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イイね!
2011年02月13日

プリンス R380 A-1(1966)

プリンスには2台の技術的頂点を示す車が存在します。

1台は1952年の誕生以来、皇室御用達として一貫して邁進してきた高級車開発の頂点である
「プリンス ロイヤル」です。

日本を象徴する高級車メーカーとして積み重ねてきたノウハウの総てを結集し、プリンスの総力を
傾けて生み出された国産初となる貴賓用リムジンです。

キャディラック、リンカーン・コンティネンタル、ロールス・ロイス、メルセデス・ベンツといった世界に
名立たる超高級車メーカーのリムジンに一歩も引けを取らない素晴らしい車です。

もう1台は、1963年の第1回日本グランプリでの雪辱を晴らすべく生み出されたスカイラインGTを
源流とする日本初のプロトタイプ・レーシングカー「R380」です。

かつて、世界から畏れられた名戦闘機「隼」や「疾風」の遺伝子を受け継ぐものです。

ライバルは第2回日本グランプリでスカイラインGTを打ち破ったポルシェ904です。
初陣となった第3回日本グランプリでは更なる高性能を誇るポルシェ906との対決となりました。

ワークスチームであるプリンスと、プライベーターであるポルシェとの違いがありましたが
結果はプリンスの勝利であり、両車のスペックも互角のものでした。

かつての西なる盟友にして、戦前からの高性能車を多く輩出し工業国として定評のあったドイツと
戦後になってようやく本格的な自動車産業が育ち始めた日本。

未曽有の敗戦からわずか20年余で、高級車開発に於ける分野と競技車輌開発に於ける分野で
世界と肩を並べるまでに至ったプリンス自動車の最高峰の1台です。



タイヤはイギリスダンロップの高性能レーシングタイヤ「R6」です。
ミッドシップに搭載されたエンジンを冷却する為のサイドのエアインテークが、グラマラスな
リヤフェンダーに沿って開口されています。



デザインにはターゲットであったポルシェのレーシングモデルや、フェラーリ250LMの影響が
窺えます。
風洞実験によって導き出されたテールの造形は、美しい曲線を描くリヤフェンダーから
スパっと思い切りよく断ち切られたコーダトロンカ形状のリヤエンドが印象的です。

見るからに空気の流れを感じると共に、スカイラインと共通のテールレンズがプリンスの血統を
誇っているかのようです。

リヤのウィールは四つ葉のクローバーのようです。



アクリルのカバーが被せられたヘッドライトと、小さなターンシグルレンズ。
そして1文字のグリルがカエルのようなユーモラスささえ感じさせるフロントフェイスを形作っています。

そのライトカバーの造形は、後年に登場するダッツン240ZGに影響を与えたかもしれません。



フロントカウルに開けられた2つの大きな開口部は、高速走行時のフロントリフトを防ぐための
ものです。
ミッドシップの為、フロントが軽いので浮き上がってしまいますが、風を導入して地面に張り付かせる
効果があります。

俯瞰で見ると、複雑な曲線によって構成されているのが良くわかります。
真紅のボディに走る2本の白いストライプが鮮烈な印象を与えます。

給油口は左右にあり、様々なサーキットに対応できます。



レースに於いて勝利すること、それだけを明確な目標とし生み出された、まさに「地上の戦闘機」です。

無駄な贅肉のない引き締まったアスリートのようなボディは、当時最新の空気力学と開発チームの
感性に基づいて生み出され、その曲線美は官能的とも表現できるグラマラスな雰囲気を漂わせます。

小さなスライド式のサイドウィンドウはスパルタンな性格を示し、プッシュ式のドアハンドルは
唯一の目的のために設計された車であることがわかります。

ドアはフォードGT40と同じ斜めに開くスウィングアップ式で、低い室内高でもヘルメットを
被ったまま乗降できるようにドア上面がルーフに大きく食い込んでいます。



プリンスではこのレーシングカーを市販する計画があり、日産との合併が無ければ
実際に発売されることとなったでしょう。
事実、市販に向けてのメカニズム的な課題は8割クリアしていたそうです。

プリンス・ロイヤルもまた、宮内庁が戦後の「開かれた皇室」が特注の非売品を独占することによる
イメージダウンを嫌って、市販の要請をしたそうです。

もしもこの2車が市販されていれば、1990年代を待たずして日本は世界から認められる自動車先進
になっていただろうと思われ、それが叶わなかったことが残念でなりません。
ブログ一覧 | プリンスR-380 | クルマ
Posted at 2011/02/13 23:19:55

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この記事へのコメント

2011年2月14日 20:03
 いいですな~

当方タコ足とメーター周りとシート ハンドル エンジンパーツは有りますが、現車は有りません。 残念!
コメントへの返答
2011年2月14日 20:09
なんと!
部品だけでも持ってるなんて凄いですよ~
是非見せてください!

以前、レプリカも売りに出てたんで欲しい!!んですが…700万円だそうで…
2011年2月15日 0:10
むかし釧路にも持ってきて
期間限定で展示してたことがあるよ
観に行った時の写真があったはずだが・・・
コメントへの返答
2011年2月15日 0:26
そうなんですか!!
昔っていつ頃なんでしょうか??

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