
さて、事前にハーネスを製作し、パワースライドドアに換装し、内外装の入れ替えも終わり、アウト/インサイドハンドルとコントロールスイッチでの作動も確認し、残る課題はワイヤレス制御のみである。
で、念押ししておくのだが
ウチのシエンタは純正と同じ仕様にはせず、独自の方法でワイヤレス対応したので、他車には参考にならない。
それだけだとソッケないので、
推測による手順解説だけ。
その前に1つだけ。
中期型以降の車両のハーネスを見た事が無いので、もし運転席側パワースライドドア非装着車であっても、JH1/JH2カプラーが設置されていて、配線も全て装備されているのであれば、不要な作業である。
んなコトは無いと思うけど。
まず前提条件として、
下調べ後編で書いた様に、ドアコントロールリレー(ボディコンピュータ)が85980-52270であること。
絶対条件である確認は取れていないが、運転席側パワースライドドア装着車に使用されていると確認出来るのが、この品番のみであるからだ。
で、配線自体は非常に簡単であるが、作業は難易度が高いかも知れない。

スライドドアに内蔵されてパワースライド制御全般を統括しているクローザーコンピュータと、ドアコントロールリレーとを1本の配線で接続する、これだけである。
これが
配線製作編に書いた「開閉要求信号」線だ。
たった1本の配線を繋ぐだけなので配線自体は簡単。
ただ、ドアコントロールリレーはインパネ上部を開けないとアクセスできないので、作業難易度が高いのである。

しかしバブル景気頃のクルマと違い、今のクルマは比較的構造が簡単。
インパネアッパーは数本レベルのボルトを外すだけで開けられ、修理書さえあれば30分ほどでドアコントロールリレーに辿り着けるから、正確に言えば手間がかかるってコトだ。
配線図にもある様に、運転席側パワースライドドアへの開閉要求信号線はドアコントロールリレーのカプラーの24番ピンである。

内側のピンは040型と書いてあるので、車両ハーネス側はメス端子であることから
コレで挿せるはずである。
配線製作編で+B線と共にインパネ内部に引いていたドアコントロールリレー用の配線に、この端子を圧着し(空きになってるはずの)カプラーの24番に挿せば、ワイヤレス対応が完了である(ハズ)
んで、こっからはウチのシエンタの場合。
先にも書いたが、ウチのシエンタは前期型なのでドアコントロールリレーが運転席側パワースライドドアに非対応である可能性が高い。
それにわざわざパワースライドドア対応品番(85980-52270)のドアコントロールリレーを購入するのも費用がかかるし、そもそもハゲ競売に出てねえし。
すでに
コレがあるんで、配線を追加してプログラムを両側パワースライド対応に書き換えただけ。
開閉要求信号線の代わりに、パワースライドドアコントロールスイッチを「押したことにする」配線を、今までの助手席側に加え、運転席側スイッチにも追加して制御。
タイトル画像は桃/青の配線を基板に追加して、テストした際の写真である。
純正仕様の場合
・ワイヤレスリモコンのパワースライドボタンが押されると、キーIDとボタン種別が無線送信される
・ドアロックレシーバーが受信し、登録されたキーIDと照合されればドアコントロールリレーにボタン種別を有線送信
・ドアコントロールリレーが受信し、当該ドアのクローザーコンピュータに対し開閉要求信号を有線送信
・アンロック状態で信号が0.9秒以上継続すればクローザーコンピュータがパワースライド動作を開始
ウチの場合
・ワイヤレスリモコンのパワースライドボタンが押されると、キーIDとボタン種別が無線送信される
(同じ)
・ドアロックレシーバーが受信し、登録されたキーIDと照合されればドアコントロールリレーにボタン種別を有線送信
(同じ)
・その通信を自作回路で一旦トラップ
・ドアロック状態なら、先にドアコントロールリレーにアンロック信号を送信し、ドアロックレシーバーからの正規通信と勘違いしてドアコントロールリレーがアンロック制御
・アンロック状態である事を確認して自作回路がパワースライドドアコントロールスイッチを押された事に制御
・スイッチ押下状態が0.5秒以上継続すればクローザーコンピュータがパワースライド動作を開始
開閉要求信号線を使わずにコントロールスイッチで開けているワケだ。
そうして最後に残る課題は、ワイヤレスリモコンをどうするか。

