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2011年11月13日

いすゞボンネット・トラック TX/TW

今回御紹介するのは、日本の戦後復興から高度経済成長を支えた”輸送の花形”
いすゞの大型ボンネット・トラックです。



こちらは現役で活躍する、1968年型いすゞTXD40-3です。
この個体は、後2輪駆動・2軸・ダブルタイヤのダンプ仕様となっています。

ライセンスプレートは新車時のものではないと思われますが、地名一文字に2桁の
数字の組み合わせなので、取得時期はかなり前となります。

3つ並んだロケット型の速度表示灯と、見るからに堅牢なダンプベッドが威圧感たっぷりです。
機能をカタチにしたようなグリルと、厳しい環境での作業を感じさせるヘッドライトガードや
バンパーに据えられた頑強な牽引フックが、仕事車らしい頼もしさを感じさせます。



ノーズのサイド、放熱用ルーバー部には6トン積を表すエンブレムが誇らしげに輝いています。

搭載されているエンジンは、DA120型/直列6気筒6126cc(125PS)ディーゼルもしくは
DA640型/直列6気筒6373cc(130PS)ディーゼルのいずれかとなります。



フロントの曲面1枚ガラスや(初期モデルと較べて)直線基調のフォルムを持っています。
三段構えのサイドバンパーや、クラシカルな独立フェンダーが魅力的です。



まさに「仕事場」という呼び方がしっくりくる、スパルタンな操縦席です。
鉄板剥き出しの、飾り気のないグレーのインストゥメント・パネルがボールドな雰囲気です。

助手席側のアシストグリップは、鉄パイプそのものです。
「ISUZU」の社名が刻まれたワッパ(ステアリング)はノンアシストで、操るには相当の
腕力が求められます。

フロアからは4本のレバーが生えています。
サイド・ブレーキ、ダンプレバー、シフトレバーまではわかったのですが残り1本の
用途がわかりませんでした。

助手席側の足元には定番のダルマヒーターが据え付けられています。
インストゥルメントパネルは鉄板剥き出しのため、メモやレシートを留めておくのに便利な
磁石付クリップをダイレクトに張り付けて置くことが可能です。

メーターは2眼式で、タコグラフ内蔵式の速度計と各種計器の納められた
コンビネーション・メーターが並んで配置されています。



印象的だったのが、空調機能の充実でした。
ドアウィンドウ/三角窓、足元に風を送るサイドベンチレーター、庇部分から風を取り入れる
ルーフベンチレーターに加え、2枚のリヤウィンドウもスライド式で開閉が可能となっています。

エアコンは望むべくもない時代だったのでしょうが、これだけ換気能力が高ければ
(少なくとも)走行中は快適だったでしょう。
もちろん、ダンプ車ともなれば作業現場には砂埃が立ち込め、どれだけ暑くても
窓を閉め切らなければいけないことも多々あったでしょうが・・・

こういった、プリミティブだけれども基本に忠実でロスの無い空調機能は
今こそ見直されるべきでしょう。

エアコン全開で、素晴らしいカタログデータ上の燃費には到底届かない”エコカー”よりも
よっぽど環境に優しいと云えるでしょう。



こちらはTXと基本を共通しながら、全輪駆動としたTWです。
3軸・リヤダブルタイヤの6×6という駆動方式によって、高い悪路走破性を獲得しています。
4×4の場合は型式が「TS」となります。

後輪駆動のTX系は1970年(消防車向けは1979年)で生産が終了しましたが、全輪駆動の
TS/TW系はその後も生産が継続され、平成初頭まで新車で購入することが可能でした。

自衛隊では今も現役で活躍しています。
そのため、いすゞは現在も新品部品を生産しています。

冷却能力の向上に伴って、サイドの放熱用ダクトは廃止され補強用のリブへと
機能を変えています。

同じ大型トラックであっても、キャブオーバー型にこの迫力は出せません。



あおり無しの平ボデーが架装されており、鳥居には収納スペースが設けられています。
前輪と後輪前軸にはチェーンが巻かれており、泥濘地や豪雪地で運用されていたことが窺えます。



