2014年01月13日
山着に使うソフトシェルの話
たまーに書き込む酔っぱらいのつぶやきです。
今回は、登山用ウェアのソフトシェルと言う物について書こうと思います。
で、まずはソフトシェルとは何ぞやという話になりますが、これがまた曖昧な位置づけのウェアだと私は思っています。
簡単に言えば、防風性や撥水性に優れた上着という事になりますが、似た呼び方でハードシェルと言うウェアも存在します。
ソフトシェルとハードシェルの違い…これは非常に明白で、風と雨を完全に防ぐのがハードシェルになります。
ハードシェルとして使われるのは、雨用のレインウェアが特に有名ですが、積雪期の登山で使われる冬用アウターのアルパインウェアと呼ばれるようなウェアもハードシェルになります。
その他にも、スキーやスノーボードのウェアでも使われているみたいです(私はやらないので詳しくないですけど)。
レインウェアはご存知カッパとも呼ばれる雨具の代表ですが、登山をするのに1・2位を争うくらい非常に重要な存在の物で、例えば山の上で雨に降られた時にレインウェアが無かったら、それは即命の危険に繋がります。
ゴアテックスがまだ無かった頃・もしくはゴアテックスが高価でなかなか購入出来なかった時代は、雨が降ると昔ながらのゴム製のカッパを着て行動する事になりますが、これだといつの間にか自身の汗で服がびしょ濡れになっている事があります。
まあ、暑い時期の平地だったらそんなに危険では無いとは思いますが、これが冬の寒い時期だったとしたら汗冷えで体調を崩してしまう可能性があります。
そして、これがもしも標高の高い山の上だったとしたら…びしょ濡れで寒い中を歩くとどうなるかは想像が出来るかと思います。
現在はゴアテックスなどの防水透湿性素材を用いたハードシェルが主流で、最近ではモンベルのスーパーハイドロブリーズやブリーズドライテック、パタゴニアのH2Noなど登山メーカーが独自に開発した防水透湿性素材も多くなりました。
これらの防水透湿性素材が普及したお陰で、レインウェアを着ていても汗でビショ濡れになるような状態は少なくなりました。
防水透湿性素材の凄い所は、風や水を完全に防ぎつつ「水蒸気のみを通す」という性質にあります。
水を通さないという事は、雨はもちろん通さないけど汗も通さない、つまり汗は外に放出されず濡れたままという事になってしまいます。
これだと結局汗で濡れたままという事になってしまいますが、これを解決するのがインナーの役目でして、速乾性の良いポリエステル製のシャツなど適正なインナーを着る事によって、インナーが素早く乾き汗はすぐに蒸発しレインウェアの外に放出されるという事になります。
つまり、防水透湿性素材は適切なインナーとの組み合わせによって初めて効果を発揮するというわけです。
例えば、ゴアテックスのレインウェアの下にコットン(綿)のシャツを着ていたとして、シャツが汗で濡れたとしてもレインウェアはなかなか汗を外には放出してくれません。
コットンは水分を含みやすい素材でなかなか乾きませんから、水分を通さないゴアテックスはいつまでも経っても汗で濡れたままになってしまいます。
他のスポーツは分かりませんが、こういった理由で登山用のウェアでは最近はコットンは使われなくなっています。
また速乾性が良く濡れても保温性があるポリエステル素材は、現在の登山においては主流の素材になっています。
レインウェアの役目は分かりましたが、積雪期に使うアルパインウェアとの違いがよく分からないという方も多くいると思います。
基本的に雨天など緊急時に使う事を想定されたレインウェアとは違い、アルパインウェアは雪深く厳冬期の山の中を常に着ながら行動する事が想定されています。
つまり着た状態で行動する時間が長いので、生地を丈夫にして耐久性が高められている物が多いです。
逆に言えば、レインウェアよりも重くなっている物が殆どです。
長時間着ていると、さすがに防水透湿性素材でも限界がありますので、脇の下部分がジッパーで開きベンチレーションの効果を得るなど行動着としての工夫が見られます。
あとはフードや襟が大きくなっており、顔を風から防ぐ工夫などレインウェアとの違いはかなり大きかったりします。
そして、決定的な違いは、アンチグリース効果の有無だと思います。
アンチグリース効果とは聞きなれない言葉だと思いますが、要は雪で滑りにくいかどうかという事になります。
アルパインウェアは積雪した中で使う状況が殆どですから、時には急斜面で転んでしまい滑落してしまうような危険が想定されます。
積雪期に春~秋用のレインウェアで行動する方もおられますが、実はレインウェアって表面がかなりツルツルで雪に対してかなり滑りやすかったりします。
まあ、雪の積もっていない山域や樹林帯だったら滑落してもすぐに引っ掛かる可能性もありますけど、これがもしも天然の滑り台みたいな場所だったら…こういった時にアンチグリース効果のあるウェアなら、レインウェアよりも滑りにくくなっているのでリスクを減らす可能性が高くなります。
実際はピッケルでも滑落停止の行動もする事になるので、ウェアの効果だけでは測れないですけどね。
という事で、レインウェアとアルパインウェアは防水透湿性素材を用いたウェアと言う点では共通ですけど、似て非なる物と考えた方が良いと思います。
だからと言って、冬だからどの山でもアルパインウェアを着て行けという意味ではありません。
最初から雪深いと想定される山域では、アルパインウェアを用意した方が良いという話です。
おっと、そう言えばアルパインウェアって1枚地のモデルと裏地付きもしくは保温材付きの2枚地モデルがありますが、登山ではレイヤリング(重ね着)で体温調節が基本なので、1枚地の方が使いやすいのではないかと思います。

