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2011年09月06日

三菱 みずしまオート3輪

今回は日本の戦後復興、大三菱の再建を支えた三菱・みずしまオート3輪を御紹介します。
戦時中、軍用機の開発・生産に尽力した三菱がその高い技術力を戦後復興に
役立てようと、平和の象徴である「鳩」の名を冠したスクーター「シルバーピジョン」と
並び、1960年代の高度成長に繋がる基礎を築きました。

詳細については自分の知識不足でわかりませんが、2灯式ヘッドランプから1955年以降の
型式TM5#~だと推測されます。

3分割の平面フロントガラス、ガラスのないスティール製サイド・ドア、幌ルーフなど
従来の2輪車+荷台、といったプリミティブな世代から一歩先んじた設計となっています。
カウルベンチレーターはフロントガラス真下と左右の足元に備わっています。

戰時中に零式艦上戰斗機や一式陸上攻撃機を開発・生産した三菱らしく、航空機の
降着装置(引込脚)の為に開発された油圧緩衝装置「オリオ・フォーク」を採用した車種も
投入されました。

オリオ・フォークの他にも、4速ミッションやキックスターターに代わりセルスターターを
備えるなど、進歩的な技術を積極的に導入した後発メーカーらしい野心的なオート3輪車です。
ダイハツ・マツダ・くろがねなどの老舗オート3輪メーカー相手に善く戦いました。



キャビンは合理的で、きわめて簡素な構成となっています。
バーハンドル車なので運転手は中央に跨る格好となります。
左右には補助席があり、定員は3名となります。
後年の丸ハンドルを採用した3輪になると2名乗車が一般的になります。

エンジンはフルカバード・タイプで熱や騒音を軽減しています。
もっと古い3輪だとエンジンが剥き出しで、簡素な補助シートに座ると
触れて火傷しそうなレイアウトになっています。

フロントガラスの真下にある赤いものはワイパーモーターで、スイッチもダイレクト式です。
センターコンソールにはメンテナンス・リッドとスポーツカーの如きゲート式シフトレバーが備わります。
左足側にあるのはクラッチペダルでしょうか。
左右には蓋付き全天候型グローブボックスが備わっています。

シフトレバーが運転手の真下に来るので、幅の広いバーハンドルと一緒に操作するのは
大変だったかもしれません。



純正かどうかは判断に迷いますが、テールランプはアンバーのターンシグナルが
独立したもので、サイズも同時代のクルマと比べて大型で優れた視認性を持っています。
リフレクターも丸形のものが独立して装着され、ライセンスプレート・ライトは豪華にも
2つで、両脇に備えられています。
1950年代~1960年代初頭の貨物車でありながら、灯火類が充実しているのが印象的でした。

リヤゲートの開閉に干渉しないように、バンパーの代わりにラバーが備えられています。
荷台は一方開きで、計18個ものフックが良心的で実用車らしいです。



車名のみずしまオート3輪とは、三菱の水島製作所で生産されたことに因みます。
終戦の翌年、1946年には生産が開始され生産終了の1962年まで毎年ごとに
装備や積載量を充実させながら発展していきました。

1960年代に入るとトヨエースを筆頭とする4輪貨物車が主流となり、オート3輪は
徐々に姿を消していきました。
しかしこれらのオート3輪で得た多種多様な技術と利益は、4輪車開発の基礎となり
航空機開発で得た技術を継承する役目をも果たして世界に冠たる自動車生産国の
基礎を築いたのです。
ブログ一覧 | 三菱 | クルマ
Posted at 2011/09/06 17:44:46

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tarmac128さん

この記事へのコメント

2011年9月6日 20:57
三菱の3輪だとレオなら知ってましたが、このようなモデルもあるのですね。しかも、なかなかコンディションも良さそうに見えます。
フロントのワイパーリンク下の蓋は開くのでしょうか?涼しい風にあたりながら、粋にこの3輪で流す人の姿が目に浮かびます。

現在、OEMが目につくようになりましたが、やはり、各メーカーが独自の技術でもって作り上げた製品で競争することは重要であると感じます。3輪の競争が4輪の発展に繋がったのならば、それは現在にも当てはまるのではないでしょうか。円高や人件費の高騰により部品の生産が海外に移りつつあるのは仕方ないのかもしれませんが、開発費そのものを無くしてしまうようだと、長期的に見て、日本にとって損なことだと感じました。
コメントへの返答
2011年9月7日 19:18
どうもレオの方が希少なようですね。
中型~大型3輪は各社が競っていましたが
軽3輪はミゼットが圧倒的でしたね。
ワイパー下と左右の足元のフタは開いて
風が流れ込んできます。
原始的ですがエコですよね(笑)

OEMは各社の切磋琢磨を失わせて
技術的進化や発想の飛躍を阻害すると思います。
また海外移転は、目先の収益は確保でき
ても長期的にいはマイナスだと思います。

ましてや日本の周囲には反日的なのが
多いですから・・・

ホンダの本田宗一郎さんのエピソードで
台湾へ技術供与したら「日本は我々の師です」と感謝のパーティーに招かれたが、
韓国からは「日本からもう学ぶことはない」と
言われたというのがあります。

これでも海外に進出しますかね~・・・
2011年9月7日 1:35
この車両は帯広ですか?風景も似ている…
コメントへの返答
2011年9月7日 19:08
そうですよ!
この写真は市内の中央ですが、今は
移動されて工業団地にあります。
2011年9月7日 18:18
すごい写真見せて頂き感動しました。

まだ、あるんですか、懐かしいもうめったにお目にかかりません

ハンドルがいいな、車の程度もよさそうです。

いつまでも大事にしたいですね、日本の車の歴史が分かりそう
コメントへの返答
2011年9月7日 19:08
北海道はモータリゼーションが内地よりも
遅かったので、3輪車はあまり残って
いないそうです。
逆に4輪トラックは内地より北海道の方が
多いそうです。

バーハンドルは知らない人には驚かれる
でしょうね。

こういった歴史的な車輌には減税など
適用されるべきだと思います・・・
2011年9月10日 20:54
このゲート式シフトレバーは凄いですね、操作感覚はトラクターみたいなんでしょうか(笑)

サイズ的には今のライトエースぐらいなんでしょうか? これで3人乗れるんですよね~不思議です。
コメントへの返答
2011年9月10日 23:41
戦前~戦後まもない時期のバイクでも
ハンドチェンジのモデルがあり
これと似た形状です。
ベンツのゲート式シフトみたいで
カッコいいですよね。
自動車というより機械を操ってる感じが
良いですね~

サイズはもう少し小さいと思います・・・
昔はムリヤリにでも乗ってましたからね(笑)

プロフィール

「2013 FIAT500 twinair pop http://cvw.jp/b/949539/47550084/
何シテル?   02/24 12:48
戰前から昭和40年代頃迄の自動車を趣味として居ります。 2輪・3輪・4輪、國産車/外國車の何れも興味の対象です。 此の他の趣味としては、艦艇及び航空機が在り...
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