こちらは比較的近年まで現役であった(平成7年頃?)個体で、年式自体も新しいようです。
国産トラックの殆どがキャブオーバーに移行した後も、ボンネット・トラックは消防や国鉄 
林業、輸出用などに一定の需要が存在していました。



前掲のモデルに対して、4灯式ヘッドライトやセミ・フラッシュサイドのフェンダーなどが
よりソフトな印象を与えます。
丸みを帯びたボンネットのラインなどは、フォードF100に代表される1950年代の
米国製トラックのスタイルに良く似ています。



ボンネット・トラックやボンネット・バスは、時代とともにキャブオーバー型へと移行していきました。
その一方、広大な国土を持つアメリカでは現在もボンネット型が活躍しています。
日野自動車は、輸出モデルにのみボンネット型を新車ラインナップに用意しています。

個人的な好みとしては、バン&トラックは乗用派生のモデル(スカイウェイ/マスターライン等)か
初代サンバーやボンゴ800、クリッパーといったキャブオーバー車が好みなのですが
中型以上のサイズのトラックとなると、断然ボンネット型がカッコよく感じます。

ボンネットトラックは、スペース効率で劣る為次第に消えていきましたが
その長いボンネットにはロマンが詰まっているように思えます。

ブログ一覧 | いすゞ | クルマ
Posted at 2011/11/13 21:45:00

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この記事へのコメント

2011年11月13日 21:51
怖いくらいの迫力・・・・

まさに勢いあった頃の昭和を感じます!

コメントへの返答
2011年11月13日 21:55
サビサビのままで公道に復帰させたら
まさにオバケでしょうね!

エアコンもパワステも無いこの重量級車を
汗だくになって運転した方々が
日本の経済成長を牽引したのでしょうね!
2011年11月13日 22:01
学生の頃、自動車部のシンボルが2灯のTXでした。
当時は各大学には貨客兼用の大貨があったものですが、ボンネット型の衰退とともに消えて行きました。
高速道路が今ほど充実していなかった当時、大型トラックは図体のわりに非力でみんなおとなしく走っていました。
クラクションも威嚇するような音でなく、危険を知らせるためののどかな音でした。
コメントへの返答
2011年11月13日 22:50
このような大型トラックは、いったいどのような
走りなんでしょう。
自分には想像もつきませんが
実際に運転された方は非力だったと仰いますね。
道路状況も良くなく、砂利道が当たり前
だったと聞いております。

クラクションは柔らかい音で、あまり人を
刺激しないのが良いですよね。
2011年11月13日 23:31
こちらではまだ現役でお仕事しているボントラが居ますよ。

7枚目の画像と同じいすゞだと・・・。

森林組合で使用されているので材木運搬車の6×3仕様だったかな?

それと日野のボントラ、こちらはダンプ仕様のZM。

どちらも迫力たっぷりです!!
コメントへの返答
2011年11月13日 23:56
そちら方面では2台ほど現役車を見たこと
があります。
材木運搬車はたぶん見たことがあります。

もう1台はタンクローリーでした。

日野のは見たことないですね~
見てみたいです!
日野の剣道面がスキです。
2011年11月13日 23:41
TWはたまにありますが、TXは珍しいですね! そういえば以前、四灯のTXを搬送車に改造し、ベレットのレーシングを載せていた方も居ましたね。カッコ良かったなあ。。(実はTXの丸四灯は大好きなんですw) 
4本目のレバーは、PTOか、デコンプだと思います。
古いメカのの人から、エンジンを始動する際のデコンプレバーを戻すテクニックを良く聞いた物です。

ちなみに、旭川で販売されたTWの最終型は(エアコン付き、E/gは6BG1)富良野方面でスラリーローリーとして活躍中ですw  臭いのに内装は凄い綺麗でした。。
コメントへの返答
2011年11月14日 0:04
正直、パっと見ではTXとTWの見分けが
つきませんw

654さんはTXの搬送車にベレット風トラックを
載せてください。
一部から(のみ?)大ウケすると思いますw

レバーやスイッチ類の表記がバラバラなので
わかりすらいですね~

あっちこっちで現役が居るのがボンネットの
凄いトコです。
単純に代替が見つからないだけかもですが・・
2011年11月14日 18:20
はじめまして
コレのバス版にイベントで乗りましたよ。

レバーの最後は2駆ー4駆の切り替えレバーと思いますよ。
普通の道では絶対に全駆にしないと
運転士さんが言ってました。
コメントへの返答
2011年11月14日 20:21
はじめまして!