モンベルのストリームジャケット(ハードシェル)。
ハードシェルの話が長くなってしまいましたが、ハードシェルを語っておかないとソフトシェルの話は難しいので先に書いておきました。
で、ソフトシェルの方なんですが、こちらはハードシェルよりもマイルドな位置づけの行動着になります。
ソフトシェルは、防風性や撥水性を高めつつ保温性も確保されたモデルが多く、強風から身を守り多少の雨なら弾く事が出来ます。
ただし、生地表面はナイロンやポリエステルが用いられる事が多く、レインウェアのように完全に雨風を防ぐ事は出来ません。
その代わり、レインウェアとは違い通気性があるので透湿性では有利になりますし、ストレッチ性が良いモデルも多いので激しく大きな動きもしやすくなります。
また、レインウェアって結構着心地が硬いんですが、ソフトシェルは柔らかく着心地が良いモデルが多いです。
モデルによってフードが付いていたり、重い代わりに防風性や保温性が高いモデルなど同じメーカー内でも複数のモデルが存在する事が多いです。
夏山登山でちょっと肌寒いかなと思った時、厳冬期のアルプス登山で行動着として使いたいと思った時、それぞれ求めるソフトシェルが異ってくると思いますので、そういった状況によってモデルを使い分けるというわけです。
ちなみに私もソフトシェルは持っていますけど、基本的なウェアはインナーに長袖Tシャツで、暑い時期はシャツ1枚で歩く事が多いです。
これで寒いなと思ったら、ソフトシェルでは無くフリースを着る事が多いです。
温暖な時期は薄手のフリースを用意していきますが、万が一に寒い場合も想定して薄手のソフトシェルも用意していきます。
昨年9月の立山・剱岳登山では、長袖Tシャツに薄手のフリースと言う組み合わせで登りましたが、一応薄手のソフトシェルも用意しておき万が一には重ね着をする予定でした。
正月に登った甲武信ヶ岳は、明らかに氷点下で積雪期登山になるのが分かっていたので、厚手で保温性の高いフリースを用意しました。
昼間の行動中は暑くて脱ぎましたが、山小屋での就寝時や御来光待ちの時にはその保温性に助けられました。
こういう使い方だと、結局ソフトシェルの出番が無いじゃんって事になりますが、フリースだと風に対して無防備という弱点もあるので、防風性のあるソフトシェルが頼もしいと思う場面は何度かあります。
登山用では無く自転車用のウェアの話になってしまいますが…パールイズミというメーカーのウィンドブレークジャケットという自転車用のウェアを持っており、冬のサイクリングやポタリングで着ていますが、これを長袖Tシャツの上に着るだけで走行風や強風から身を守り、しっかりと保温もしてくれます。
撥水性や透湿性も備えているので、登山用のソフトシェルと非常によく似た存在のウェアです。
ここ3年連続で田子の浦港で初日の出を見に行っていますけど、このウェアを着ていれば移動も平気だし日の出前の寒い中ジッと立っている事が出来るわけですからね…非常に優秀なウェアです。

モンベルのライトシェルアウタージャケット。
表面はナイロン生地で防風性を確保し、裏地は薄手のフリースで保温性を確保しながら重量は200g前後と非常に軽いソフトシェル。
撥水性も備えているので、少々の雨なら弾いてくれる。
同メーカーのロングセラー品であり、温暖な時期のアウターから寒い時期の中間着と1年を通して活躍してくれる優等生的なウェア。
比較的安いので手が出やすい。

パタゴニアのアルパインガイドジャケット。
こちらもベストセラー品ソフトシェルだが、モンベルのソフトシェルよりも遥かに高価。
一応薄い裏地が付いているが、アルパインガイドジャケット単体ではそんなに保温性は無い。
ただし防風性が怖ろしく高いので、保温性のあるインナーとの組み合わせで非常に頼もしい存在となる。
透湿性が高いようで、汗で濡れたインナーが結構早い段階で乾いてくれる。
着心地が硬いので気軽感が無いウェアのように感じるが、その代わり丈夫な作りで耐久性が高く、激しいアクティビティにも向いている。

パタゴニアのアズジャケット。
使うのはこれから。

パールイズミのウィンドブレークジャケット。
冬の自転車用ウェアで、防風性と保温性が素晴らしい。
ストレッチ性も良く柔らかいので、気軽感があり着心地も良い。
個人的には文句のつけようが無い、自転車だけでは勿体無いと思えるようなお気に入りのウェア。
ブログ一覧 |
つぶやき | 日記
Posted at
2014/01/13 03:16:34
タグ
今、あなたにおすすめ