信がギリギリ可能だったのだが。
フィルムアンテナの配置等は
過去のブログを参照の事。
さて。
現状で4つある全てのフィルムアンテナを剥がしてしまうと、結果がダメダメだった場合に大変な事になるので、まずは練習も兼ねてリアのクォーターガラスに貼ってあるフィルムアンテナをヘンテナで置き換えてみるコトに。

もう機能美としか表現しようが無いほど威風堂々としている。
ヒシャゲた様に見えるがパースによる歪みとレンズ自体の歪みによるもので、実際にはキチンとした長方形である。
中央の給電部分はアンテナ端子に合わせて微妙に斜めに配している。

純銅のテープなので、接合部分はハンダ付けが出来る。
この裏面に粘着剤が塗布されたテープが存在したおかげで「フィルムヘンテナ」が可能になったワケだ。

外から見た様子。
クォーターガラスはスモークなので日中は目立たないんだが、日光の照射方向や角度により、オレンジ色のテープが浮かび上がる場合もある。
まあ知ってる人は「お!ヘンテナじゃん!」だろうし、知らない人にはナンか宗教絡みの怪しげな紋様に見えるかも知れない。
左右両方のリアアンテナをヘンテナに換装し終えて、まずは受信チェックしてみた。
何も変化なくフツーに映っているんだが、フロントガラスのフィルムアンテナ2本が頑張っているだけかも知れない。
なのでフロントのアンテナ端子を外して、リア左右のヘンテナのみにしてみた。
全く問題なく映っている。
とりあえず受信レベルを調べてみる。

NHK奈良:74→82
Eテレ大阪:80→76
毎日放送:83→82
朝日放送:83→83
関西テレビ:85→80
読売テレビ:84→85
奈良テレビ:51→62
NHK大阪:84→81
NHK京都:→20
KBS京都:→31
ヘンテナ、すっげええ!(笑)
左右の1セットで、メインの各局は4フィルムアンテナの時と遜色なく受信してるし、送信出力の弱い地方局の奈良テレビも常時フルセグ受信出来てるし、遠隔地の京都の放送もワンセグで受信可能になった。
さすがにリアクォーターガラス左右だけでは車両の方位によって受信は不安定になるので、さっそくフロントガラスのフィルムアンテナも剥がして作業開始。

とは言ってもフロントはダイポールアンテナなので、真っ直ぐ2本貼るだけ。
ただし今回はアンテナ給電線のインピーダンス50Ω(のはず)に合わせる為に、アンテナの内角を120度としたインバーテッドVアンテナにした。
そのために電卓叩いたし(笑)

アンテナ端子を接触する点を位置決めして、そこから計算通りに油性マジックで下書き。
それに沿って銅箔テープを貼り、慎重にアンテナ端子を貼り付けたら片側完成。
それを左右で行って準備完了。
結果。

NHK奈良:74→82→76
Eテレ大阪:80→76→83
毎日放送:83→82→82
朝日放送:83→83→81
関西テレビ:85→80→82
読売テレビ:84→85→82
奈良テレビ:51→62→80
NHK大阪:84→81→80
NHK京都:→20→43
KBS京都:→31→42
メイン各局は大きな変動も無く、NHK奈良も75から80前後をフラフラ。
この辺りはフィルムアンテナの時から性能的にも電波自体も飽和してるんだろう。
激変したのは送信出力の弱い地方局と遠隔地局。
奈良テレビは最終的にメイン局と変わらないレベルになり、ワンセグに切り替わる事もほとんど無くなった。
NHK京都とKBS京都も、フィルムアンテナ時代には受信すらままならなかったのが、ワンセグは常時、フルセグでも受信できる時間が大幅に増えた。
安直な自作アンテナとして結果は大成功でいいんじゃないかと思う。
一応、今回の作業のキモの部分も幾つかある。
・4アンテナ全てを水平偏波に合わせた
基本的にテレビアンテナは水平偏波が大半で、奈良県全域をメインでカバーする生駒山送信所も水平偏波なので、運転時の9割は水平偏波エリア内のはず。
山間部や僻地などでは垂直偏波もチョロチョロとあるが効率が落ちるだけで受信が出来ないワケではないし。
・前後で目標周波数をズラした
Eテレと民放メイン局は13chから17chに集中しているのに対し、NHKとその他は23chから31chまで点在している。アンテナ長を決定するにはメインにする周波数帯を決める必要があるが、13ch(中心周波数473MHz)から31ch(同581MHz)までと幅広く、その中間を採用すると22ch(同527MHz)が目標周波数となり、結果的に実際に視聴するチャンネルがいずれもソコソコな、効率の悪いアンテナになる。
なのでフロントのダイポールは民放メイン局に絞った13chから17chの中間である15ch(同485MHz)をターゲットに、その波長(618mm)の1/4に短縮率を考慮した長さで製作(上の計算画像で148mmとなっているのはその為)
受信効率の良さげなリア左右のヘンテナを、目標22ch周辺に設定する事で全体の効率を高めた設計にした(つもり)
とにもかくにも自作で切り貼りしたアンテナにより、今まで以上にバリバリ受信出来ているのは事実なので、なんちゃって工作も捨てたもんじゃない。
実際に自宅近くの「絶対にフルセグからワンセグに切り替わる魔のスポット」でも、最近は5回に1回ぐらいしかワンセグにならなくなった。
もっと色々な形状とか、効率を高める実験をしたかったのだが、もういいや(笑)
残る問題点はフロントの120度インバーテッドVアンテナが、モロに保安基準に引っかかる事なのだが、銅箔テープはまだ37mぐらい残っているので車検の度に148mmの銅箔テープを4本貼り直すだけだし。
まあそのうち保安基準適合を狙って90度Vアンテナにしてみて受信レベルを見てみようか。
とりあえず一旦休憩だ。
オマケ
フロントアンテナをドライバー視線で見るとこんな感じ
慣れるまで結構気になる(笑)