昨日の話ですが、東京の地下鉄でなんとも
痛ましい事故が起きてしまいました。
事故自体、非常に悲しい事なんですが、ホームにぽつんと取り残された盲導犬の気持ちを考えると、なんともやるせない話ですな。
我が家のわんこも、私だけでなく両親が帰ってきただけでも家の中を走り回り、文字通り全身でで大喜びするぐらいですし、まして盲導犬ともなれば、期間が限られるとは言え、
ご主人とは一心同体のパートナーであり、それが突然居なくなるなんて事は、まず想像出来ないでしょうし…。
今晩のNHKニュース7で放送されていたんですが、
ホームから転落した経験のある視覚障害者の方ってかなり多く、ここ2~3年の間でみても
毎年のように犠牲になってしまう方が居るそうです。
今回の場合も、駅員さんが一度声を掛け、ホーム内の非常ボタンを押して警報を鳴らしたにもかかわらず、間に合わなかったとのこと。
また、昨今設置が進みつつある「ホームドア」ですが、今回の現場は
未設置。
尤も、設置が進みつつあるとは言っても、JR・公営・私鉄を含めたすべての駅の数から見たら、まだまだ一桁%なんだそうな。
ちなみに、札幌市内でホームドアが設置されているのは、地下鉄3線のうち
南北線と
東西線のみ。
残る
東豊線も今年度末には全駅で設置・運用開始とのことなので、とりあえず地下鉄に関しては安全だと言えます
(ワンマン化による人員削減の一環とも言う)。
ただ、車両によってドア枚数が違うJRや、必然的に屋外設置となる市電だと、たぶん難しいでしょうね…。
今のJR北海道に、ホームドアを設置できるだけの余力が無いのは承知の上ですが。
ところで、今回のように視覚障害者の方が犠牲になる事故ってのは、何も鉄道だけじゃありません。
昨年、
徳島県で
歩行中の視覚障害者の方が盲導犬と共にバックしてきた2tダンプにはねられて死亡したという事故を覚えているでしょうか?
今年の5月、事故を起こしたドライバーに
執行猶予付の有罪判決が下ったわけですが、このときの原因とされたのが
「バックブザー」。
現在の主流は、ヘッドライトスイッチに連動して、夜間・薄暮時、即ち
スモールランプを点灯させるとブザーを停止させる事が出来る「消音型」ってタイプで、一頃と比べると音程も高くなっていますが、あるメーカーの車だけは、
任意でバックブザーのON/OFFを選択できるスイッチが搭載されていたんです。
それは…、
いすゞの「エルフ」。
以前、上の画像のモデルの搬送車を仕事で乗っていたときにそのスイッチの存在を知ってたので、このときの報道でこのスイッチの話が出たとき、車はすぐにわかったのですが、後にも先にもこのスイッチを装備していたのは
いすゞだけでしたね。
尤も、エルフもOEMとして日産やUD、マツダに出されていますし、もしかしたら仕向先の仕様で変わるのかも知れませんし、いすゞのサイトで現行エルフの装備一覧を見たくても掲載されてないので、正直、今はわかりませんが、事故発生当時のニュース動画を見る限りでは
紛れもなくエルフでした。
確かに、このドライバーの言い分もわからないわけじゃないんです。
別に肩を持つわけじゃないですが(ここ重要)。
実際、建設業に身を置いていたからこそ見える話ですが、今の工事現場って、その規模の大小にかかわらず、周囲への配慮をことさら求められます。
だって、今時の現場って仮設トイレ設置・禁煙当たり前、休憩するときはエンジン止めた車内でってのが普通で、オーディオなんてもってのほか。
当然、「音」に関してもそれはシビアで、あれだけ作業機械を持ち込んでも、極端に言えば
「音を出さずに作業」ってレベルです。
だって、物置の組み立てなんかでも、客先で
工具の音ってどれぐらいうるさいんですか?
って良く聞かれましたよ。
充電式のインパクトドライバー程度でも。
たとえば、ガードマンって住宅街なんかで電柱周りの工事や作業するときって大概つけますが、その際、
誘導するとき笛吹いているところ最近見たことあります?