イベントで乗車サービスしているといえば、OT誌にも載った小○さんでしょうか?
そうであれば自分も拝見したことがあります。

昔の4輪駆動はあくまでも補助的なものだったようですね!
2011年11月15日 0:43
勤め先の近くにも、最終型と思われるいすゞのボンネット散水車がいます。

ここ数年見てないので、どうしたのかいすゞに聞いてみたいと思うのですが、放置してるって聞いたら自分の家に連れて来てしまいそうで怖くて聞けませんww

でも旧車の搬送車にいいな~と妄想してますw

自分は最終型のUDのボンネットが好みですね
コメントへの返答
2011年11月17日 0:04
良いですね~
連れてきましょうよ!w

散水車なら暑い夏に道路への散水や
お庭のガーデニング、花壇への
水やりや洗車と、多用途に重宝しますね!w

搬送車が搬送されるような事態しか想像
できませんが・・・w

UDは少数派に感じますね~
2011年11月15日 21:55
エンブレム、本当に平仮名ですね~

ボンネット型のダンプ(確か…3軸車)、こちらでもどうやら現役(マニアの方かも)で走ってるみたいです!
メーカーなど詳細は判りませんが何度かすれ違った事ありますよ。

ブレーキとクラッチのストロークが恐ろしく長い…(笑)
コメントへの返答
2011年11月17日 0:06
日本のメーカーなんだから、もっと日本語の
車名があっても良い気がします!
いまはもう、英語だからカッコいいって
時代でもないでしょう。
温故知新です!

内地にはマニアの方も多いようですね。
車体相応で、維持や修理もビッグサイズ
なんでしょうが(笑)

操縦はまさに運動でしょうね!
2011年11月16日 6:55
ウチの町は豪雪で住宅が密集して排雪する場所が少ないので、
一ヶ月に一度位、ロータリー除雪車とダンプ軍団が大規模な排雪作業をしています。
小学生の時、UDのボンネットやふそうキャブオーバー、等に混じって、
このTXが活躍していました☆
(昭和49~53年頃)
深い雪の中、前輪でも駆動していたのが印象的でしたね♪
交通規制のおっちゃんから、
「あぶねぇ~から家さ帰れっ!!」と云われながら
入れ替わり立ち替わりに来る様々なダンプが働く姿に萌えておりました。
(^_^)
只一台だけ、このTXは見るからに一生懸命に見えて、
心に残る一台です♪

アメリカのボンネット型トラクターヘッド、
ピーター・ビルドやケンワース、マックなんかは今でも往年のままの迫力がありますよね☆
コメントへの返答
2011年11月17日 0:09
現在はさすがにボンネット型の除雪車は
ないですね~
排土板付の廃車はみたことがあります。

4輪駆動のうえ、大きな車重と鼻先の
ウェイトは悪路走破に役立ったでしょうね!

アメリカのボンネットトラックは煌びやかな
グリルやマフラーが魅力的ですね。

映画のカーチェイスなどで登場しますが
やはりキャブオーバーには出せない迫力
がありますよね~
2012年1月22日 23:29
宮城では現役で走ってました。
たぶんTW
私もビックリ。
コメントへの返答
2012年1月22日 23:55
コメントありがとうございます。

林業ではキャブオーバーよりもボンネット型の
方が使い安い為、今も現役が多いそうですね。

また、自衛隊でも未だに運用していますし
除雪車などの特殊架装車は高価なので
潰れるまで使い続けることも多いようですね。

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