海上自衛隊輸送艦　しもきた

こちらは地元のお祭りにあわせて来航、一般公開された海上自衛隊の輸送艦「しもきた」です。
日本国内向けには政治的配慮から「輸送艦」を名乗っていますが、艦種を表す
「LST」Landing ship,tankが示す通り、他国海軍では戦車揚陸艦やドック型揚陸艦として
分類される艦船です。

おおすみ型輸送艦の2番艦にあたり、完全武装の陸自隊員330名、90式戦車10輌もしくは
74式戦車12輌、エア・クッション型揚陸挺2隻を搭載する能力を備えています。
全通甲板を持ち、ヘリコプターの運用（格納庫・整備能力は備えていない）が可能です。
艦内には高度な手術が可能な集中治療室を含む充実した医療施設も備わっています。

先の東日本大震災の災害派遣に於いては、1番艦おおすみは広大な甲板や格納庫と
いかなる地形であっても上陸可能な揚陸艇などの能力を発揮して救援に尽力しました。


対空・水上・航海の各種レーダーを備えるマストには誇らしげに旭日旗が翻っています。
艦橋後部には大型のクレーンが備わっており、搭載貨物の運搬を行います。

最新式の艦艇はステルス性を高める為に上部構造物から凹凸を極力減らしているため
あまり格好が良いとは言えません。
おおすみ型の艦橋はステルス性を考慮してはいるものの、旧来の軍艦らしい武骨さを
留めた艦影を保っています。



艦首の「4002」は艦番であり、米海軍のLSTを改称した初代しもきたの番号を引き継いでいます。



艦内には大きな格納庫を備え、艦尾には広大な開口部を持つランプドアを備えています。
ここからエア・クッション型揚陸艇が発進します。

広大な全通式甲板は災害派遣時にはヘリコプターを運用する浮かぶ空港として機能します。
右舷前部に配置された煙突一体式の艦橋は「大鳳」や「隼鷹」を連想させます。
甲板の前後には車輛や物資を運搬する為のエレベーターを備えています。



これがエア・クッション型揚陸艇で、後部に描かれた旭日旗が輝いています。
一般的には「ホバー・クラフト」と呼ばれますが、実は商標であって正式な名称ではありません。
「ホチキス」や「セロテープ」のように、商品名が普通名称になった一例です。

後部の2基のダクテッド・ファンによって推進し、前部の2基の可変ダクトで方向を調整します。
90式戦車1輌、70ｔの物資、180～240名の人員を積載することが可能です。
また、驚くべきことに水陸両用であり上陸後はそのまま走行することも可能です。

強大な出力を発生するガス・タービンエンジンによって廻される4翅プロペラが壮観です。
当日は猛烈な轟音と水飛沫を立ててデモ航行を披露していました。



艦首側の両舷にはサイドランプが備わっており、車輛が自走で乗り込むことが可能です。



ここ数年の中国共産党の海軍力増強は著しく、アジア全域に於いて挑発行為が繰り返されています。
中共の「遅れてきた帝国主義」は明白で、70年余振りに日本の独立が危機に晒されています。
尖閣諸島沖に於ける卑劣極まりない挑発行為はその最たるものです。
また、南シナ海に於いても強大な党の私兵（人民解放軍）の圧力を背景に
紛争の火種を所構わずに振りまいています。

しかしながらこうして巨大なる鋼鉄の艨艟を目の当たりにすると、四方の海を護る厳然の備えは
依然として堅固なるものだと実感が湧きます。

海上自衛隊は事実上の大日本帝國海軍の後継であり、明治の建軍以来総ての艦艇には
旭日旗が翩翻と翻ってきました。
そして今も揺るがず仇敵を払う矛として我が国の領土領海を厳重に護っています。