2013年05月27日
AE86のクロスミッションについて
今回は、少しマジメな話を。
AE86用のクロスミッションについて、今回は少し語らせていただこうかなと思います。
クロスミッションとは、自動車のトランスミッションに使用するギアの交換パーツで、各ギアのギア比を接近させる事で変速時の繋がりが良くなります。
大きな効果としては、主に加速が良くなりパワーバンドを保ちやすいという点が挙がりますが、これはパワーやトルクで不利な小排気量車や、過給機に頼らない自然吸気(NA)エンジン車にとっては非常に有効なパーツです。
非力と言われているAE86でも、色々なメーカーやショップでクロスミッションが販売されており、速くするための有効な手段としてエンジンチューンと並び評価される事があります。
個人的には、AE86にとっては最強の武器になるとも考えています。
クロスミッションの有効性を分かりやすく説明する方法としては、車体を自転車、エンジンを人間の体力に例える方法があります。
自転車で走る時、重いギアだと発進時や登り坂だとペダルが重く感じてしまい、体力的にも辛くなかなか登る事が出来ません。
こんな時、軽いギアに変速してやると発進や登り坂は非常に楽ちんになりますが、平地でスピードを出したい時はペダルが空回りしてしまいなかなか進みません。
発進や登り坂で負担が掛かる時は軽いギア、平地で楽に走りたい時は重いギア、こんな風にギア比にも有効な場面があり、クロスミッションでは車の持つエンジンのおいしい回転域を有効に活用する事が出来ます。
クロスミッションと似た方法で、ファイナルギアを変更する方法もあり、こちらも非常に有効な手段です。
例えば、「登り坂で時速50km時に4000rpmだとちょっとかったるいかな」と思った時に、ファイナルギアを変更してやると同じ速度でも5000rpmにしたりする事が出来ますが、最高速度は落ちますしスピードメーターも狂います。
逆にパワーに余裕のある車では、ファイナルギアを小さくする事でギア比を高くして最高速度を稼ぐ方法もありますが、加速が悪くなるので非力な車では注意が必要です。
あと気を付けなければならないのは、回転数毎の速度は確かに変わりますが、ファイナルのみを変更しても変速時の回転数自体は変わらないという事。
つまり、「2速から3速に変速するとエンジン回転数が落ち込んでしまい加速しにくい」というような問題だと、ファイナルのみの変更では解決出来ないという事になります。
こういった際に有効なのがクロスミッションで、ローギアード寄りに設定することで変速時の回転数落ちを防ぐ事が出来るようになります。

AE86用の各ミッションのギア比の比較表を作成してみました。
左から順に、純正のT50、TRDの3速クロス、TRDの5速クロス、ルート6のスーパークロス、KDXの5速クロス、KDXの3速クロス、リボルバーのAタイプの7種類があります。
この中で、ルート6のスーパークロスとKDXの5速クロスは、純正の4速ギアを1番高いギアとしており、純正5速のギア比を3速と4速の間に割り込ませることで非常に繋がりの良いギア比を実現しています。
これだと回転数落ちを心配するような状況はほぼ皆無になりそうですが、弱点も多くシフトパターンが変更になるのでシフトミスにまずは注意せねばなりません。
つまり、1速から徐々に変速していくとき、1→2→3→5→4というシフトパターンで操作しなければならず、ミスをしないよう慣れていかなければなりません。
特にシフトダウンをする時、通常のように4→3速にシフトダウンしようとすると、5速クロスミッションだと5→3速のシフトダウンになってしまいエンジンをオーバーレブさせてしまう可能性もあります。
他の弱点としては、4速が1番高いギア比なので最高速度が大幅に落ちてしまい走れるステージが限られてしまう、あとは全体的に回転数が高くなってしまい燃費で不利になってしまう、他には各ギア比が接近しているので操作が忙しいという点があります。
ちなみに、私はKDXの5速クロスを使っておりますが、シフトパターンの変更はあまり気にならずすぐに慣れました。
逆に他の車のマニュアル車で、間違えて3→5速にシフトアップしてしまう事があります(´∀`;)。
5速ギアが実質無くなってしまい回転数も高くなってしまうので、燃費が不利になってしまう点がありますが、KDXの5速クロスは比較表を見ても分かるように、1速のギア比が純正に近く発進しやすいというメリットがあります。
他のクロスミッションの中には、著しくハイギアードな1速ギアもあり、ファイナルギアでギア比を低くしないとまともに発進出来なくなりそうな物もありそうです。
特にTRDの5速クロスは、レース用の強化クラッチを入れたりしたら、純正ファイナルでは発進は極めて困難になってしまいそう…TRD5速クロスの1速は、ルート6のスーパークロスの2速よりもハイギアードだし(´∀`;)。
その点、KDXの5速ならファイナルギアも純正4.3のままで問題無しなので、手間も掛からないしスピードメーターも狂わずに済みます。
ざっと表を見てみると、TRD3速クロス、KDX3速クロス、リボルバーのAタイプは一見癖が無く扱いやすそうに見えますが、やはり1速がかなりハイギアードなので、強化クラッチを入れていたり坂道発進をする時にはかなり気を使いそうな気がします。
出来ればファイナルギアを変更したくなりますが、変更すれば当然スピードメーターは狂ってしまいます。
では、何故3速クロスだと1速をハイギアードにしなければならないのか?…これは多分、5速クロスと比べて変更しているギアの数が少ないせいだと思います。
5速クロスだと最高速を捨てている分、低速時の加速性を重視する事が出来ますが、3速クロスでは最高速は犠牲に出来ないので、1速をハイギアードにして4速までのギア比を少ないギアの枚数で接近させる必要があるからだと思います(そうしなければクロスミッションじゃないですしね)。
まあ、どのクロスミッションもギア比に癖があり、走るステージによって慎重に選択しなければなりません。
これを間違えると、ギア比が全く合っていないステージを走らねばならず、純正ギアよりも更に遅くなってしまう可能性もあります。
例えば、私のような5速クロスミッションでFSW(富士スピードウェイ)のレーシングコースを走っても、良いタイムが出るとは到底考えられません。
逆に、ショートサーキットのようなミニサーキットなら有効な手段になると思います。
そう考えると、純正のギア比がいかに万能かというのがよく分かるかと思います。
まあ、純正では役不足だから、走るステージに特化したクロスミッションを選択するわけですけど。
最後に、純正T50ミッションとKDXの5速クロスミッションの細かい表を載せておきます。

簡単に説明しますと、純正ギアで1速8000rpmでシフトアップした場合、2速4500rpmとなります。
一方、KDX5速クロスで1速8000rpmでシフトアップした場合、2速5700~5800rpmとなります。
明かにクロスミッションの方がエンジン回転数が上がっており、パワーバンドをキープする事が可能になり、これこそがクロスミッションの真骨頂だと思います。
でも何度も書きますけど、ギア比の選択は走るステージによって違ってきますので、諸刃の剣である事を注意していただきたいと思います。
ブログ一覧 |
自動車 | 日記
Posted at
2013/05/27 01:04:15
タグ
今、あなたにおすすめ