シエンタに純正採用されている中で、最もスタイリッシュなのは4ボタンタイプのワイヤレスキー。
ただしコレは
スマートエントリー装着車かつ両側パワースライド装着車のみに採用されていて、
「恐らく」登録して使うコトは出来ると思うのだが、そもそもハゲ競売でも人気がある様で高価だ。
万が一、登録できなかった場合にはシャレにならない(スマートエントリー装着の場合、レシーバーも専用品になるので確認が取れない)
スマートエントリー非装着車で両側パワースライド装着車の場合には、2ボタン(ロック・アンロック)タイプのワイヤレスキーと、2ボタン(L・R)タイプのパワースライドリモコンになる。
なので、ウチの現状の3ボタンタイプ(ロック・アンロック・助手席側パワースライド)のキーに、2ボタンタイプのパワースライドリモコンを組み合わせるのが手っ取り早い。
ってコトで、ハゲ競売で嫁の分と合わせて2個落としてみた。
人気のある4ボタンタイプのキーが3000円前後で競られているのに対し、パワースライドリモコンは送料無料で500円程度だし、数も豊富だ。
色々な車種用として出品されているが、んなモン車種ごとに専用コードを使ってるハズも無いので(笑)、1つはエスティマ用、もう1つなんかナニ用か判らないモノを買った。

気を付けないといけないのは、全く同じ形状のドアロックリモコンがあるコトだ。
間違って買うと眼も当てられないので注意(笑)
まずはドアロックレシーバーに登録できるかどうかの確認から。
例の隠しキャラ出現コマンドの様な手順で、新たに1から登録し直す「書換えモード」にて登録開始。
先に既存の3ボタンキー2本を登録し、続けてパワースライドリモコンも無事に登録完了。
「確認モード」で調べると、ちゃんと登録数は4になってる。
この段階で、助手席側パワースライドドアは3ボタンキーでもパワースライドリモコンでも、どちらでも開閉可能。
逆に運転席側パワースライドドアは先述の開閉要求信号線が繋がっていない(と言うか、そもそもドアコントロールリレーが運転席側に対応していないはず)ので、そのままではウンともスンとも言わない。
キーの登録が出来たので、ハンディオシロを繋いで通信データの傍受に。
やはりレシーバーは対応している様で、信号が出ていて安堵した。
以前は
obZenさんのトコで詳細が説明されていたので省略したが、ドアロックレシーバからドアコントロールリレーに送信されるボタン種別のデータは、
LOCK:1111010011
UNLOCK:1111001011
PSD_LH:1111011010
PSD_RH:1111000111
である。
3mS/bit、つまり333bpsという異様に遅いシリアル通信で、10ビットのボタン種別データが、ボタンを押し続けると連続して流れる。
1データ毎に間に「0」が挿入されるので、時間軸では11ビット間隔となる。
頭の「11110」は送信開始の合図の様なモノで、受信機器がスリープ状態でも十分に立ち上がれるような時間設定なんだろう(実際にウチの回路もスリープ復帰に使用している)
実質的なボタンデータは5ビット構成である。
このデータをプログラムに追記して、ワンタッチドアロック・ワンタッチスライドオープンにも対応し、ようやく運転席側パワースライドドア換装計画は完了した。
今後ますますパーツ市場に上質なパワースライドドアが流れ込むと思うので、オークション等でチェックしてみて同色ドアを見付けたら野望に突き進んでみてはどうだろうか。
安心してください、結構大変ですよ!