いわば、それだけシビアにやらなきゃならないわけで、バックブザーのON/OFFスイッチ搭載も必然的であったと言えるでしょう。
前述のように2t積の搬送車や、前の職場では4tダンプにも乗りましたが、傍目から見るとトラックって目線が高い分見晴らしが良さそうに見えます
が、実際乗ってみると、所謂
「平ボデー」と呼ばれるタイプでも思いの外「死角」が多いことにびっくりだったりするんですね。
とりわけ、後方の視界は、
キャビンに付いてる後ろの窓が小さい事に加え、
地上から荷台床面までの高さがある分だけ、車両下側が一般の乗用車より確認がしにくい特徴があります。
さらに付け加えると、ダンプってキャビンへの損傷を防ぐために、キャビン背後にある「鳥居」部分(プロテクター)が鋼板の1枚板で作られている上に、それを支える太い支柱もあったりで、後方視界を確保するために格子状に打ち抜かれている部分があるにせよ、正直、
一般のトラックよりさらに視界が悪くなっています。
ユーザーさんによっては、プロテクターを背を高く作り替えたついでに
窓を埋めてみたり、降雪地だと、冬場の排雪時に本来違法改造となる
「差し枠」を取り付けた上で雪を山盛り積んで走る事になるんで、こうなると
誘導なしでは恐ろしくてバックできたもんじゃないですが(笑)、逆に言えば、
トラックの背後にしゃがみ込まれたら、たぶんそれが大人だったとしてもひき殺す可能性は十分にあるって事。
もし、これが
子供だったとしたら、言わずもがな。
故に、
メーカーさんが自主的(法律上、バックブザーの装着義務ってのはありません)にトラックやバスにバックブザーを取り付けている理由なのです。
「じゃ、軽トラなら…」って話になりそうですが、私に言わせれば
「大して変わらん」です。
かろうじて大人が立ってたら気づく可能性もありますが、あくまでも
「なきにしもあらず」ってレベルだと思ってますし、荷台までの地上高で50~60cmぐらいとは言え、それでも幼児にしゃがまれたら一巻の終わり。
私も、1BOXとは言えサンバーやハイゼットに乗ってたとき、真剣に「これつけよう!」と思ってました。
おなじみの
「デンソー・ボイスアラーム」です。
むろん、これで完璧ではありませんが、これにナビのバックモニターを併用したら、安全度はさらに高まるんじゃないかと。
1BOXもトラックの比じゃないほど後方死角が大きい形状ですし、まして、
軽自動車だと周りの騒音に自車のエンジン音がかき消され気味になってしまいがち。
だからって、何も爆音を推奨するつもりもさらさら無いし、それはそれで
社会的に「どーよ?」って話にもなる訳で。
今のところ実勢価格が1万円前後ぐらいで、キットさえ買えば取り付けは自分でやればいいわけですし、これである程度安全が担保できる事が見込めそうなら、十分元が取れます。
それに、大型車で時より見かける「左折警報アラーム」もありますが、アレも正直普及してるかと言われると疑問ですね。
かつて、地元を走るじょうてつバスの車両には、
右左折時にブザーが鳴るようになっていて、あの音を聞くたびにバスの接近だけじゃなく、
あぁ、この音が鳴ってこそ
「じょうてつ」なんだ(遠い目)
と感じたものですが、札幌市バス路線の移譲に伴って余剰となった市バスが入ってきた2000年頃を境に、プロパーの車両に取り付けられていたブザーも取り外されてしまいました。
原因を知るよしもありませんが、これまで挙げてきた事故のことを思うと、アレはアレで実に理にかなっていたと思わずにはいられません。
この先、ドライバーの補助デバイスから自動運転へと変わっていくんでしょうけど、現時点においては運転はまだまだ人間が担うわけで、運転する側が気を配るべき話ですけど、それと同時に、「人間のやることなすことは、必ずしも完璧とはいえない」という視点で、
運転者の行動を他へ知らせるデバイス
にも目を向けても良いのではと思います。
もしかすると、そんなちょっとしたことで防げる事故やトラブルもあるかも知れません。
最近じゃ、健常者でも
怪しげな方が増えてますからね(^^ゞ